朝日新聞が最近公衆衛生や医療方面で興味深いネタを快調に連発しているわけですが、今度は診療報酬の不正請求ネタです。



厚労省、半数の調査放置 診療報酬、不適切請求の疑い 対象、8000医療機関

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11128638.html



[引用] 厚生労働省が毎年、診療報酬を不適切に請求した疑いがあるとして調査対象に選んでいる全国約8千の医療機関のうち、実際には半数程度しか調査せず、残りは放置していることが朝日新聞の調べで分かった。



 調べで分かったんですかそうですか。



 記事最後になぜか古賀茂明が出てきて語っているあたりで台無し感がありますが、J-ADNIの件然り、何が起きているんでしょう、厚労省。いや、何も起きていないのかもしれませんが。


 ちなみに、秋田県や四国4県は100%とのことですが、過疎の地域は調査がしやすいというよりも、地元の医師会との力関係や歴代の責任者の資質によるところが大きいともいえます。また、最近では不正請求の疑いを見繕える統計的なアプローチで問題医療機関の炙り出しができるようになってきてもいるようです。



 そうなると、必然的に高齢者を受け入れて過剰診療のえさにしている診療機関のレセプトを精査すればこの規模では済まない不正が眠っている可能性があり、いわゆる適正診療とは何なのかを良く考える必要があるわけですね。



 そういうゲタを履いているからこそ日本は医療機関がクオリティを保てているのだという議論があり、それを脱いでしまうと医師のなり手がいなくなるとかいう話も抗弁の中に出てきているようですが、実際には不正を行って儲かっているのは医療機関なのであって勤務医その他には回ってこず、さらに過剰医療の根拠となっているのは大概が投薬および延命治療であります。医学の発展に必ずしも資するものではないし、医師の待遇改善に直結するものでもないというのが実態ではないかと思うわけですよ。



 このあたりはメルマガに書いたほうがいいかもしれませんが、診療報酬や薬価の問題と、いまある小保方理研問題というのは若干似ているものがあります。何でお前その能力でそこまで評価されてそこのポジションにいるの的な。



 こういったところをまず解消し、しっかりとした監視体制が出来てから医療機関の株式会社化も含めた議論が進むんじゃないですかね。そういったものがない限り、40兆をはるかに超えていくであろう我が国の社会保障費の削減のための合理化努力が実を結ぶことはないと思いますし。