今日も順調に具合悪くしております。



 で、今月24日25日に訪日することが決まったアメリカのオバマ大統領なんですが、せっかくなので国民の関心の度合いや変化はいかにということで、あれこれと調べたりアンケートをとったりしているようです。部下が。



 まあ設問がむつかしいんですけどね、こういうの。



 ざっくりとした印象で言うと、TPPや領土問題といってもそれ自体をトップ会談の具として話し合うという訪日ではなく、むしろ実態がどうなのか国民からは良く分からない日米同盟の重要性の再確認というもやっとしたものが主眼のようですので、どうしても関心が高まりきらない(関心が低いわけではなく、高いんだけど、国を挙げてオバマ大統領大歓迎! というようなローマ皇帝を迎える属州的パターン)が見られないのが微妙なところです。



オバマ大統領来日へ、日本株は戻り歩調

http://toyokeizai.net/articles/-/35847

 でも、どこぞで日米同盟どう思いますか的なアンケートを継続的にとっているようですが、その調査の妥当性はともかく、結構日本人は純粋にアメリカとの連携を受け入れて同盟関係を当たり前のこととして受け入れているようなんですよね。一部のノイジーマイノリティ以外は。



 さて、外務省でもこんな数字を打ち立てて報じております。



「最も信頼できる国」日本33%、中韓5%以下

http://www.yomiuri.co.jp/world/20140419-OYT1T50110.html


 外務省の元ネタはこちら。



ASEAN7ヵ国における対日世論調査(結果概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press23_000019.html



 まあ、政府発表ですから仕方がないところがあるとはいえ、ASEANを全部一緒くたにして円グラフ書いて「概要でござる」とかしてしまう雑な感じはどうにかならないかというものがちょいちょいある以外は、だいたいこんな感じなのでしょう。



 っていうか、「ASEANのどこの誰にどう聞いたんだよ?」という提示があんまりないまま棒グラフにして「ほら! 我がジャパンはこんなにアジアの人たちに愛されているよ!」と力説されても困るんですよね。



http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000036037.pdf



 詳細と称するサマリーも出ていますが、ぜんぜん詳細じゃないあたりも好感が持てます。大丈夫なのかこの香港の調査会社。まあ、裏では真面目に設問作ってやっているのかもしれないけど、「信頼できる国は何ですか?」というのが単問であり、もしもこれが「日本政府の調査なんですけど、どこの国が一番信頼できるんですか?」みたいな聴き方になっていると「お、おう、ジャパン最高っすね、ええ」みたいな回答が増えるのは当たり前じゃないかと思うんですよ。



http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000036036.PDF



 一連の内容について、アウトルックの部分で見事に釣られて論評されているのが我らが日経秋田先生であります。



中国が引き裂く東南アジア 日本、試される外交力

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO70142590Q4A420C1SHA000/



 ご趣旨はまったくごもっともで、その通りなんですけれども、上記に書きましたとおり、データの読み方からしましてどういう設問か分からない状態の単問式で、ざっくりとしたASEAN全体の傾向を見て「ニッポンって信頼できる重要なパートナーっすねHEHEHE」という結果からアジアの国際政治の諸問題を論ずるのはどきどきします。



 これを見て、ASEANでは中国のほうがアメリカよりも信頼度で上回ったようだと結論付けちゃうのはいったん留保してから本論を語られたほうが説得力が増したかなと思うわけなんですよ。アリバイとしては大事なんですけどね。「ほぼ全員(98%)が記念イベントの実施は有益であると考えている」とか、それって外務省の予算の正当化の問題じゃないですかね。もちろん大事ですし有用だとは思いますけどね。



[引用] 軍事力で脅し、隣国の一部を奪いとったロシア。それより国力が強い中国が、ロシアをまねしても大丈夫だと勘違いしたら、まず矢面に立たされるのは日本にほかならない。



 まことにごもっともなんですよね。そうなると、やはり日本もインテリジェンス予算を強化してチベットや新疆ウイグル、台湾に要員を送り込んだり要人を買収したりして不安定工作を施してウクライナのようなことにならないようにしないといけないわけですね。わかります。