察知した楽天がしばらく騒いでいたのはどうやらこれだったらしい。

ミクシィとDeNA、ソーシャルコマース分野において業務提携
http://dena.jp/press/2012/01/25release.php

 集客はできるけどコマースで出遅れて強化したいmixiと、集客はできるけどデジコン以外のコマースの売上がないモバゲーを抱えるDeNAとの連合ということで、なんか第二次世界大戦で例えるならドイツの圧力に屈してダンツィヒ・ポーランド回廊割譲に追い込まれたポーランドのようなmixiがナニかなあと思うわけです。
 しかも、リリース文面をよく読むとDeNA側が出してきた弾が「コマースに関するノウハウを持ち、『ビッダーズ』を運営するDeNA」というとっても微妙な雰囲気が醸し出され、ジャニーズの人がくるというので嵐かV6でも出てくるかと思ったら男闘呼組だった的な展開が素敵です。ビッダーズって、お前な。業務提携はするけれど、モバゲータウンからの動員をしますとは一言も書いていないのですね。

 また、mixiタウン構想それ自体はmixiの現状の集客層やリソースを考えるととても良い事業戦略だと思うんですけど、その具体的なサービスへのブレイクダウンの材料が「「mixiページ」をはじめとする趣味や嗜好に関する情報発信・収集が可能なサービスの拡大」って話になってて、それでどうやってライフログを収拾してレコメンドエンジンを回してコマースに繋げていくのか導線がまったく分からないというのも好材料です。なんかブルペンでは好投するんだけどマウンドに上げると四球を連発する元巨人の小野とか楽天の青山とか西武の三井とかを彷彿とさせますね。

 もちろん、ビジネスですからまず合意できるところを先行して発表して株価を上げていき、事業構築のスピードや成果を見ながら少しずつ連携できる幅を広げていこうという考えと思われるので、そのあたりは両社にとってあまり悪い話ではないなと思います。

 最近では、OSI による認証を経ずに突然オープンソースを自称する不思議なフレームワークを発表したものの、スマホ方面の開発界隈では「それはソフトウェアのオープンソースではなく、濃い口ソースのビンの蓋が開いて異臭がしている状態という意味でのオープンソースのことなのか」と議論が喚起されている状態です。まあ、DeNAもよく考えたうえでそういうレギュレーションにしたのでしょうから、それはそれで仕方がないんですけれども、もう少しやりようがあったのではないかと感じるところです。

DeNA、HTML5開発支援フレームワーク「Arctic.js」を オープンソースとして公開
http://dena.jp/press/2012/01/denahtml5arcticjs.php

 下請け的にはMobageオープンプラットフォームにだけコンテンツをリリースする案件など一個もないので、クライアントに言って「キャンペーンページとかでFACEBOOK使うんで、営利目的で使用・複製する計画になってまして、DeNAに書面による使用許諾を貰っといてください」とか無駄な実務と踏み絵的なハードルが用意されてとても楽しいです。っていうか、ヤフーサイドからヤバゲーに開発タイトル提供しているうちの子会社とか、ほんとどうなっちゃうんでしょうか。まあ、Arctic.js使わなければそれでいいんですけど。

 なお、そっち方面の業界では、第二次世界大戦で例えるならば、楽天を中心とする共産国と、DeNAを中心とする枢軸国と、mixiによるポーランドがある状態かなあと思うんですが、連合国ぽいのがないので、なんか他にいい喩えがないか絶賛募集中です。みんな仲良く争って、殴り合った挙句、みんな綺麗さっぱり共倒れするといいですね。