昨今騒ぎとなっております新日鉄住金の植民地時代の強制労働に関する韓国での訴訟についてですが。



最高裁敗訴なら賠償の意向、新日鉄住金

http://www.47news.jp/FN/201308/FN2013081801000905.html



 聞き及ぶ限りの今後の日本政府対応についてはメルマガに書こうと思っておりますが、日韓間での条約に対する考え方の差はあれども(韓国の最高裁その他司法が日本に伝えたいことの理解はできなくもないけれども)、一連のお話について言えば韓国の司法は全体が狂ってるだろうということです。


 本件については、日韓基本条約と他に日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)が重要なんでしょうが、



戦時徴用訴訟「韓国は法治国家なのか」 政府静観、苦渋の決断

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130818/plc13081809240005-n1.htm

日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)

http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html



 外務省的にも「はぁ?」ということで、メディアに流れている日本政府は静観というニュアンスとは違い、例によってドタバタしておるようです。



 ただ、本件に関してはいわゆる「OINK」事例として済ませるべきことではなく、何より新日鉄住金の特許権も含めた「民間だけではどうにもならないこと」が含まれている以上、日本政府の何らかの対応は必須です。というか、単に新日鉄住金が韓国から撤退すれば良しという話ではなく、特許権が置き去りになれば付加価値の高い鉄鋼工法を含めた知的財産が没収される可能性が高い以上、日本政府の支援が無い限り敗訴の場合は賠償に応じなければ不味いわけであります。



 韓国の大法院については、第二次世界大戦の際に労働者として徴用された韓国人9名が三菱重工と新日本製鉄(住友金属が合併して現・新日鉄住金)に対して損害賠償を請求した訴訟の上告審個人の請求権は消滅していない、との判断を下しています。これは韓国政府の見解とも日本政府の主張とも隔たりがあるわけですね。



 ただ、理解しうる点としては、複数指摘されていることではあるんですけど、日韓基本条約など戦後処理という形で日本がサンフランシスコ講和条約第4条で処理しているものは韓国からすれば「ポスト植民地支配」の清算にはならない、という主張ですね。



 なもんで、本件というのは従軍慰安婦などよりもはるかに英語圏への情報発信と日本の立場の表明を強力に推し進めなければならない事案になったということです。韓国側の主張もまあ理解できるところではあるため(もちろん支持はしないけど)、日本は講和条約や日韓基本条約であくまで戦後処理は終わったと言っているだけで、植民地支配に対する賠償は終わっていないのだ、とかネグる可能性があるわけですから。



 そして、それは一定の説得力は持ってしまいます。



 明らかに韓国の司法はキチガイの部類に入るんですが、国際的にこの辺の話を強弁されると、戦後処理も含めた基本的な東アジアの処置が根底からひっくり返ってしまい、さらなる賠償や譲歩を求められる状況に立ち入ってしまいかねないわけですね。



 ここまでくると「馬鹿は相手にしない」という作戦は通用せず、馬鹿を上回る説得力で味方を世界で確保する作戦でないと、相当にマズいよ、ということは言えるのではないでしょうか。