例の自治体消滅の話を増田寛也せんせが言い始め、それに対して木下斉さんがしっかりと反論しているのが印象深いわけですが。



消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。 (No.1016)

http://blog.revitalization.jp/?eid=810905



 これらの話は、突然都市が消滅するよという話ではなく、現状でも徐々に衰退している都市が機能的に維持できる人口を持たなくなって不全に陥りますねという流れであり、増田せんせの問題意識はまあそうなのかなと思います。出産可能年齢の女性をキーに据えるのは果たして望ましい解析のあり方なのかというのは相変わらず問題になるのでしょうが。


[引用] 今までどおりやってたら地方自治体が潰れるという当たり前なことを「地方消滅」と称して危機感を煽り、結局は「国がどうにかしろ」「国難だから若者どうにかしろ」というご意見を見るに、全くもってこんな政策打たれたらますます地方から若者もいなくなるなと思わされるところです。



 まあ、仰るとおりなんですけどね。



 で、このあと地域創生だとかいって、希望するすべての自治体に資金をばら撒いていくことが予想されるわけなんですが、一番肝心なのは「生きていけるかもしれない自治体」と「死なざるを得ない自治体」を分けて、死ぬ自治体には尊厳死するような選択肢を政治が用意できるのかって話だと思うんですよね。



 その中で、木下さんの書籍なんかも読みつつ私が考えるところでは、広域行政(あるいは自治体再合併)を施しながら自然と資金が投下できる地域とそうでない地域がこの枠組みの中でできることが一定のソフトランディングになるのではないかなあというところなんですが、ちょっとまだ全容ははっきりとせず。











 そんなわけで、増田せんせと木下さんの議論の対立軸という意味においては、現段階ではより効果的で実践的な提言をされているという点で木下さんの意見に賛同する部分が多いんですが、同時にこの議論のあり方で考えるといくら有効な提言を木下さんが続けても必要な時期に省みられることも少ないんだろうなあとも感じます。



 何しろ、メディアでは増田せんせの問題提起はともかく、いまだに面白武雄市長のネタが俎上に乗ることも多いもんでね。本人なりには正義だと思って取り組んでるんだろうけど、いかんせん手続きが適法とはいえないし、社会全体からすれば無駄銭をぶっ込んでるとしか思えないわけで。



 このあたり、(いまの政権では手一杯でむりだろうけど)2020年の東京五輪が起きるまでには何らかの道筋が見えて、地方分権のリデザインみたいなものが進むといいですね。