よりによって我らのアイドル岡崎トミ子委員長が消費者庁長官を兼ねていたというバツの悪い状況もあって、今回のゴミのようなグルーポンおせち問題が見事延焼しておるようです。何と言っても、引っ込みのつかなくなった蒟蒻畑での問題で国民はおろか他省庁からの信用も失い、庇った仙谷官房長官もろとも面白おかしく世評に料理されてしまったという事例から早く立ち直りたいのでしょう、いままでの消費者庁からするとあまりにも素早い身のこなしに注目が集まっています。何と言うか、クラスで一番のデブが、体育の授業で得意の砲丸投げになった瞬間、目を輝かせて無双状態になる的な。
 公取は公取で、日経ビジネスが過日報じた「クーポン大手が契約飲食店に対し競合他社に商品を出さないよう求めた」件で早々に興味を持ったらしく、ヒヤリングの結果想像を上回る黒さだったこともあり手柄争いみたいになっているようです。もっとも、着手は春以降だろうと思うので、何らか処分や勧告が出るにしても梅雨明けぐらいであり、それまでに自主努力で是正してしまえばまあお咎めなし、ということなんでしょうが。

 ただ、消費者庁は違います。やることないので結構簡単に措置命令まで出してくるんじゃないかと言う偉い人までおります。しかも、何と言ってもトミ子女史ですから、業者側の通常の申し開きや弁明では聴かないふりして「自前の仕事」にしてしまう可能性は否定できません。

 これで、実はグルーポンおせちの被害者に食中毒でも出ていれば、地域保健法により自治体で対応することとなり、船場吉兆も真っ青などストライク営業停止も考えられ、思わぬ方向からのエクストリームご指導があるような流れになったりしかねないので怖いです。

 で、ふらんす亭経由で半額東京が炙り出され、何故か堀江貴文氏が変な槍玉に挙がっていたりもするのですが。

グルーポン事件で、堀江が慌てて参戦した理由が判明か
http://alfalfalfa.com/archives/1881105.html

 本来であれば、微妙なおせち料理と、クーポンビジネスがそもそも抱えている構造的な問題(違法性含む)とは別問題であるはずなんですけど、もう面倒くさいから全部叩いておこうぜ的なネットのお作法が炸裂していてとってもだるいわけです。

 もっとも、クーポンビジネスが飲食店側の利鞘を食い散らかす、したがって飲食店も仕入れを削るなどして値段なりの品質に落とさざるを得ない的なジレンマはあるのですが、じゃあいまのクーポンビジネスが全面的に駄目でクソで潰れてしかるべき違法の権化であるかといわれると、また違います。

 もし、今回のグルーポンの事件を機に、消費者庁が本来あるべき行政に立ち返ってしまってローラー的に二重価格問題に取り組み始めようなどという話になると、楽天だのカカクコムだのネットベンチャーの一部のサービスでは合法とはいえない排除的な商慣行や二重価格をむしろ支援するような仕組みで利益を上げているという構造的な問題にぶち当たってしまうことは容易に想像がつきます。何と言うか、クラスで一番のデブが、使えないので誰もやりたがらない風紀委員に祭り上げられてみたら権力の行使に目覚めてしまった的な。

 また、ネット界隈では比較的「規制すんな」という空気になりがちですけれども、食品行政というのはネットの独特な緩さとは極北の厳格を求められる世界で、結構本気で締めにかかる可能性だって否定できないんですよね。

 まあ、これを機に、ネットと食品ECについてはあるべき関係を見直すべき、という議論が出るかもしれません。というか、ネットの連中は食い物を扱って、万が一が起きたらどうなるのかという点に、あまりにも想像力を欠いているようにも見えます。雪印にせよ毒餃子にせよ吉兆にせよ、本当に潰れるまで追い込まれかねないのが食品衛生の世界で、そこに二重価格だの競合排除だのと役がつけば、満貫では済まないんじゃないのというのが本音なところです。しかも、トミ子女史なんですよねえ…。結構本気で、食中毒などの患者が出ていないことを祈るのみです。

 本来ならば、ウェブ上での新しいマーケティング、広告のあり方ということで、切り口の違う新鮮なネットビジネスでもあり、もっと期待を持って取り組むべき事案だったんでしょうが、この状況では上場とかそういうレベルの話ではなくなりかねないですね。