ある意味で、この手のビジネスというのは一定の騙しも必要なことなので、水商売同様に「男をその気にさせる」ことが肝となって、何度でも店に足を運んでもらったり、商品を買ってもらうことでビジネスが成り立っているところでもあるわけです。



 今回の事例というのは、前回の傷害事件とも違い、模倣犯ですらないわけですが、良くも悪くもこのビジネスモデルがある種の飽和点に達したというお達しでもあろうかと思うわけです。



秋葉原駅周辺の放火4件、26歳男が関与か

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2216392.html

無職26歳のAKBファン 秋葉原周辺の放火容疑で逮捕

http://alfalfalfa.com/archives/7303245.html



[引用] 取り調べに対し、尾口容疑者は容疑を認めたうえで、『AKB48のファンで秋葉原に来た』『警察や消防が騒いでいるのを見て、気持ちがすっきりした』と供述しているということです。



 本来であれば、放火犯がAKBファンであること自体は事件そのものと結びつかないわけですから、報道でもそこまで本人の趣味趣向に足を踏み入れることは稀です。ただ、いま意味を持つということは、そういうことだと思うんですよ。


 短絡的なレッテル貼りが、一定の割合で犯罪者予備軍を刺激して模倣犯を誘引するのは常識ですが、いままではさまざまな配慮も働いて、AKB好きとされる人物の犯行はあまり大きくは報道されてこなかったんですよね。その本人がキチガイであるとして、手帳持ってたら急に報道されなくなる的な要素はあるものの。



 逆にそういうレッテルをなぜ利用するかというと、そういう人気商売のおこぼれに預かれない層からすると、遠慮なく足を引っ張れるというのはありますが、それ以上に、お客様でありオーディエンスである社会一般からすると「人気商売に潜む異常性」のような切り口で「俺らとは違う彼らの一部が引き起こした犯行」ってことで、自分とは無関係なところで起きている異常事態として処理できるからなんですよね。



 話題として消費できるサイズにするためにレッテルを貼る効用を狙って、当局も本来犯行とはそこまで深い関係にないであろう単語を属性としてメディアに提供する、ということですが、過去にもなかったかといわれると、さまざまあるわけなんです。それこそ、今年1月に発生した、AKB握手券が欲しいという理由で他人のクレジットカードを不正に利用した事案もそうですが、冒頭に書きましたとおり「騙す商売」である以上、そういう欲をかき立てるマーケティングをし、その欲に駆り立てられる層も99.9%まともなんだろうけど一定割合でキチガイが含まれるのだから、当然犯罪を誘発するのである、ということで。



 別にパチンコに熱中する親が車に子供を放置して熱中死させてしまうとか、居酒屋の隣に駐車場があって飲酒運転を誘発しているとかいうレベルで、実は日常の中に山ほどあって、レッテルをうまく貼りながらあれは異常なこととして処理し、話題を消化することで社会は平安を保つという作用なのかもしれなくてですね。



 それこそ、児童ポルノやら、獣姦禁止やら、LGBTやらといったところにまでいろんなマイノリティがひしめいて、実に一触即発な状態になっているのが気になるところです。必ずしもその属性が悪いわけではないのに、一定のキチガイが発生するごとに、一般大衆が異常性を認識するためのレッテルに使われるというのもまた…。

 人気商売も、知名度こそあれ真にハマっている層はマイノリティなわけでね。まあ、しょうがないんですけどね。



 そういう人たちは、ぜひmixiコミュニティでひそかな楽しみをご堪能いただければと思う次第であります。