来客と来客の狭間でエントリーを書くテスツ。在香港の中国人有識者による日本政治通の皆さまの賭け事においては、前原圧勝→米中緊張の駒としての日本をどう御すか、というストーリーが花盛りでありまして、目下大混乱に陥ってざまあみろといったところであります。

 結局、アメリカ人であれ中国人であれ、日本研究しているのは第一線の人ではないか、他の研究と平行しておられる方が多いので、大きな政局になって行方を占っても満足に当たらないということであります。もちろん「ひょっとして海江田さんが勝っちゃうんじゃないだろうか。しかも海江田さんは私の選挙区だ。そしたら次の選挙では首相落選とかいう楽しいことが仕掛けられたりするのかこれは面白そうだ」と思って勝手にわくわくしていた私もハズレであります。せっかく小沢さんが海江田さんに鞍替えしたというのに、きっと勝てると踏んで勝負に出たと思いきや、なんだこの体たらくは。使えないにも程がある。
 野田さんについては、巷では財務省の傀儡で増税主義者で霞ヶ関シンパで注視したり注目するエキスパートという見解が広がっているようですが、たぶん当たっていると思います。野田さんご自身は、これといった政治信条や哲学を持ってそれを貫くというよりも、座布団を誰かに敷いてもらって、その上に上品に座り続けることに才覚を持っておられる調整型リーダーの典型のように思われます。もちろん、故・小渕さんのように、ビルの谷間のラーメン屋と思っていたら、首相に座るや低支持率にもまったくめげず連立政権の座組みの中で粛々と鈍牛のように法案を通して職責をこなした例もあるので、何ともいえませんが。各政策に対する姿勢は読売新聞のこれでも読んでいただくとしてですね。

小沢・鳩山氏の影響力拡大へ…海江田氏勝利なら
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110829-OYT1T00112.htm

 大連立やTPPといった主要政策の争点でも、野田さんは極端に主張を押し通す節もなく、正直民主党らしからぬ無難な人事だったなあと思います。なにせ、鳩山→菅と面白い人が立て続けにトップになりましたのでねえ。

 っていうか、海江田さんといえばこんな本を出していて、小沢政治からはもっとも距離のある政治家の一人なのかと思われていたわけです。それでも、小沢派に有望な玉がいないか、この局面で大事な玉を出すのは見送ろう的な判断があった末に、関係の遠いと思われた海江田さんを小沢さんが支持する、という面白事態になったんですよ。しかも、前原さんの小沢さん詣でがあったにも関わらず。

僕が小沢政治を嫌いなほんとの理由
http://www.amazon.co.jp/dp/4890503013

 そこまでやるなら一回目の投票で200票以上取れて「反小沢派、各個撃破されてやんの乙」的な作戦でも考えているのかと思うじゃないですか、小沢さん。そしたら蓋開けてみて海江田さんが143票とかって何ですか。惜しいとか惜しくないとかじゃなくて、全然駄目じゃん。二回目の決選投票になったら反小沢が票を寄せるに決まってるんだから、一回目で勝ちにきたと思うでしょ、普通。

 もう本当に駄目なんじゃないかと思うんですが、小沢さんについていえば、政権与党になってから政争に勝てなくて、その割に小沢シンパの声がでかいので、さも実力者のように見えていただけなのかなあと感じるところです。海江田さん支持を当初から表明していた鳩山由紀夫さん然り、今回退陣する菅直人さん然り、旧世代のトロイカについてはトロイカごと御役御免で真の意味で裏方に回っていただくのが一番日本のためになるんじゃないかと思いますね。

 ともあれ、野田さんが宰相の椅子に座るからには、日本国民が誇りを持ち、前を向いて暮らしていけるための政権作りに取り組んで欲しいと切に願います。