訴訟や摘発が怖いくせに社会派気取るのは良くないと思うんですよね。



秘密保護法の思わぬ余波… 「ブロガーも処罰対象?」で時事評論「断筆」相次ぐ

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131230/crm13123012010011-n1.htm



 記事中にある「響堂雪乃」とか「陽光堂主人」など、知らないんですけど。



 ガセネタ流して盛大に祭り上げられた上杉隆さんならともかく、ネットに文字流すことを活動としている人が、日本社会にとって真に大事なことだと思った内容を「処罰されるかもしれないから」と日和って断筆するならその程度の話だったということじゃないでしょうか。



 ただ、いろいろ問題意識を持って話を聞きにいった先が、国会議員や秘書や公務員やOBだったりすると、書いている私だけではなく先方にも迷惑がかかることもあるでしょうから、それはそれで配慮することはあるのかもしれませんが、基本的には取材先が議員や公的機関だから社会時評をしなくなるとかそういう話はないでしょう。


 むしろ、そういう特定秘密保護法を拡大解釈し、ブログも含めた社会時評その他与太話にまで処罰の対象が及ぶのだという荒唐無稽な話を前提にした結果、過剰に牽制されすぎて言論空間が自粛ムードになって封殺されることのほうが問題じゃないですかね。



 日弁連は、このようなことを言っています。



秘密保護法は必要?

http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html



 もちろん、そのような意見があることは否定しません。日弁連はそういう問題を常に一定のスタンスで取り上げ続ける立場ですから、それは理解します。



 秘密保護法に反対の論陣を張ったメディアも含んで、そもそもが日本の情報保持体制や罰則規定が乏しくスパイ天国とされてきたこと、そして実際に大きな情報漏洩が行われた結果、時の民主党政権も情報保護法の必要を主張していたわけですよ。



民主党&福島瑞穂さん、特定秘密保護法案推進派でした!【ブーメラン】

http://www.youtube.com/watch?v=SgIgxusvQnU

民主党、特定秘密保護法案でも「ブーメラン」 防衛秘密、大半は民主党政権で廃棄されていた

http://www.j-cast.com/2013/11/21189624.html

尖閣ビデオが流出した時、社民党や共産党は何と言っていたか?

http://hamusoku.com/archives/8163227.html



 私たちが日ごろ言う「政権担当能力」というのは、こういうところに出るんじゃないですかね。与党になって、機密情報の漏洩がマズいことを知る、しかし現状の法体系ではカバーできても実効性や処罰が甘い、なので然るべき法律を設置しておかないと危機対応ができない、とね。



 で、そういう大仕掛けがある中で、仮にブログで書いたことが問題となって秘密保護法によって逮捕だっていう話になったとしたら、それは粛々と受け入れて罰を受けるまででしょう。議員や役人から情報を仕入れて社会問題について論じるってのは、そういうリスクを負う世界になりました、というだけで、別段情報の仕入れもせずにメディアを見て社会時評やってる人たちは無関係じゃないですかね。



 秘密保護法は騒がれすぎて、なぜかブロガーまでもが咎を負うのなんのという話になってて微妙すぎますが、変に騒ぐと「ブロガーの権利を守れ」とかいうブロガー協会みたいなのが上杉隆さんみたいなのの手によって立ち上がりかねないので、むしろそっちのほうが気になりますね。



 そんな摘発されるかもしれないほど際どいネタでブロガーが逮捕されたりしたら、これこそが勲章だと。おいしいと。そう思う次第です。



(補遺 19:25)



 さっそくメディアの方からご意見を頂戴しました。



[引用] 山本さんはご自身の両足で立っておられる。しかし、新聞記者はいま以上に、当局からの情報に依存し、彼らの発表がなければ紙面に載せられないという悩みを持つので、そこはお手柔らかに。



 それはそうなのかもしれませんが、メディアで情報を職業人として扱っておられる方こそ、倫理観を持って社会問題に取り組んで欲しいというのが国民の率直な想いなんじゃないですかね…。



 報道って、そういうもんだと思うんですわ。尊敬する人が多いのも、肝の据わった報道の人たちがいるからこそでありまして。