私って凄いプロ野球ファンじゃないですか。



フルカウント:ヤクルツ

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 だから、ソチオリンピックと言われてもあまりピンと来ないんですよ。先日は浅田真央さんが転んだ、とか騒ぎになっていましたけどね、それはヤクルトにたとえるとエース石川が満を持して先発のマウンドに立ったら初回5失点炎上したとかそういうレベルの話なんですか。



 でもフリー演技では上手くいったんですよね。勝負が決まっても登板はあるわけでしょ。

 それは大量ビハインドの中で敗戦処理の登板をした七條祐樹が好投するようなものでしょうか。


 七條祐樹と浅田真央を並べて何を評論しているんだって話じゃないですか。

 顔の偏差値からして落差がありますね。それはもう能見のフォークばりに。



 ちなみに七條ってこんな男前な面構えをしています。



https://www.yakult-swallows.co.jp/players/2013/042_shichijyo.html



 七條は大好きな選手なので、ぜひ頑張って欲しいんですが。どうしてあんなに冴えないんでしょう。なんか量産型増渕みたいになってるじゃないですか。炎上要員的な。



 なんかそんな浅田真央がいまだに海外から好かれているの嫌われているのっていう記事が雑誌で乱舞していて、見るに耐えないわけですね。



 だって、私ってスワローズファンじゃないですか。

 うっかり出張すると、夜のお客様との会食ほっぽって甲子園とか行くわけじゃないですか。



 もうね、見渡す限り阪神ファンですよ。まあ、敵地ですから。スワローズのユニフォーム着ていくと、喰いかけのガムとか背中に付けられるんじゃないかっていう恐怖があるじゃないですか。外野の応援席に陣取ると、わずかばかりのスワローザーが惨めに肩を寄せ合いタムロしてるわけですね。さながら難民キャンプみたいな。



 まあヤクルツファンは少数民族だからね。権利を蹂躙されるのは仕方がないですよね。



 そういう状態で、浅田真央はソチで戦ったんじゃないですか。周りはみんな敵というか血に飢えた阪神ファンだらけのコロシアムな感じ。うん、分かる分かる。私ね、スワローズファンですから、少数派の気持ちがとても良く理解できるんですね。ああ、迫害されているぞーって。白い目で見られているぞーって。縦じまのユニ着た子供たちに指差されて真正面から人権否定されてるぞーって。



 そんな浅田真央が他国にどう評価されているかなんて、私たちにしてみればレフト畠山みたいなもんです。畠山が、他のチームのファンに好かれてるか嫌われてるかなんて関係ない。それは分かりきっていることじゃないですか。畠山、奴はプロですよ。間違いない。



 ええ、阪神ファンの皆さまは、かなりご自由に畠山を野次っています。「デブ、こっち見るな」とか「甲子園の外野は養豚場ちゃうで」などと直接的なのもあれば、「おい畠山、自分はグラムなんぼの肉や?」みたいな高度な野次も存在します。しかし、間違っても「畠山の容貌には不釣合いなほど立派で美人な奥さんを貰っているらしい」という肯定的な情報に基づいた野次など飛び出さないわけじゃないですか。やっぱりね、スポーツを現地で観戦するものとして、敵味方関係なく心に抱く連帯心というものがあるわけですね。ああ、そこは踏み込まないよな、っていう。阪神ファンも良く分かってるよな、っていう。



 で、スワローズは人気はともかく、チーム状態は常に「主力の怪我人の数」によって左右されるじゃないですか。うっかりバレンティンでも怪我しようものなら、すかさず3番川端4番畠山5番飯原みたいな絶望的なオーダーが容赦なく小川監督から繰り出されるわけですね。下手をすると3番に森岡や5番に相川が送り込まれるわけです。容赦ない。何でしょう、この故障オリエンテッドな暗黒臭。離脱前提のチーム編成。誰か助けてくれ。で、先発が赤川だった日には、球場でラインアップを聞いた瞬間に帰り支度が始まるわけですね。帰らないけど。



 スワローズの何が困るって、別に阪神に限らず、どこの相手でも、どの球場でもアウェーになることなんですけどね。神宮観に行って、一塁側まで広島ファンが侵食してきてる環境下で前田智徳さんに江村が死球やらかしたときは無言の帰宅を覚悟しましたね。私、生きて帰れないんじゃないかとね。そのぐらい、神宮が殺気立ってました。ホームなのに、まったく生存権を保証されていない物騒な雰囲気じゃないですか。前田さんとカープファンには一人のスワローザーとして深くお詫びする次第であります。



 そして13年シーズンはバレンティンが頑張っていたので、だいたいバレンティンの後ろの打順に豚、もとい畠山が座っていました。まあ… そこまではよろしい。しかし、僅差の試合の終盤で何を思ったか小川監督、4番バレンティンがあれだけ好調なのに、2番上田が出塁したあとで3番川端がまさかの送りバント。空いた一塁は当然バレ敬遠で埋まって畠山勝負とかされるわけじゃないですか。一死一二塁ですよ。そこで畠山ですよ。満を持して、畠山ですよ。嫌な予感しかしないじゃないですか。



 もうね、二球目の緩い低めのスライダーを華麗に引っ掛けてショートゴロゲッツー。

 混じり気なしの、本気で純粋な6-4-3。芸術的で、まろやかな口どけ。



 あー、という声も出ないですわ。やりおったかと。やりきりやがったかと。皆さん、これがお金を取ってプレーをお客様に見せるプロの仕事じゃないですか。匠の技じゃないですか。畠山の畠山たる所以であります。一塁側と三塁側とに分かれ、各々違うチームを応援し、一勝一回一球の有利不利に一喜一憂し、打っては喜び打たれては嘆き野球を観戦しているファンが、畠山の放った一本のクソのようなゴロのお陰で、球場にいる敵味方全員が「アチャー」という気持ちでひとつになれるのです。世界の融合を演出できたその瞬間、私たちは時代の目撃者となる。これが観たくて球場に足を運ぶのです。



 つまり畠山のゲッツーこそ、浅田真央が転んだことと同義ですよね!!



 そして、本来は浅田真央も畠山和洋もいざというときはちゃんとやってくれるアスリートじゃないですか、マジで。畠山は太ってるけど。浅田真央が転んだとき、まあ私は寝てたわけなんですが、あとでその話を聞いて、一瞬、頭が働くわけですね。これって、野球に例えると何であるかと。これは石川の炎上か? いやいや、実はまさしく畠山のダブルプレーのことである、と結論を導き出すわけじゃないですか。



 ああ、スワローズファンで良かったなと。私をスワローズに導いてくれた魔将ガイエル様には感謝が尽きません。本当にありがとうございました、と。今季もよろしくお願い申し上げます、と。

 そういう魂が震えるようなコラムをここで不定期に書いていきたい。そう思っております。



 そういうわけで、フルカウントはこちらです。連載が始まるのは3月後半かららしいですが、特に何を書くかは決めていません。



ヤクルト

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