外務省発行の『外交』24号(3月31日発売)で、特集「サイバー戦争の実相」において記事を寄せました。

 ホームページでは22号までしか記載されていないようですが、仕様です。



外交専門誌『外交』

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/gaikou.html#bn





 記事のタイトルは「日本が標的となるサイバー戦争」となっておりますが、法制面は岩本誠吾先生にお譲りしつつ、私の担当は具体的なインシデントから紐解く全体構造と日本が行うべき対応についてであります。ちょっと長い原稿になっておりますが、これでも相当に事実関係の解説については端折っておりまして、詳しくは別で単行本その他何かの形でゆるゆると表に出せればと思っております。


 記事においては、結構な割合が中国Huawei社の件も踏まえた内容になっております。これは単なる情報通信業界の業界内の事情ではなく、もはや安全保障のフェーズにまで状況は悪化した上で、周回遅れの我が国はこれから基礎から順に状況への対応を検討しキャッチアップしていくべきステータスであります。



 今週は今週で政策勉強会ライクなところで地味にお話をさせていただいたりもしておりましたが、やはり問題となるのは当事者の認識の薄さや、脆弱なシステムを改修するためのコストを支払う決断ができないことです。これらが後手に回った結果、何らかの拍子で標的型メールや水のみ場を経由してのマルウェアへの感染、その後の情報漏洩、通信障害から関係設備の破壊までが発生してしまって取り返しのつかない事態に発展するということでもあります。



 平時は大丈夫だから問題ないだろう、とはなかなかなりませんので、いざというときに通信を遮断されたり、重要情報が流出したことに気づかず長い年月が経過してダダ漏れになるというケースはやはりきちんと防いでいかなければなりません。サイバー戦争という言葉が独り歩きし、概念を理解しないまま恐怖が喧伝されることは好ましくありませんので、実情をしっかりと公表し、問題を理解した上で適切にリスク管理をしていくことが、一連の問題の中では日本がまず目指すべきことなのでしょう。



 なお、一連の原稿では、ある特定の分野のお話はごっそりと落としました。他の有識者の方も、見事にそのあたりの具体論は避けておられるようにお見受けしましたので、ああそのあたりはホットゾーンなのだなあということを改めて確信した次第であります。



 堅い方面で恐縮ですが、ご関心の向きは是非ご笑覧のほどを。