先般、アップしておりました事案に続報がありまして、読むほどにリクルートの「今までのようにゆっくり一件一件コツコツと取り組んでいても、飲食店のITリテラシーはいつまでたっても向上していかない」的な発言に大きなお世話感を感じると共に、その向上の結果ってリクルートすら儲からない荒野の世界なんじゃないのかと思うわけであります。

【続報】ホットペッパーがFBでスポットを作りまくっている件
http://hitoshi.posterous.com/fb-35548

 意味合い的には、大手ゲームメーカーで時代遅れのRPGとか作ってたクリエイターが、ソーシャルゲームを見て「俺もこれなら作れる」「俺がゲームというものを教えてやる」的なことを言ってクソゲーをリリースし壮大な自爆を遂げるのと似ているかな。
 前回のあらすじはこちら。

ソーシャル時代のリクルート的なるもの、または情報産業の憂鬱(雑感)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/07/post-2c3c.html
FBでホットペッパーがスポット情報を登録しまくっている件
http://hitoshi.posterous.com/fb

 で、あくまで上記のエントリーはリクルートの人と対談をされたオーナーのhitoshiさんが内容をまとめて抜粋したものであり、別にテープ起こしをしたわけではないだろうから正確な語彙や表現、あるいは意味するところが違うかもしれない、というのは但し書きが必要だろうとは思います。

 ただですね。これ、ウェブのリテラシーが極めて高く、効果的なハンドリングをしている豚組からみて、また、彼の言葉を通してリクルートが今回行ったことは、必ずしも「リテラシーが高い飲食店が納得しうるようなサービスではないだろう」と感じる部分で。

 以下引用は、リクルート側がhitoshiさんに回答したとされる内容で気になった点でります。

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[引用](質問)今回、なぜこのように乱暴かつ拙速なやり方をとってまで、いきなり数万店舗のスポットとクーポンを掲載することにしたのでしょうか。「拒否したお店を掲載しない」ではなく「掲載して欲しいと申請したお店だけを掲載する」という方針にしなかった理由は何ですか?

[引用](回答)HPとしては、今までのようにゆっくり一件一件コツコツと取り組んでいても、飲食店のITリテラシーはいつまでたっても向上していかないと考えています。また、せっかくスタートしたFBのチェックインクーポンも、いつまでも普及しないだろうと思いました。そこで、その流れや認知を一気に変えたかった。そのため、ある種のインパクトや話題性を提供することも含め、一斉登録が必要だと考えた次第です。実際、豚組さんからはこのようなご批判は頂いていますが、現時点ではお店からは「ありがとう」という声が圧倒的ですので、どちらかというと好意的に受け止めて頂いているのではと認識しています。


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 意味合い的に考えるに「童貞としては、今までのようにゆっくり1ステップ1ステップコツコツと距離を縮めても、女性との関係はいつまでたっても親密にならないと考えています」風なレイプ予備軍にしか思えない部分も否めませんが、とりあえず押し倒してしまえば童貞は卒業できてこのムラムラ感が劇的に変わるのではないかと期待したように読めてしまうという点で「やったもん勝ち」で「攻めるなあ」という印象を受けないというわけでもありません。

 というか、豚組以外の飲食店、それもITリテラシーが低いようであるとリクルートが考えている先が、レイプされていたのに気がつかなかった、犯してくれてありがとう的なある種の花園を思い描いていそうで微笑ましく思います。本当にITリテラシーが高ければ、ジオ系サービスの統制を自前で取り組んだりFBページを運用していることぐらいは知れたはずで、別にリクルートだけが飲食店系のITリテラシーの高い状態にあるわけではない、という想像力がもう少しあればやり方も変わっていたのではないかと感じるわけです。

 ある意味で、競合するほかの飲食店向けサービスに犯られる前に犯ってしまおうホトトギスという風情もあったでしょうし、そこはリクルートの元気があってよろしい(@スーパーフリー(C)太田誠一さま)ところじゃないかと思います。確かに、他は全然そんなことやってませんから。

 でも、このリクルートが先鞭を切ったことで、他の飲食店向けサービス大手も追随して、レイプ三昧になったらこの方面のサービスは乱交場になってしまいます。果たしてそれは望ましいことなのだろうか、という考えに至るのは私だけなんでしょうか。途中でITリテラシーが高まって、実はレイプされ放題だったことに気づいた飲食店がジオ系サービスのハンドリングをしようとするまで、裸で転がされていることになるわけで、いい加減この品のない比喩はやめようと思いました。

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[引用]また、中村さんがブログで書いていた、「クーポンの発行数を増やすため」のような動機もありません。そこの誤解だけは解いておきたいと思っています。

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 確かに、hitoshiさんがクーポンの発行数を増やすためという動機ではなかったのでしょう。ただし、FACEBOOKの規約違反を認識し、自社のサービスではなく当面の収益には至らないことを知っていてなお、サービスの青田刈りを手がけたというのは気になります。好意的にみれば「攻めてるよなあ」という話なんでしょうが。

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[引用](質問)現在、きちんと了承を得ずにスポットを作り、クーポンを提供してしまっているお店はどのくらいありますか?

(回答)現在把握しているのは豚組さんだけですが、まだスタートした直後ですので把握し切れていない分があると思っています。それについては、今後フォローアップしていく予定です。なお、それ以外の内訳は以下の通りです。

加盟店:約50,000店
アクティブな加盟店:40,000店(ここにすべて、「FBのスポットを作りクーポンを配布しますので、不要な方はご連絡ください」という趣旨のDMを発送)
掲載不要を表明した店舗:300店舗
慎重にやりたいとして、ペンディングになっているところ:3,000店舗(主に大手)
スポット重複:30件(現時点で分かっている分)
そんな案内知らないよ!というお店:豚組のみ


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 これを観ると、やはりある程度「狙い」は分かると思うんですけどねえ。もちろん「ありがとう!」と反応した馬鹿寛容な店舗も多いんだとは予想しますけれども、常識的に考えて、法人でまともなネットポリシーを持っている飲食店は、ネットでのコンタクトポイントとしてのFBの重要性ぐらいは認識しているんじゃないでしょうか。

 そんなわけで、リクルートの今回の強気の攻めへの判断は先送りするものの、個人的には間を取ってmixiに潰れていただくということで、ついでにアメーバも共倒れして欲しいと強く祈念する次第であります。ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。