年末のお得意様大ブランドマッピング大会に臨むにあたって、何となくの整理など。終わったら4Gamerに記事を書く。書かないかもしれないけど。

■ リメイク批判を怖れない

 原作モノ同様、前作でたくさんプレイ時間を費やした作品のリメイクはユーザーの反応が厳しい。続編より厳しい。しかし、ウェブでの批判や酷評をよそに数字が出るので、気を良くしてリメイクをたくさん企画すると、一層のリメイクバッシングを受ける。

 リメイクを作るのは何故か。売れるからだ。売れるから作るのであって、売れないものを作ってバッシングされるより売れるものを作って叩かれたい。
■ リメイクは独創性がなくなるのか

 リメイクで必要なのは何か。優れた原作と、その原作が出た当時よりも進んだ表現技法、そしてたくさん投入できる予算だ。システムはある程度同じで、シナリオは一度売れたものをリファインし、さらにグラフィックは前作より格段に良くなる。

 前の作品のトレースだから、独創性がなくなるよという批判を受ける。でもね。制作ラインのすべてに独創性のある人がいるわけじゃないんだよ。あるいは、独創性のあることが、組織の中で権力を持ち続けること、心が折れないこと、品質を維持できることを保障してくれるわけじゃない。独創性がなくても、トレースならできる。そういう人の適材適所がリメイクや原作キャラモノ、システム面のシリーズモノであるということ。

 独創性が欲しいなら、名倉を批判するなと言いたい。

■ 作品は読者やファンと一緒に年をとる

 私は黒澤明監督作品が面白いと思ったことがない。いくら名作だと力説されても、つまらんと思うものはつまらん。ジャンプも読まないし、アニメもほとんど観ない。ガンダムAGEがクソだと言われても、観てないから知らん。

 だけど、数字でどういう顔つきをしたお客さんがその作品についているのかは良く知ってる。だいたい、作品のリニューアルをしていないシリーズは、シリーズのファンと一緒に年をとり、色褪せていく。クラシックとかならそれでいいけど、商業作品でファンと一緒に年を取るのは死を意味する。だから、仮面ライダーもガンダムも若年層というターゲットを目指してオールドファンから巻き上げたカネをぶち込んで作品を作り続ける。

 リメイクもまた、新しい表現技法で若いファンを捕まえていくためのプロセスに過ぎない。

■ リメイクラインで制作技法を試す

 リメイクの一番作りやすいところは、工数が読みやすいところ。想定していた工数の三倍になったという話はあまり聞かない。逆に言えば、シンプルシリーズしか作ったことのないような外注でもマイルストーン納品をこぼすことは少ない。それでもこぼしてるけど。死ね。

 技術が変遷していく中で、自社で培いたいアジャイル開発的なのとか、アンリアルエンジンのラインを試すとか、描画方法、UI、AIといったもんを投入してみる半製品プロトタイプとしてはとてももってこいだ。だってシステムはあるんだもの。

 さもなければ、なんか2億円もかけてお姉チャンバラのパチモンみたいな作品をクリエイターに作らせるという惨事を起こすことになる。ほんとどうするんだろう。

■ 海外市場にシリーズを売る橋頭堡を作る

 私が一番力説したいのはこのポイント。アジアに売ろうよ。シリーズを。テレビの前に座ってゲームをする習慣のない人たちに、美麗な世界の中で沸き起こるストーリーを楽しんでもらおうよ。

 日本人からするとクソシナリオで酷評に値する残念厨二展開で主人公が脚本家の考えた自己中のクズガキだったとしても、まだそういう分別のつかない人たちにはそれが新しいんだ。いま、アジアでは昭和40年代か50年代に流行ったような、日本人から見るとチープなシリーズモノがすんごくウケてる。中国人が村上春樹作品にハマるようなもんだろ。

 ただし、そのまま持ち込んだらグラフィックが寒すぎて負ける。だからしっかり最新映像をブチ込んだリメイクを作るべき。

■ 素材の海外調達を増やせ

 もう国内のスタジオ使わなくてもいいだろ。高いし。いちいちJRPGとか言ってる業者も潰れそうだし、やはり伝統芸能としてのJRPGを新規で国内にて制作する必要もないんじゃないかと。

 下手したら、宣伝以外のプロデューサーも日本でやらなくていいじゃんと思うわけでね。もちろん、一番の障害はそういう経営判断する人本人の英語力。というか、外人とコミュニケーションを取る力の不足。頑張ろう。

■ リスクを減らせ!

 文字通り。でも、各社がリスクを最小化させ続けた結果、全体のパイが減少しているのは偶然ではあるまい。CG業界もゲーム業界もIT業界に比べて二割以上人件費がディスカウントされているんだよ。IT業界に人が流出するのは仕方がない。

 それでもいいからリスクは減らすしかない。ラインナップを削り、社内の制作環境をテンプレ化し、海外調達を増やし、新規IPとシリーズ・リメイクの比率を見直し、直販・DLCの比重を増やして軽量級のタイトルを安価にリリースして客を増やすんだ。

 商売のスコープを見間違うと大変なことになる。いまさらソーシャル凄いとか言い出す羽目になる。

■ マネーゲームしろ

 もう「優秀な制作チーム」って概念の比重が低下した。クリエイターっていう存在も絶対ではなくなった。カネを生むシリーズタイトルを抱えた会社を買って、規模を大きくしないと売上がもたない。充分マネーゲームの世の中だ、というけど、調達の側からするとまだまだ全然足りない。年に二本か三本の大型タイトルが出ている状態でないと、世界市場でも国内市場でも存在感を示せなくなっているんだよ。知名度が低いから売れない。いい人も来ない。利益も出ない。縮小均衡でござるよ。

 世界的な競争にはとっくに日本勢は負けているのだから、世界に打って出られるAAAタイトルの制作を目指すTier1と、国内のオタ・腐女子向けに小予算で迎合しっぱなしのTier2に分けて頑張っていくほかない。どっちも頑張ろうなんて無理よ無理。黙って使えない30代をリストラするべき。っていうか、数年後のラインアップ数だけ目処を立てておいて、必要な人数だけ残していく形になるんじゃないの。