温度だけがぬくぬくと上がっていく割に、あまり肝心なことが書かれないので、無難な感じで一応書く。そのうち、ちゃんと4Gamerでも書くかもしれませんが。

西村博之氏の名前も報じられた「2ちゃんねる捜査」で警察が狙う「Web業界」取締強化に隠された「思惑」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32220

 2ちゃんねる関連はスルーするとして(私への賠償金は早く払って欲しい程度のことしか思わない)、どうも官憲がネット業界への規制を行う方向でテーマを作っている、というような話になっています。

 ちなみに、記事のオーサーは伊藤博敏さん。
 で、ソーシャルゲーム業界については、そろそろ何らか規制を入れていかなければならないというのは、ウェブ業界やIT業界がどうであるかは別として常に議論はあって、そもそも店舗営業をしていなくても遊興や風俗の類の娯楽の提供を業としていれば風営法の枠内で考えていくべきであって、ゲームセンターや雀荘が規制されているのにケータイで娯楽を提供するソーシャルゲーム業界が規制の枠外というのはそもそもおかしいという話です。

 もっとも、オンラインゲーム業界という枠内で言うならば、ここ10年以上にわたって放置されてきた部分であり、むしろネットでのサービス提供に正規の法規制がかからなかったのは異常と言ってもいいんですね。

 伊藤さんの記事で、敢えて触れなかったのか取材しても話が出てこなかったのか分からないけれども、ソーシャルゲーム規制を進めて欲しいと強く希望していたのは、ソーシャルゲームに顧客を奪われ続けているパチンコ業界の一部重鎮であり、FX業界に対する規制とあわせて相応に強い圧力がかかってきていたことも考慮に入れておいたほうが良かろうと思います。

 それが、なぜか警察の権限拡大や天下り先の確保が目的であるとか不思議な言説になっちゃうのがまた難点で、オンラインカジノや子供に対するギャンブルの提供という点では日本の対策が世界的にも遅きに失して、日本ではグレーのガチャによる賭博はアメリカを含む海外では当然違法という部分は指摘するべきであります。

 ガチャの”再発明”については、これはネクソンジャパンの発案であって、この儲け方にソーシャルゲーム業界が何の疑問も持たずに乗っかってしまったのもまた問題で、規制に関しては有価証券に類するものとして風営法をオンライン営業方面に拡張して改正するという方向でよろしかろうとは思います。

 ただ、これを書き始めると長くなるので微妙なとこですけど、いわゆる「規制」と「摘発」は本来別物であるにもかかわらず、いろんなところでインシデントが輻輳した結果、規制も摘発もというセットになっちゃってるのは困りものです。拡大解釈すれば現行の法令の範囲内でも摘発可能とは思いますけれども、無理筋を突っ走るとwinny事件やライブドア事件のような事案になって揺り戻しや当局への不信感の醸成など望ましくない返り血も浴びかねないと感じるので。

 ソーシャルゲーム業界も、ようやく文脈に気づいてくれたようで、対策を打ち出したプラットフォーム会社が出てきてくれたということで、少しずつ穏便な決着へ向かっていけばいいなと思うわけですが、どうも警察も上のほうと各現場では温度感がかなり違うということで、どっかmixiとかGMOみたいな人身御供でも差し出して問題をやり過ごすのが一番良いのではないかと思うわけです。

 なので、ソーシャルゲーム界隈で収益を上げて、これを実績に株式上場しようというベンチャーに関しては、どう待ったをかけるのかは気になるところで。