子会社や、幹部との人事面談が相次いでおり、どうしても東京をバタバタと出たり入ったりしている毎日でありますが、成果の出る人出ない人、同じ仕事でも悲喜こもごもであります。
前にも書いたんですが、私や私の影響力の及ぶグループでは、あまり成果目標というものを社員に与えることはありません。成果主義ではない、というのが正しい言い方になりますか。ただ、相応の能力は持ちながらも、なかなか活躍ができない、一歩、頭を出せないという経営者や社員がいて、そういう人には一定の期間を与えてある種のアドバイスをすることがあります。
というのも、私自身も、投資業務はともかく実業の面ではあまりマネージメントがうまくなく、ずいぶん遠回りをしてきたように自己反省するところもあり、自分なりに悩んでこんにちあるのは間違いありませんので、似たような立ち止まり方をしている人であれば悩みを共有できるのかなと思うわけです。
● ”もやもや”や、逡巡していることを書き出してみましょう
悩み事ってのは尽きません。社員には社員なりの、経営者には経営者特有の悩みってもんが存在します。人間関係だったり資金繰りだったり、働くことと暮らすこととの両立だったりまあ生きていくからには悩まずにはおられない、というのは当然のことであります。
で、悩み出すと寝られないとか、でもそういう泣き言を言うと管理職から外されてしまうんじゃないかとか、そういうジレンマとプレッシャーを抱えることになるんですよね。相談できる先もない、というのは非常にしんどいことで、かといって、自分が現実と向き合おうにもぐるぐると思いを巡らせたまま解決できずに半年一年とかってあるんですよ。
でもですね、自分の経験でいいますと、ずっと悩んでもやもやしていることっていうのは、書き出してみると、箇条書きでほんの数行、ってことが多いんです。「幹部社員や部門同士が仲が悪くて、うまく連携できない」とか「資金繰りがままならないので困っている」とか、根源的なものもあれば具体的なこともある。でも、一回書き出してみると、案外単純な一文で納まることが何個か同時並行で起きていて、全部いっぺんに取り組めない、だから解決しないと言っているうちに、次々と新しい問題が起きて、目先の対応を続けているうちに、もやもやが取れない、頑張っているんだけど解決できないのでだんだん疲れてくる、ということなんじゃないかと思います。
頭の中で、TODOとは別に、悩み事一覧を作ってみると、なんだ、そんな単純なことに思い悩んでいたのか、と客観視できるようになるんですね。マジお奨めです。というか、何に悩んでいるのか、何が自分の仕事や人生において障害になっているのかが分かってしまえば、解決の半分はされたような感じになれます。
● 整理していったり、行動計画に落としたり
悩み事の羅列ができると、対処法を考えていくのはそれほど難しいことじゃありません。担当している部門の売り上げが芳しくない、という悩みであるならば、より多く取引先を回るとか部下から新商品・サービスの提案をいつまでに出させるとかいう行動計画は作れるでしょうし、ではそれを実行するのに予算をどれくらいかけられるのか、稟議をどう通していくのかといった、「下流」へとどんどん考えを流していけばいいわけです。
一方で、悩み事の整理というのもありまして。一言で言えば「何で、これに悩んでるんだっけ」。実際には、悩む理由が曖昧なまま、ただ問題を押し付けられて悩んでただけってのに気づくこともあるんですよ、これが。なぜ悩み事を整理するべきなのか、悩みの「上流」を考える必要があるのかというと、解決すべき問題の優先順位決めをするために避けて通れないからです。
「就職希望先から内定が出ない」という悩みの下流は「どうやったら自己アピールが人事担当者に受け入れられるか」であり、その上流は「なぜ内定が欲しいのか。生きていくために他の選択肢を考えないのか」になるわけで、将来的に起業する意向ならばその業界の企業のアルバイト募集から仕事の仕方を覚えればいいし、むしろスキルとしては内定を貰うための技法よりも業界知識や事業計画の描き方、人脈の形成といった方向に重きが置かれるはずです。
「上流」がふらついていると、なかなか重なり合う悩み事をどの順番で処理していけば自分にとって一番望ましいのか、分からなくなってしまいます。これ本当。ちなみに、私の上流はずっと「いかにお金を稼ぎ続けるか」でありました。結婚して出産してからずいぶん変わってきたけれど。私の場合は結婚したかったし、子供も欲しかったので、それが実現したら、なんとなく上流も変わってきたわけですね。
● 相談の仕方自体がむつかしい
信頼できる相談できる人というのは貴重です。悩み事の相談をするというのは、基本的に相手に弱いところを見せることになるからですね。いいじゃん弱いところを見せたって、誰も利用したりしないさハハハハハという人は、まあ、あれだ、頑張れ。
とりわけ、起業の相談や、経営のジレンマというのはたいてい税理士さんや弁護士さんに相談することも多いのだけど、だいたいは下流の相談で落ち着くことが多く、創業は確かにできたけれど、売り上げが伸びてくれないという点で相談しても、せいぜい取引先候補の紹介があるかないかぐらいです。
また、ある程度裁量を与えられている企業幹部の人の悩み相談というのは、ぶっちゃけどうしようもありませんよね。たいてい、その人の転職とかまで踏み込むことも多いんですから。だいたい突き詰めると「この会社に居続けて大丈夫か」とか「他の部門との足の引っ張り合いが」とか、とってもパーソナルなネタになることも多くてどうしようもないんですよ。
結局、その人の求めること、すなわち、活動の上流がはっきりしないと、悩み事というのは解決すべき優先順位も決まらなくて、いつまでも同じところを悩みながらぐるぐると回るだけの時間を過ごすことになってしまいます。
● 時間はあまり解決してくれないということ
経営者などとの面談で「で、結局、お前さんはこの問題をどうやって解決するつもりなの?」と訊くと、ややこしい課題を中心に「様子を見ます」とか「時間が解決してくれます」とか「全員で議論して」とか「相手の出方を待とう」とかいう話になることがとても多くてですね。経営は特にそうですが、時間をかけたり、議論をするというのは、基本的に全部コストなんですよ。お金をかけて、何もしないという選択をしていることに他ならないわけです。
そこに何らかの駆け引きがあるとか、相手を太らせてから喰うのが望ましいという積極的な理由で時間をかけるのであれば、それは大いに歓迎すべきことなんですけど、実際には決断がなかなかできなくて、その決断をしない理由を探しているに他ならないことが多くあります。これが、まだビジネスをこれからやる人で、時間もいっぱいある人ならいいけど、年俸で何千万も払ってて、四半期ごとに決算を立てなければいけない経営者がのんびりしたことを言うとやはり気になります。
基本的に、問題を放置しておくと掛け金が上がる、というのは肝に銘ずるべきです。損害に関することならば、なおさら。仕組みとして、組織の中に「何か大きなことがあったら全体で合議する」というようなステートメントが内在していたとしても、やはり決断を先延ばしにする、起きている問題を確認したり対処したりしない時間があるというのは、それだけで損害であって、トラブルの源泉だと思います。
プライベートとしても、やはり女性が結婚適齢期を逃して出産のチャンスが失われて、あとからあのとき結婚していれば、出産できたのに、と嘆かれるのは辛いです。時間が経てば経つほど、確かにもっと良い人に出会うチャンスはあるのかもしれませんが、本人も適齢期の女性がどんどん後ろからやってきて相手にとってもチャンスが増えてしまうことを忘れるのかもしれません。もちろん、男性も然り。
● 実力を蓄えることを惜しむべきじゃないです
企業にとって、蓄えるべき実力は資金力だったり組織力だったりノウハウだったりしますが、一口に実力を蓄える、といっても簡単ではありません。やはり、一番大きいのは企業や幹部社員が、何をチャンスと考え、そのチャンスを活かすためにどういうスキルや実力を積み重ねてきたかというもんじゃないかと思うわけですね。
私もおおいにチャンスを逃し続けてきたわけですが、その大きな原因はずっとカネばっか貯めてきて、カネを使って回していく組織や、優秀な幹部を育てなかったから、いつまで経っても自分が駆けずり回って誰にも任せずにきているからなんだと反省しております。いま現在もそう。本来なら、別の社員や役員に任せておくべき事業でも、全部自分で見なければ気がすまないということで、毎日大層忙しくしております。ああ、これが私の限界なのだ。
皆さんには私のようにならないで欲しいんですが、やっぱりいざというときに来るチャンスを、成功に結びつけるために必要な実力や実績やスキルや人脈や家庭環境を築いていて欲しいと切に願います。それには、単に日々の努力を怠らないだけでは駄目で、どういうチャンスを活かしたいと考えているのか、それを成功に導くためには何が必要なものなのかを考え続けている必要があると思っています。私も、いまだに投資の部分だけはせこく儲けている理由というのは、いまだにカネを作るところにだけは目ざとく、また誰にも相談しないからなんでしょうね。
● 悩みを力に変えるためには
生きてきて、悩まない日なんてないんだけども、ビジネス人生を思い返してみてやっぱり「同じミスを繰り返さないためにはどうするか」ってのが大事なんだなあと思います。浮き沈み、と一口に言えばそれで終わりだけど、やはり波が退くとき、坂を下るとき、必ずと言っていいほど同じような対人関係のディスコミュニケーションを生んでしまうのが私のまずいところです。何でそんなところを疑われているの、と言って思い返すと、確かにそういう言動してきたなあと思い当たることも幾つもあるわけですよ。一言、ちゃんと説明しておけばとか、お詫びしていればとか、そういう部分ですね。
また、いま以上に働こうといってももう体力的にも無理なので、やはりきちんと権限を委譲して、しっかりと組織のために働いていかなければならないと自覚しています。同じように、他の経営者からの悩みを聞くと、やはりその人なりの悩みと言うのは、大なり小なり昔から今に繋がる同質の連続した問題が大なり小なり連なって出てきているというのが分かります。傲慢な人は人心が離れて報告が上がらなくなり、周囲を見失って問題を起こす。繊細すぎる人は、部下や親密な取引先が嫌がるのを恐れて重大な決断を先延ばしにして小さかった問題が大きくなって取り返しがつかなくなる。すべての悩みは個人のキャラクターの裏返しだったり、特徴ある社風に固有の問題に繋がっているのです。
問題を解決する際には、やはり痛みが伴います。余分な出費だったり、新しい投資だったり、解雇だったり、事業の売却だったり、賠償だったり。でも、その悩みを整理して向き合うことで、足りない何かを見繕うことだってできるはずで、だからこそ悩んだ数だけ人は成長できるのだなあと思うのです。
あとは、正しく悩むにはどうすればいいのか、というのを考え続けてきて、38歳にしてようやく何となく分かった気がします。また勘違いかもしれないわけですけれども。
前にも書いたんですが、私や私の影響力の及ぶグループでは、あまり成果目標というものを社員に与えることはありません。成果主義ではない、というのが正しい言い方になりますか。ただ、相応の能力は持ちながらも、なかなか活躍ができない、一歩、頭を出せないという経営者や社員がいて、そういう人には一定の期間を与えてある種のアドバイスをすることがあります。
というのも、私自身も、投資業務はともかく実業の面ではあまりマネージメントがうまくなく、ずいぶん遠回りをしてきたように自己反省するところもあり、自分なりに悩んでこんにちあるのは間違いありませんので、似たような立ち止まり方をしている人であれば悩みを共有できるのかなと思うわけです。
● ”もやもや”や、逡巡していることを書き出してみましょう
悩み事ってのは尽きません。社員には社員なりの、経営者には経営者特有の悩みってもんが存在します。人間関係だったり資金繰りだったり、働くことと暮らすこととの両立だったりまあ生きていくからには悩まずにはおられない、というのは当然のことであります。
で、悩み出すと寝られないとか、でもそういう泣き言を言うと管理職から外されてしまうんじゃないかとか、そういうジレンマとプレッシャーを抱えることになるんですよね。相談できる先もない、というのは非常にしんどいことで、かといって、自分が現実と向き合おうにもぐるぐると思いを巡らせたまま解決できずに半年一年とかってあるんですよ。
でもですね、自分の経験でいいますと、ずっと悩んでもやもやしていることっていうのは、書き出してみると、箇条書きでほんの数行、ってことが多いんです。「幹部社員や部門同士が仲が悪くて、うまく連携できない」とか「資金繰りがままならないので困っている」とか、根源的なものもあれば具体的なこともある。でも、一回書き出してみると、案外単純な一文で納まることが何個か同時並行で起きていて、全部いっぺんに取り組めない、だから解決しないと言っているうちに、次々と新しい問題が起きて、目先の対応を続けているうちに、もやもやが取れない、頑張っているんだけど解決できないのでだんだん疲れてくる、ということなんじゃないかと思います。
頭の中で、TODOとは別に、悩み事一覧を作ってみると、なんだ、そんな単純なことに思い悩んでいたのか、と客観視できるようになるんですね。マジお奨めです。というか、何に悩んでいるのか、何が自分の仕事や人生において障害になっているのかが分かってしまえば、解決の半分はされたような感じになれます。
● 整理していったり、行動計画に落としたり
悩み事の羅列ができると、対処法を考えていくのはそれほど難しいことじゃありません。担当している部門の売り上げが芳しくない、という悩みであるならば、より多く取引先を回るとか部下から新商品・サービスの提案をいつまでに出させるとかいう行動計画は作れるでしょうし、ではそれを実行するのに予算をどれくらいかけられるのか、稟議をどう通していくのかといった、「下流」へとどんどん考えを流していけばいいわけです。
一方で、悩み事の整理というのもありまして。一言で言えば「何で、これに悩んでるんだっけ」。実際には、悩む理由が曖昧なまま、ただ問題を押し付けられて悩んでただけってのに気づくこともあるんですよ、これが。なぜ悩み事を整理するべきなのか、悩みの「上流」を考える必要があるのかというと、解決すべき問題の優先順位決めをするために避けて通れないからです。
「就職希望先から内定が出ない」という悩みの下流は「どうやったら自己アピールが人事担当者に受け入れられるか」であり、その上流は「なぜ内定が欲しいのか。生きていくために他の選択肢を考えないのか」になるわけで、将来的に起業する意向ならばその業界の企業のアルバイト募集から仕事の仕方を覚えればいいし、むしろスキルとしては内定を貰うための技法よりも業界知識や事業計画の描き方、人脈の形成といった方向に重きが置かれるはずです。
「上流」がふらついていると、なかなか重なり合う悩み事をどの順番で処理していけば自分にとって一番望ましいのか、分からなくなってしまいます。これ本当。ちなみに、私の上流はずっと「いかにお金を稼ぎ続けるか」でありました。結婚して出産してからずいぶん変わってきたけれど。私の場合は結婚したかったし、子供も欲しかったので、それが実現したら、なんとなく上流も変わってきたわけですね。
● 相談の仕方自体がむつかしい
信頼できる相談できる人というのは貴重です。悩み事の相談をするというのは、基本的に相手に弱いところを見せることになるからですね。いいじゃん弱いところを見せたって、誰も利用したりしないさハハハハハという人は、まあ、あれだ、頑張れ。
とりわけ、起業の相談や、経営のジレンマというのはたいてい税理士さんや弁護士さんに相談することも多いのだけど、だいたいは下流の相談で落ち着くことが多く、創業は確かにできたけれど、売り上げが伸びてくれないという点で相談しても、せいぜい取引先候補の紹介があるかないかぐらいです。
また、ある程度裁量を与えられている企業幹部の人の悩み相談というのは、ぶっちゃけどうしようもありませんよね。たいてい、その人の転職とかまで踏み込むことも多いんですから。だいたい突き詰めると「この会社に居続けて大丈夫か」とか「他の部門との足の引っ張り合いが」とか、とってもパーソナルなネタになることも多くてどうしようもないんですよ。
結局、その人の求めること、すなわち、活動の上流がはっきりしないと、悩み事というのは解決すべき優先順位も決まらなくて、いつまでも同じところを悩みながらぐるぐると回るだけの時間を過ごすことになってしまいます。
● 時間はあまり解決してくれないということ
経営者などとの面談で「で、結局、お前さんはこの問題をどうやって解決するつもりなの?」と訊くと、ややこしい課題を中心に「様子を見ます」とか「時間が解決してくれます」とか「全員で議論して」とか「相手の出方を待とう」とかいう話になることがとても多くてですね。経営は特にそうですが、時間をかけたり、議論をするというのは、基本的に全部コストなんですよ。お金をかけて、何もしないという選択をしていることに他ならないわけです。
そこに何らかの駆け引きがあるとか、相手を太らせてから喰うのが望ましいという積極的な理由で時間をかけるのであれば、それは大いに歓迎すべきことなんですけど、実際には決断がなかなかできなくて、その決断をしない理由を探しているに他ならないことが多くあります。これが、まだビジネスをこれからやる人で、時間もいっぱいある人ならいいけど、年俸で何千万も払ってて、四半期ごとに決算を立てなければいけない経営者がのんびりしたことを言うとやはり気になります。
基本的に、問題を放置しておくと掛け金が上がる、というのは肝に銘ずるべきです。損害に関することならば、なおさら。仕組みとして、組織の中に「何か大きなことがあったら全体で合議する」というようなステートメントが内在していたとしても、やはり決断を先延ばしにする、起きている問題を確認したり対処したりしない時間があるというのは、それだけで損害であって、トラブルの源泉だと思います。
プライベートとしても、やはり女性が結婚適齢期を逃して出産のチャンスが失われて、あとからあのとき結婚していれば、出産できたのに、と嘆かれるのは辛いです。時間が経てば経つほど、確かにもっと良い人に出会うチャンスはあるのかもしれませんが、本人も適齢期の女性がどんどん後ろからやってきて相手にとってもチャンスが増えてしまうことを忘れるのかもしれません。もちろん、男性も然り。
● 実力を蓄えることを惜しむべきじゃないです
企業にとって、蓄えるべき実力は資金力だったり組織力だったりノウハウだったりしますが、一口に実力を蓄える、といっても簡単ではありません。やはり、一番大きいのは企業や幹部社員が、何をチャンスと考え、そのチャンスを活かすためにどういうスキルや実力を積み重ねてきたかというもんじゃないかと思うわけですね。
私もおおいにチャンスを逃し続けてきたわけですが、その大きな原因はずっとカネばっか貯めてきて、カネを使って回していく組織や、優秀な幹部を育てなかったから、いつまで経っても自分が駆けずり回って誰にも任せずにきているからなんだと反省しております。いま現在もそう。本来なら、別の社員や役員に任せておくべき事業でも、全部自分で見なければ気がすまないということで、毎日大層忙しくしております。ああ、これが私の限界なのだ。
皆さんには私のようにならないで欲しいんですが、やっぱりいざというときに来るチャンスを、成功に結びつけるために必要な実力や実績やスキルや人脈や家庭環境を築いていて欲しいと切に願います。それには、単に日々の努力を怠らないだけでは駄目で、どういうチャンスを活かしたいと考えているのか、それを成功に導くためには何が必要なものなのかを考え続けている必要があると思っています。私も、いまだに投資の部分だけはせこく儲けている理由というのは、いまだにカネを作るところにだけは目ざとく、また誰にも相談しないからなんでしょうね。
● 悩みを力に変えるためには
生きてきて、悩まない日なんてないんだけども、ビジネス人生を思い返してみてやっぱり「同じミスを繰り返さないためにはどうするか」ってのが大事なんだなあと思います。浮き沈み、と一口に言えばそれで終わりだけど、やはり波が退くとき、坂を下るとき、必ずと言っていいほど同じような対人関係のディスコミュニケーションを生んでしまうのが私のまずいところです。何でそんなところを疑われているの、と言って思い返すと、確かにそういう言動してきたなあと思い当たることも幾つもあるわけですよ。一言、ちゃんと説明しておけばとか、お詫びしていればとか、そういう部分ですね。
また、いま以上に働こうといってももう体力的にも無理なので、やはりきちんと権限を委譲して、しっかりと組織のために働いていかなければならないと自覚しています。同じように、他の経営者からの悩みを聞くと、やはりその人なりの悩みと言うのは、大なり小なり昔から今に繋がる同質の連続した問題が大なり小なり連なって出てきているというのが分かります。傲慢な人は人心が離れて報告が上がらなくなり、周囲を見失って問題を起こす。繊細すぎる人は、部下や親密な取引先が嫌がるのを恐れて重大な決断を先延ばしにして小さかった問題が大きくなって取り返しがつかなくなる。すべての悩みは個人のキャラクターの裏返しだったり、特徴ある社風に固有の問題に繋がっているのです。
問題を解決する際には、やはり痛みが伴います。余分な出費だったり、新しい投資だったり、解雇だったり、事業の売却だったり、賠償だったり。でも、その悩みを整理して向き合うことで、足りない何かを見繕うことだってできるはずで、だからこそ悩んだ数だけ人は成長できるのだなあと思うのです。
あとは、正しく悩むにはどうすればいいのか、というのを考え続けてきて、38歳にしてようやく何となく分かった気がします。また勘違いかもしれないわけですけれども。