そんなことをして欲しくて石原さんを都知事に選んだわけではないので、ちょっといい加減にして欲しいと思いつつ、私の心の中の抑えられない厨房精神は「それは面白いもっとやれ」と煽っているわけです。なんつーか、とても刺激的です。



尖閣諸島:石原知事「都が購入」…民間所有者と合意

http://mainichi.jp/select/news/20120417k0000e010191000c.html



 国ができないから都でやる、という最高級の嫌がらせは、中国政府に対するものというより、中国との関係を重視したい外務省に向けてのものかと勘繰ってしまうわけでございますが。


 大人の議論で言うならば、尖閣諸島は領土問題を議論するまでもなく日本の領土であり、日本が何らか対応をしようとすることそのものが領土問題の存在を認めることとなり、中国に対する一定の失点だと考えるのが普通です。なので、普通に外務省からすれば、一般論としても現実としても「余計なことをしてくれるな」という話でありましょう。



 一方で、我が国の法律においては他国政府が実質管轄するファンドでもある程度自由に土地の売買ができてしまうという問題があり、仮に今回石原さんの買取要請に応じた地権者が中国系のファンドに売却を許した場合、問題に気づいて国が接収する前にいろんな施設を現地に建てられて五星紅旗がへんぽんと翻る可能性があって、これはこれで痛い。



 なので、必要なものはそういう大人同士の外交の結果で出てくる妥協案ではなく、石原さんのような燃え盛る厨房精神に依拠した無分別というか蛮勇なのかなあと思うわけであります。



 惜しむらくは、重慶市のあれこれや次の主席への権力移譲で揺れる中国全人代開催期間前に発表できていれば、sengoku38ほどではないまでも相応の揺さぶりになったんじゃないかなと感じます。惜しいですねえ。ぜひ石原さんには東京都民のカネで尖閣諸島にソーラーパワーで動くレーダー施設でも建立していただければと思います。支持しないけど。



 なお、なんでかしらないけど橋下徹さんがエールを送ってて不思議な感じです。



橋下氏、尖閣買い取りは「石原知事しかできぬ」

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120417-OYT1T00324.htm



 お前、関係ないやんか… というか、誘われておらぬ。質問するマスコミも野暮だけど、これはどういう建て付けの話なんでしょうね。石原さんとの新党合同の件も、最終的には石原さんの人気・知名度もさることながら、裏側におられるパチンコ屋さんオーナー筋などパトロンと繋がりたいという話がメインになっておったようですし、確かに政治にはカネが必要だ、急成長している大阪維新は組織もカネも存分に使える状態にしたいけどなかなか産業界からの支持が得られないというところで悩んでおるようで。まあ、原発再稼動反対、大阪が停電しても認めない、という話だと、実態を見ずに人気取りに走るポピュリズム批判が橋下さん向けになされたとしても、それは致し方ないところであります。



 それにしても、全国の原発まるっと止めたまんまなら、東京電力管轄下なんかよりも明らかに近畿圏の電力事情のほうがヤバいのは衆知の事実だし、ただでさえ近畿圏の製造業など昼間の電力依存の高い産業構造からしますと停電が頻発したら文字通り大阪の経済は混乱してしまいます。それが分かっていないはずはないんでしょうけれども、民間を脅かせば節電が進んで電力がどっかから湧いてくるとでも思っているんでしょうか。



 橋下さん、出始めのころは期待したんだけどなあ…。