いいぞ! そのまま殴り合え!

 という外野の楽しい叫び声がネットの中を反響しております。最高に楽しいです。

訴訟の提起に関するお知らせ
http://www.gree.co.jp/news/press/2011/1121_02.html

 もちろん勝者は両陣営の弁護士! こんな無理筋の訴訟で双方拳を振り上げ本腰の殴り合いを地裁で繰り広げるからには、相当な事前準備をしているはずです。それにしても、このプレスリリースを見ていると賠償を求める根拠がまたいろいろとアレでありまして、本当にこれでいいのか存分に悩むんですよね。

 GREEの言い分は余すところなく書かれていて、言いたい気持ちは分かるんですけど、KDDI巻き込んで提訴するほどの内容なのかなあ、むしろ薮蛇なんじゃないかなあ、と。DeNAがどういう反論をしてきそうかも含めて議論するわけですが。あくまで一般論として。はい。
[引用]公正取引委員会という国家機関が違法であると認定した行為に対し、当社として何等の法的措置を講じないことは、株主様に対する当社経営陣の責任遂行という点においても問題があること

 何でだろ。公取が排除措置は出したけど、それは取締役決議事項としてDeNAが諸事対応し、出入りしているアプリケーションベンダーやソーシャルゲーム提供事業者に対して通達を出し、実質的にそのような行為が今後行われなければ良し、とされるものなんじゃないの。っていうか、GREEが法的措置を講じなければ株主に対するコンプライアンスをまっとうできないというのは先走り汁なのではなかろか。

[引用]上記違法行為は、当社の事業のみならず、数多くのソーシャルゲーム提供事業者、キャリアその他インターネット業界に対しても大きなマイナスの影響を与えており、その影響はいまだに続いていることから、健全な競争環境確保という点で大きな問題が継続していること

 これって、裁判の過程で明らかになっちゃうの? ソーシャルゲーム提供事業者が「DeNAにGREEへタイトル出すなって強要されたんすよw」って証言したりしちゃうの? それこそ踏み絵なんじゃね? むしろ、これによってソーシャルゲーム提供事業者がさらにDeNAを取るかGREEを取るか的な陣営に分かれることになりかねないんじゃね?

[引用]そのため、今後の日本の産業界の牽引車と目されるインターネット業界自体の健全な発展を歪める恐れがあり、また、ひいては消費者の選択肢を狭めるという点でも公益を害しており、そのような意味で極めて問題のある行為であること

 だったらまず未成年者略取の被害がGREEでなお増えているように見えることをカバーしてから論ずるべきなんじゃないですかね。業界の健全な発展を願うんだったら、客を装ったBOTをやめて欲しいし自社出資先を優先した客誘導は控えて欲しいし、出会い系まがいの行為が容易にできる仕様について、少なくとも未成年者への対応はしっかりやって欲しいという話になりませんかね。なりませんかそうですか。

[引用]DeNAは、昨年12月、上記違法行為を取りやめる方針を示しながら、その一方で、それ以後もMobageでゲームを提供しているソーシャルゲーム提供事業者がGREEでもゲームを提供しようとすると、これを妨害していると思われること

 で、これが本丸ですよね。おれっちの仕事を妨害すんなと。ここを主張するなら、取引先含めて踏み絵大会を裁判所でやるってことですかねえ。上の奴と論点被ってるけど、ここが本来の裁判の趣旨でしょ。

 最後のところ。これは肝なんですがー。

[引用](2) 主な訴求内容は、以下のとおりです。
不法行為に基づく損害賠償請求
同損害賠償として、金10億5000万円以上(グリー:9億円、KDDI:1億5000万円)



 なんでKDDIが賠償請求するんでしょうね。KDDIって確かにGREEのステークホルダーではあるけど、主たる事業者でもなければ、上記「インターネットの健全な発展の阻害」以外では何の提訴事由も持たないと思うんですよね。お前、ひょっとしてGREEに乗せられてうっかり血判状に判子捺しちゃったとかそういう話か? ここでGREE側の裁判に乗っかって飯田橋は何か良いことあるの?

 DeNA側のカウンターパンチを期待したいところでありますが、正直ここで提訴したところで具体的に何が出てくるのかさっぱり分からんのと、もし私がDeNA側だったら突けるところがあまりにも多すぎるということから考えても返り血を浴びる気満々のGREEの英断は野次馬として素直に評価したいところです。

 出会い系まがいのサービスは上場企業に相応しくないとか言う結論に達したりして、ついでにAmebaやmixiも巻き込まれて事業廃止の憂き目に遭ってまた出会い系サービスがアングラ系の稼ぎ頭に回帰する日を心待ちにしておりますし、できれば和解案としてポーランドみたいにmixiをソ連領として決着する運びとなっていただきたく、mixiは鉄のカーテンの向こうで幽閉されてのちシベリア送りとなり、生えてる木を一から数える作業に20年間従事して大韓航空機撃墜の現場を見る数少ない生き証人と成り果てていただいたうえで心置きなく無言の帰宅を推奨する次第でございます。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。