4gamerに掲載しようと思ったけど別の記事が載っかるので、導入部分だけブログに掲載してみるなど。
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・有史以前
初めに、神はワゴン車を購入された。
かの地は混沌に包まれていた。神は、ゆらゆらと流れる大和川をたゆたいながら思索に耽っておられた。
神は言われた。
「基盤商売あれ」
神は一日を費やし、ワゴン車に一杯の基盤を積み上げて、喫茶店に、デパートの屋上に、百円コインを入れて稼動する巨神兵エーエムを作られた。
神はエーエムを見て、良しとされた。百円玉を積むヤンキーがあり、喫茶店で酒が振舞われた。夕べがあり、朝があった。
第一の日である。
神は言われた。
「模造品あれ」
宇宙より真っ白い敵の襲来する筐体を神は指差されると、瞬く間にカラーフィルムの上を似たような敵が通過し、ただカラフルに見えるという模造品を作られた。そのようになった。正規品よりデラ安いパチモンが巷に出回り、喫茶店という喫茶店から正規品が駆逐された。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。
第二の日である。
神は言われた。
「日銭商売あれ」
そのようになった。神は、駅前から路地に少し入ったところを不動産屋に紹介させ、若い者に金を持たせて直営の神託所を作らせた。直営店には刺激を求めるヤンキーで溢れ、活況を呈した。街々の商店街に直営の神託所が作られて、人々は筐体の上に百円玉の塔を築いた。売上は喫茶店ではなく直営店に入るようになった。喫茶店主らは泣いた。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。
第三の日である。
神は言われた。
「開発チームあれ」
そのようになった。模造品が正規品ともども飽きられるようになると、神は手の者に神に似せた代物を泥の中から作らせ、東大阪の地に新しい命を吹き込む工房を作られた。近場のまともに就職できない専門学校からデザイナーを安い給料で雇い、クラシックなゲームを創っては工房から、次々と代物が送り出された。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。
第四の日である。
翌日こう言われた。
「家庭用ゲームあれ」
神は偉大な化身である巨神兵エーエムを自ら模して、山の石から神聖兵シーエスを作り出し、民衆の下へ走らせた。先端ゲームはエーエムで、その移植は家庭で遊ばせるシステムを作り上げ、京都に住まう銭を愛する人々と共に問屋に売り捌かせ、大阪一部上場を果たした。パチモン作って成長したが、他社がパクると容赦しなかった。某戦士ヒストリーを世に出した会社はいきなり訴えられた。
神はゲーセンに群がるもの、すなわち大規模開発はエーエムに、うごめくコインゲームをメカトロに、また、枯れた技術の水平思考はシーエスに、それぞれに便乗された。神はこれを見て、良しとされた。
神はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、ゲーセンに満ちよ。シーエスはご家庭に、お茶の間に増えよ」
夕べがあり、朝があった。
第五の日である。
シーエスが民衆を虜にすると、翌日こう言われた。
「排他的流通システムあれ」
偉大なる神託であるパブリッシングの名の下に、神は他の神々と取引し、業界流通の仕組みを作り上げ、よそ者が簡単にこの地に立ち入ることのできぬようにした。
第六の日である。
この地でメーカーがパブリッシャーを兼ねることを神はよしとし、神は御造りになったすべてを御覧になった。見よ。それは極めてよかった。マーケティングはヒゲに任せ、神典は(自粛その1)と呼ばれて神に仕えるすべての者に遍く伝えられた。
神は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、同族会社を造ろう。そして営業職、開発陣、 法務、クリエイター、カネで雇われた生き物すべてを支配させよう」
神は御自分にかたどって(自粛その2)を創造された。上の者はシャチョーに、中の者は株主に、下の者はクリエイターに創造された。
神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、家庭に満ちてパッケージを買わせよ。営業、開発、クリエイターらカネで雇った生き物を、本社はすべて支配せよ」
第七の日に神の国のシーエスは世界を圧倒してトップシェアとなって異神教アタリらを撃破した。神はこの結果に大変満足すると自らの戦さ場を離れ、安息なさった。
この日に神は全ての創造の仕事を離れて安息なさったので、この第七の日を神は祝福することとなった。
神は仰られた。
目に見えるものに縋ってはならない。
あなた方の心の中に神殿を築きなさい。
そしてあなた方が築いた神殿の中に私は住まう、と。
これが、ゲーム業界創造の由来である。
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・有史以前
初めに、神はワゴン車を購入された。
かの地は混沌に包まれていた。神は、ゆらゆらと流れる大和川をたゆたいながら思索に耽っておられた。
神は言われた。
「基盤商売あれ」
神は一日を費やし、ワゴン車に一杯の基盤を積み上げて、喫茶店に、デパートの屋上に、百円コインを入れて稼動する巨神兵エーエムを作られた。
神はエーエムを見て、良しとされた。百円玉を積むヤンキーがあり、喫茶店で酒が振舞われた。夕べがあり、朝があった。
第一の日である。
神は言われた。
「模造品あれ」
宇宙より真っ白い敵の襲来する筐体を神は指差されると、瞬く間にカラーフィルムの上を似たような敵が通過し、ただカラフルに見えるという模造品を作られた。そのようになった。正規品よりデラ安いパチモンが巷に出回り、喫茶店という喫茶店から正規品が駆逐された。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。
第二の日である。
神は言われた。
「日銭商売あれ」
そのようになった。神は、駅前から路地に少し入ったところを不動産屋に紹介させ、若い者に金を持たせて直営の神託所を作らせた。直営店には刺激を求めるヤンキーで溢れ、活況を呈した。街々の商店街に直営の神託所が作られて、人々は筐体の上に百円玉の塔を築いた。売上は喫茶店ではなく直営店に入るようになった。喫茶店主らは泣いた。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。
第三の日である。
神は言われた。
「開発チームあれ」
そのようになった。模造品が正規品ともども飽きられるようになると、神は手の者に神に似せた代物を泥の中から作らせ、東大阪の地に新しい命を吹き込む工房を作られた。近場のまともに就職できない専門学校からデザイナーを安い給料で雇い、クラシックなゲームを創っては工房から、次々と代物が送り出された。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。
第四の日である。
翌日こう言われた。
「家庭用ゲームあれ」
神は偉大な化身である巨神兵エーエムを自ら模して、山の石から神聖兵シーエスを作り出し、民衆の下へ走らせた。先端ゲームはエーエムで、その移植は家庭で遊ばせるシステムを作り上げ、京都に住まう銭を愛する人々と共に問屋に売り捌かせ、大阪一部上場を果たした。パチモン作って成長したが、他社がパクると容赦しなかった。某戦士ヒストリーを世に出した会社はいきなり訴えられた。
神はゲーセンに群がるもの、すなわち大規模開発はエーエムに、うごめくコインゲームをメカトロに、また、枯れた技術の水平思考はシーエスに、それぞれに便乗された。神はこれを見て、良しとされた。
神はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、ゲーセンに満ちよ。シーエスはご家庭に、お茶の間に増えよ」
夕べがあり、朝があった。
第五の日である。
シーエスが民衆を虜にすると、翌日こう言われた。
「排他的流通システムあれ」
偉大なる神託であるパブリッシングの名の下に、神は他の神々と取引し、業界流通の仕組みを作り上げ、よそ者が簡単にこの地に立ち入ることのできぬようにした。
第六の日である。
この地でメーカーがパブリッシャーを兼ねることを神はよしとし、神は御造りになったすべてを御覧になった。見よ。それは極めてよかった。マーケティングはヒゲに任せ、神典は(自粛その1)と呼ばれて神に仕えるすべての者に遍く伝えられた。
神は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、同族会社を造ろう。そして営業職、開発陣、 法務、クリエイター、カネで雇われた生き物すべてを支配させよう」
神は御自分にかたどって(自粛その2)を創造された。上の者はシャチョーに、中の者は株主に、下の者はクリエイターに創造された。
神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、家庭に満ちてパッケージを買わせよ。営業、開発、クリエイターらカネで雇った生き物を、本社はすべて支配せよ」
第七の日に神の国のシーエスは世界を圧倒してトップシェアとなって異神教アタリらを撃破した。神はこの結果に大変満足すると自らの戦さ場を離れ、安息なさった。
この日に神は全ての創造の仕事を離れて安息なさったので、この第七の日を神は祝福することとなった。
神は仰られた。
目に見えるものに縋ってはならない。
あなた方の心の中に神殿を築きなさい。
そしてあなた方が築いた神殿の中に私は住まう、と。
これが、ゲーム業界創造の由来である。