蛇口はとりあえず閉めておこうというお話で承知いたしました。



パチンコ企業1200億円申告漏れ

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120411/k10014359981000.html



 一時期は、悪質な所得隠しによる一斉摘発(いわゆる2億円ボーダー)や、海外のたまりを迂回させる地下銀行もどきの話まで乱舞していたのですが、表面上はごく穏当な方向で決着というのは非常にアレであります。


 細かい話になりますが、結構このお話は奥行きがありまして、どこぞの須田慎一郎さんあたりが何か書くかと思って静かに観察していたんですけれども何も起きなかったですね。まだ進行中なんでしょうか。



 そもそものセントラルグループについては、どういうルートでニックス租税とくっついたのか良く分かりません。民族系仲介者の絡みだと言う人もいれば、パチンコ卸の交流会での顔なじみという説もあって、何だろと思います。



 ただ、入り口というか蛇口のところがすでにこうであるということは、出口のルートがしっかりあるからリスクを踏んで節税脱税に踏み切るわけで、制度の不備を突く以前の問題として、収益構造の概観から所得隠しの実情のありなしを判断していくという外形的調査の必要性がより高まっているとも言えるわけです。



 同じ方法でパチンコチェーンが40グループも巨額の節税をして、各国税局が気がつかなかったとは思えない、という性善説に拠るならば、そもそも損失子会社の現物出資など箱が複数積み重なっている状態を国税が視認できなかったとは考えられないとも言えるわけです。だって、損失を抱えた子会社を合併させて利益を飛ばす方法でやっているならば、当然決算書においてはそのような処理をされているわけであり、もとのP/L上の売上が少なかったように見せかける方法ではなくコストがかかっているように見せる方法である以上、見れば一発なわけです。



 ということは、各パチンコチェーンに対する定期的な税務調査において、節税の手段の説明も含めて合法的かつ適格に企業状態を税務当局に開示し、法的にはそのとおりであるので申告漏れの指摘すらできなかったということになるわけです。



 より広く解釈すると、大手企業における営業債権や売掛金の調整だけでなく、子会社を使った仕組みは現在野放しである可能性もあるんじゃないかということで、これがさらに海外子会社や投資先企業が絡んでくるとなかなか捕捉できないのでは、と思われるわけです。



 昔は、壷や掛け軸など外形的には価値の分からないものを使ってごまかしてきたわけですが、現在は堂々と帳簿に載っているけど無価値という不思議子会社を使う方法が一般化して、一律基準や反面調査を駆使した適正性の洗い出しというよりは同業他社との比較やビジネスモデル審査から逆算した適正利益率からの判断でやっていくことも考えるべきなんだろうなあと思うわけであります。



 まあ… 金額は小さいけど映画やアニメの版権も最近計上がおかしいケースが増えているしなあ…。