そのまんまな話でありますが。

氏家齊一郎・日本テレビ会長――地上波テレビが強い日本では、ネットは脅威にならない(1)
http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/cf127785b28b80153293262b4203c430/

 この手の経営者の発言を見るときに見出しを読んで「日テレって現実見えてねえwww マスゴミ終わったなwww」とか煽られがちではあるんですけれども、実際にはもう少し違う読み解き方になるんだろうなあとは思います。

[引用]――そうした再編はキー局が主導するのでしょうか。

 厳しくなることがわかってはいても、予防的な形で再編を進めることはできないと思う。その地域の中で、音を上げるところが出てきて、それをどうやって助けるか、ということで議論が始まるはず。わかってはいても、なかなか戦略的な再編はできない。それが日本という国だ。


 この辺を読むと、やっぱり、よく考えておられるなあと思うわけですよ。
 この手の経営者の記事ってだいたい二種類あると思ってまして、自社否定・自業界否定をして注意を喚起し、自己変革を促すような警鐘を鳴らすというのがひとつ。もうひとつが、自社や業界を肯定的に語り、動揺を抑えながら業界の変化を冷静に分析し、自社の環境適応を進めていく意思表示をする場合だろうと思っていて、今回の氏家さんの記事は後者なんだろうと。

 そんな危機感のないことで大丈夫なのという話もあると思うけど、ぶっちゃけ「負け組ではない」し、まだまだリストラ余力がたくさん残っていて、経営上取れるオプションはたくさんあるわけですね。IRとか見ていると、凄い成長をするわけではないけどしっかり利益が取れる体制になってはおり、その後も手堅く経費節減やリストラもしつつ、最高益になった通販部門を強化したりネットにもきちんと進出する予定でござるよと書いてあるわけです。

http://www.ntv.co.jp/ir/library/presentation/booklet/pdf/2010_3q.pdf

 確かに、テレビ業界全体で見た場合には市場の縮小はあるけれど、残存者利益が見込めそうで、強みとなる部分をそれなりに持っているところはまだ充分な利益が出ること、またリストラの余地も残していることを考えれば、風向きとしてはそう悪いものではないのでしょう。

 一方、あんまり余力のないほうの競合某社の件でいうと、こっちはこっちで現場にて生き残るための議論がさかんに行われており、これはこれで興味深いわけです。

[「ただの<なう>にすぎない」から「近代の超克」まで…志村&河尻ポストへのコメント]②-2ー 前川英樹
http://tbs-blog.com/mri/14900/

 というか、テレビは収益事業としていかなるべきかをテレビマンが語らうよりも、博報堂があのビルから出て逝く日はいつなのかのほうが本業に与える影響が大きいという点で「それはもはやテレビではない」という言い方もあるかと思いますが、こっちだって数年間取り組んできた放送外収入がしっかりと支えているのでどうにかなっているともいえるわけで、その意味では「ウェブやネットは収益に対する脅威である」というよりは「放送外収益を拡大し実現していくためのツールであって補完材料である」という認識になってきているように思います。

 まあ、私もこんなブログエントリー書いてないで、とっとと稟議の承認してメール出して締め切りすぎた原稿書き上げろってことなんでしょうけどね。ええ。申し訳ございません。