一文で言えば「多変量解析するのに全部ビッグデータである必要はどこにもねえだろ」という結論へ向かって邁進する鼎談を、統計家の西内啓さん、新潟大学法学部の田中幸弘教授とでやらせていただきました。



西内啓 × 田中幸弘 × 山本一郎 ビッグデータを語り倒すの巻(1)「ビッグデータは幻想なのか?」

http://www.advertimes.com/20140210/article146371/



 学識と実践を両立しておられる西内さんと田中先生の間に挟まって、出会い系サイトのサクラ用文節解析とか有料リンクを駆使したSEO対策屋さんなどのイット系業界獣道を歩んできた私がいつもの黒いスーツを着て仕切るという不思議な内容に驚愕です。


 もっとも、ビッグデータとパーソナルデータのあり方というのは先のヤフー関連の事案と並んでいろいろと考えるべき状況にきているのは間違いありませんし、あまり強烈にぶっ込みにいくと引き返しがつかない状態になって消費者金融のグレー金利問題と同様に気がついたら天文学的な賠償請求をよその国から起こされるという飯が旨い事件も起き得るのが現状です。はい、全然笑えないですね。



日本政府のパーソナルデータ取り扱い方針を巡り、ヤフージャパンが過激な主張をして炎上

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20140127-00032031/

ヤフージャパンがビッグデータ周りで余計なことを言って炎上するさまが素敵でござるの巻

http://www.advertimes.com/20140203/article145508/



 第1回は、そういう大枠のところで「そういえばデータってどう活用するために収集してたんだっけ?」というべき論部分も含めて障害になっているものを論じさせていただきました。良いとか悪いとかではなく、データをビジネスや研究に活かすと一口に言っても、そもそものゴールの設定や、自前のスキル、ツールのセットでできることできないことは意外に見えないものであります。



 そして、見えないものを探すためにはどういうアプローチが必要か? というアドバイスと実践には、分かっている人だけが手を動かせばいいのではなく、分かっていない人にも啓蒙して理解してもらい、収集の仕方やデータの読み方、改善提案の行い方までワンセットで提示してあげなければなりません。そうしないと、日常業務で改善することなどほぼありませんので。



 日本の製造業が強かった理由も、少量ながらデータを扱ってそこからQOC活動も含めた改善をステップに現場が有機的に動いてきたからで、それらの足腰が痛んでくると容易にどこぞのソニーやパナソニックのようなトップの迷走に直結することになるのかもしれません。



 そのあたりも踏まえまして、ぜひご笑覧賜れますと幸いです。よろしくお願い申し上げました。