一般論だが、お互い仲の悪いA社とB社とC社があって、お互いがお互いのことを商売敵というより生理的な感じで嫌っているのは仕方がないものの、どこかと仲良くすると「お前のところ、A派?」とか平気で訊いてくるのでだるい。別にいいじゃないか、商売なんだから。
 当然、客の取れる、利鞘の高いビジネスなんて、ほんの数年間の成長で止まるケースがほとんどで、むしろビジネスってパイは伸びないけどシェア争いしつつ利益をしっかり出さなければならない退屈な時期のほうが多い。もちろん、経営者ってものは常にアドレナリンが出ているから、ビジネスチャンスを探して駆けずり回るのは行動原理としてはまったく正しいのだが、実際にビジネスに落とし込む側としては「いまのうちにアクセルを地べたまで踏んで、走れるだけ走っておこう」という期間と「ここでスピード出しても後で詰まるから、実務は無理なく進められる程度の速度で逝こう」という期間とがある。たいしておいしくもない仕事を凄いチャンスであるかのように言って持ってくる話はたいていその経営者やその企業の得意とする本業以外のところなわけだね。

 先日、業界団体の年始の集まりがあったので少し顔を出していたら、やはり「去年の秋ごろから売上の伸びが止まった」という話でもちきりだった。専門の部署まで作って発表してサービスを投入したものの、期待外れでフロア全体がお通夜エブリデイな会社とかもあるらしい。別に他人の会社などどうでもいいのだが、月間二千万、三千万程度の利益を出して喜んでいるのはせいぜい社員数百人前後のベンチャーまでであって欲しく、数字だけ見れば利益率は高いように見えても、増員かけたらお前らの水準の給料だと数人増やして打ち止めになるのだからもう少し考えろと言いたいのであります。

 これって一時期、パチンコ、パチスロ業界が液晶対応するってんでゲーム屋の下請けがこぞってPメーカー詣でをしていたころと似ていて、これからは純粋なゲーム屋だけでは駄目だ的なことを言う人はとても多かった。ちょっと前までは、ソーシャルアプリがこれからのトレンドなのだから、こういう方面に順応できないゲーム屋は馬鹿だ、据え置き機と一緒に滅べばいいのにとか言っていた。そういえば、ソーシャルアプリで少し儲けていた連中がゲーム屋をdisっていたはずだが、どこに消えてしまったのだろう。

 一事が万事そういう体たらくだから、業界の大手とされる会社同士が仲が悪いとどこか大手さんの看板を借りてきて文字通り”虎の威を借る狐”で押し通すか、出資先や子会社を使い分けて波風立てないように静かに取引するほか方法がなくなってしまう。そうなると、権利関係とか「ここ向けに出すこのサービスはここの社を経由して担当は彼」やら「あそこは春先に撃てる大きな弾がないからここでやる映画のカットオフ作品をそっちに一度預かってもらって」やらまさに顧客不在の現場指揮に労力を割かれてしまうわけですね。

 まあ、そういうのが一番楽しいわけですけれども。パズルみたいで。