ごめん。本当に申し訳ない。今日で分かりました。思い知りました。今夜は、リアルタイムで観ているべきでした。取引先と飲んでいる場合ではなかった。



【新総帥誕生】西武の中継ぎ、サヨナラ暴投で試合終了wwwwwwww

http://blog.livedoor.jp/yakiusoku/archives/53944200.html



 いやー、これはヤバいわ。今日QVCマリンに観戦にいって最後まで観たライオンズファンの皆様、確かにご愁傷様なんだけど、最高に思い出深い、歴史に残る試合の目撃者になったんですよ。羨ましいわ。嫉妬を隠せないわ。だって、まずは延長同点で出てきて挨拶代わりの四球、さらに挨拶欠乏症に見舞われ即死球、その後よりによって今江に、今江如きに送られて、鈴木大地を敬遠。っていうか鈴木大地誰だよお前。一死満塁で荻野。荻野か… 満塁か。という中で、ボール球二球投げて、そろそろストライク欲しいねって言ってる間もなく暴投。それも、ボールゾーンからボールゾーンへ外れていくクソ変化球が地面に叩き付けられて炭谷のミットを掠めることなくバックネットへ。



 もちろんね、サヨナラ負け。ヒットを打たれることなく。



 これはね、大沼ですよ。これこそ、大沼幸二の心を受け継ぐ者ですよ。ノーヒットで敗戦。これ。不肖この山本一郎、その誠意に心を打たれました。英語で言えばヒットマイハート。素晴らしい。世界に冠たるパリーグで語り継ぐべき歴史の1ページにぶっとい文字を豪筆で刻んだ瞬間であります。ついに、あとを継ぐ者が名乗りを挙げたか。挙げてしまったか。酔っ払って帰宅の電車に揺られている最中に、私は叫んだね。これだーーーっと。震えたね。しゃがみこんだね。不審者と間違えられたね。いや、不審者と思われてもいいと思ったよ。大沼がパリーグから去って以降、私たちはパリーグにおいて必要不可欠である大沼的なるものの欠片を捜し求め続けてきたんだ。それは単なる炎上じゃない。全力で打者に立ち向かっていった結果の、晴れ晴れする戦いの帰着点としての爆発的な壊滅ですよ。もう渡辺監督の残り髪のすべてがストレスで抜け落ちて球場に集うすべてのファンが涙して降雨コールドになるような、そういうパリーグがパリーグであるための要素そのものです。


 いいですか。私はね、決して揶揄したり馬鹿にしたりして言っているんじゃないんです。心の奥底から湧き出る、この「やりおったか」という感じ? ああ、言われてみれば背番号15を背負ったからには宿命として大沼的要素を受け継がずにはいられなかった大石、なぜそれに気づかなかったのでしょう。よくよく成績を吟味するならば、ストッパーに相応しくない好調不調での空振り率の変動から今夜のご丁寧な挨拶群に至るまで、これは大沼でした。贔屓目に見ても、やはり西武の中継ぎです。もはや西武の伝統芸能といっていい。ついに、西武はあまたいる炎上する中継ぎで日々弛みない炎上と先発の勝利投手権利消滅の果てに大沼の後継者をついに獲得したのです。



 大石。そう、もっと四球を。クソボールを。地面を撥ね、打者に当たる荒れ球を。それはテクニックでもコンテクストでもない、心だ。本来あるべき大沼の精神を受け継ごうという熱き魂だ。園川の遺志は檻・中山が10失点完投という実績で応えて引き継ぎ、そして大沼力を発揮できる英雄の器として大石がいま魔剣エクスカリバーを刺さった岩から抜いた。



 残るは初芝的なるものの後継者のみです。全能なる神は私たちに恵みを授けられた。この祝福を祝いましょう。



 ああ、パリーグの未来は明るい。これこそ求めるパリーグの姿ですよ。私たちの命が尽きるまでその技と伝統をいまに受け継ぐ相伝の匠をようやく獲得したのです。それはベイス吉川が遠く福岡からパリーグの何たるかを学んで横浜に帰ってきた、江草は燃えてなお微笑み仕事をやりきった表情で味方ごと爆殺する技を体得した、増渕は、まあ最初からクソであり四球はいっぱい出してすぐ戸田送りになっているけれども、山本省吾や中山が左腕として着実に園川の伝統を受け継ぐ中で求められている右腕の誇りが大石なのですよ。あるいは谷中的な何か。



 いやー、感動に打ち震えています。まさか大石だったとは。本当に申し訳ございません。恐縮であります。やはり、西武はその名産地の誉れをかなぐり捨てることなく、見事にその役割を果たしました。お見それいたしました。私も心を入れ替えて、今年も西武の中継ぎを襟を糺し観察し続けることにいたします。



 この晴れやかな夜に私の決意に満ちた独白をお読みいただきまして、まことにありがとうございました。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。