今度は、出すの出さないのですったもんだしていた「尖閣諸島沖で海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した際の映像」がYoutubeに上がっていて、しかもそれが無修正の本物だということで騒ぎになっておるわけですけれども。

 実際の映像については、検索していただければ山ほど出てくると思いますので直リンは割愛。オブイェクトで観てね。

尖閣の衝突画像、ネット流出=海保が確認、国会提出分以外も
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010110500028
尖閣衝突ビデオが流出
http://obiekt.seesaa.net/article/168312402.html

 予断を持ってはいかんとも思いつつもどうしても関連を想定してしまうのが、その前に公安の情報を内部の鬱病ぽい奴を担いで流出させるという話らしき工作の件でありまして。

国際テロ文書だけ故意に?…公安情報流出
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101103-OYT1T00128.htm

 どちらの事件も、単独犯が何らかの必要に迫られたり意義を感じて実施したもんじゃないよなあという話で、国民の知る権利がメディアでのリークではなく堂々とようつべにうpされるという新しい時代の幕開けと言うところに感動を禁じ得ないわけです。
 まあ、大きい文脈の中で言うならば、いままでの我が国の情報管理のあり方は、確かにいままで機能してきたものの、時間の経過や時代の流れとともにだんだんと劣化していって、そろそろ制度疲労を起こしてきているのだろうと言うことでもあります。チェック機能が働いていてなお、正規の決裁を経ないまま情報が流出してしまうわけだからねえ。

 しかも、問題が深刻なのは、まさに真正の国家機密が流出しているという点で、仮にリークであり上位者の同意を得ていたものであったとしても、少なくとも日本にとってのメリットは見当たらないところであり、間違いなく上位者は官僚であれば失職を余儀なくされるものであり、政治家や政務官ならば政権に直接ダメージを与えかねないものです。

 つまりは、山口組に対する頂上作戦での押し引きと同じく、かなりの部分が国家組織の中にいろんな勢力によって「食い込まれている」ことの証左であり、それを誇示するかのように最近遠慮なくその成果を行使され始めているということが問題になるのでしょう。それだけ、問題の掛け金が上がってくると、いままでの方法論や文脈とは別に、ウェブ上で暴露されてしまうというコントロール不能な事態に陥る危険性もまた増えてきたということです。

 ともあれ、尖閣ビデオは関係者一同まさかこういう形で満天下に晒されようとは思わなかったであろうし、流出させた本人がいくら確信犯的に「日本のために」と考えていたとしても、情報管理が徹底できない政治の麻痺した日本の状態を世界に知らしめてしまうことになるという点で少し残念な方向に向かってしまうことでしょう。

 まあ、一言で言うと「何やってんだか」という話でありますが。あーあ。

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尖閣の衝突画像、ネット流出=海保が確認、国会提出分以外も
 沖縄県・尖閣諸島沖で海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件で、状況を記録したビデオ映像がインターネット上に流出したことが5日、分かった。海保が画像を確認した。海保によると、国会に提出したもの以外の映像も含まれているという。
 流出した画像は6本に分けられ、計約44分ある。漁船が巡視船に衝突した瞬間の映像も含まれていた。海保職員とみられる男性の声で、「挑発的な動きを見せています」「本船に当てました。今の位置を確認」などと話す音も入っている。 
 海保などによると、中国漁船は9月7日午前、尖閣諸島沖の日本領海で、立ち入り検査のため停船を命じた巡視船「みずき」に衝突。海上保安官の職務を妨害したとして船長が逮捕されたが、船長は25日、処分保留で釈放され帰国した。(2010/11/05-02:06)

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国際テロ文書だけ故意に?…公安情報流出

流出した資料には「秘」などのスタンプが押された文書も多数含まれている
 警視庁公安部の内部資料とみられる書類100点以上がインターネット上に流出した問題は、何者かが「国際テロ」に絡んだ極秘文書を電子データ化して、意図的に流出させた疑いが浮上している。

 横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)直前に表面化した前代未聞の不祥事に、警察当局には混乱と動揺が広がり、APEC警備への影響を懸念する声も上がっている。

 ◆強まる「故意」説

 千葉県内の大規模団地の一室。ネット上に流出していた資料をもとに部屋の住人を訪ねると、アフリカ出身の30歳代の男性が顔を出した。資料にあった氏名や住所、家族構成はすべて事実で、男性は「なぜ私たち家族の名前が流出しているのか。大使館を通じて抗議させてもらう」と、憤まんやるかたない様子だった。

 流出した資料は、イスラム過激派などによる「国際テロ」対策を担う警視庁公安部外事3課が保管していたとみられる。同課が動向を探っている外国人の台帳のほか、「協力者に育成するまでの心得」といった内偵捜査に関する資料も含まれ、公安警察の“手の内”が暴露される結果にもなった。

 公安部の内規では、業務上の文書のデータはすべて専用コンピューターに保存し、作成に使ったパソコン上の文書やメモは削除するよう義務付けられている。専用コンピューターからデータを引き出すには許可が必要で、同庁が調べた結果、これだけ大量の文書を業務でまとめて引き出した職員はいなかった。

 流出した文書は、国際テロに関するものに限られていた。その大半は、今年5月のゴールデンウイーク中に「PDF」と呼ばれる電子文書に変換されたことが明らかになるなど、同庁の内部調査が進むに従って、何者かがテロ関連文書だけを集め、故意に流した疑いが強まるばかり。

 しかも同庁が流出を察知したのは、先月29日夜に民間企業から通報を受けたことがきっかけで、ネット上の違法情報を監視する同庁のサイバーパトロールが通報を受けるまで今回の問題に全く気づかなかったという「もう一つの課題」も浮き彫りになった。

 ◆APECへの影響

 先進諸国の治安当局や情報機関は、2001年の米9・11同時テロを機に、担当者同士が情報交換する「インテリジェンス・コミュニティー」を強化し、国際テロに関する非公式協議を定期的に行っている。

 日本の場合、こうした情報のやり取りは、都道府県警察の中で唯一、公安部を持つ警視庁や、全国の警備警察を統括する警察庁が担当。情報提供を受けた国は、相手国の同意なしに情報を漏らさない「サードパーティー・ルール」という暗黙の原則を守りながら、海外の治安機関が入手した北朝鮮の動静などについても提供を受けてきた。

 流出した文書の中には、米連邦捜査局(FBI)の要請で首都圏在住の外国人から事情聴取する計画書なども含まれているが、警視庁は「内部資料かどうか調査中」という立場を取り続けている。もし実物だと公式に認めてしまうと、他国の機密情報に関する資料も本物だと公表することになり、日本警察は国際的信用を失墜しかねない。

 現在、全国の警察本部は今月13~14日に横浜市で開催されるAPEC首脳会議に向け、テロ情報の収集を強化しており、その直前になって、各国の情報機関の協力が得られなければ、「我が国のテロ対策は無力になる」(警察庁幹部)恐れすらある。

 その一方、今回の資料を流出させた人物を放置すれば、日本警察は、他の文書が次々に漏れる第2、第3の流出の不安を抱えたまま、テロ対策を続けることになる。ある警察幹部は、「日本の将来の治安さえも揺るがしかねない深刻な事態。対応を誤れば日本のテロ対策が10年以上、遅れる可能性もある」と話した。(社会部 小池武士)

(2010年11月3日03時11分 読売新聞)