楽しいことになってまいりました。

ノーベル平和賞に劉暁波氏
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010100800750

 さすがバイキングの国、喧嘩の売り方には芸を感じます。なにせ、中国政府にとっては逮捕拘留中の犯罪者ですからねえ。それが国際社会からは「よっ、ノーベル賞!」と言われるわけですから愉快すぎます。ある意味、スーチー女史が平和賞貰っちゃって旧ビルマの軍閥の皆さんも殺すに殺せず海外にも出せないという不思議状態になったのと同じ効能の泉質であります。

ノーベル平和賞:劉氏に授与なら悪影響 中国が警告
http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20100929k0000m030154000c.html
ノーベル平和賞に劉暁波氏 服役中の受賞は初
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE2EAE2E2E38DE2EAE3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=ALL

 劉氏の発言や活動にノーベル賞が箔をつけることになるならば、それはすなわち共産党独裁の廃止が平和に貢献すると墨付きを与えることになり、文字通り中国政府に対してノルウェーは支持してないよバーカというに等しい結論に陥るものであります。
 もっとも、ノーベル平和賞は他の賞と違って、業績の評価を巡っては極めて議論の余地の多い代物であることは論を俟たずといったところです。いままでも、ノーベル平和賞を受賞したけど、その後の活動からすると疑問符の付く人物はおります。ノルウェーの立場もさることながら、いわゆる北欧⊆欧州の価値観、判断というものがその時代に都度都度かなり色濃く反映される部分が大きいわけです。

 だからといって、ノルウェーが意を決して中国政府の意向・警告を無視して劉氏にノーベル平和賞を与える判断をした意味を考えるに… というところなんですが、その後、ノーベル平和賞を中国国内でどう扱うのかという課題は残ります。何せ、国威高揚を目的として中国は国を挙げてノーベル賞の獲得のための強化プログラムやある種のロビーを積み重ねてきたことは、外交や情報を扱う人たちであれば誰もが知っていることのひとつだからです。

 これで、少し先に、例えば中国系アメリカ人がノーベル生理学・医学賞など権威ある賞にノミネートされたとき、過去の受賞歴で文字通りノーベル平和賞で劉氏が受賞していたことも広く知られかねないものとなります。ノーベル平和賞と他の自然科学での賞との権威の差は歴然とあるというのは常識ですが、中国人にとっては全部ノーベル賞ですから、その偉大なノーベル賞を中国政府の反体制活動家、それも逮捕中の人だということになると、威信は大きく揺らぐことになると思うんですよね。

 当然、中国国内ではBBCやCNNでの放送は取り止めとなり、一切のノーベル平和賞関連の国内報道は行われないことでしょう。厳重な報道規制による統制下に置かれるのは間違いありません。しかし、知識人層においては中国政府の対地方や対軍閥における地位の一層の低下に伴う国内の混乱に歯止めが利かなくなりかねないほどのインパクトのあるネタであることは分かっているでしょう。

 どうも、中国政府自体はことここに及んで国際社会の中でのBad Boy Ratioが上がっていることに気づくのかなあというところなんですが。さて、どう転がりますか。


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ノーベル平和賞に劉暁波氏
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010100800750

 【ロンドン時事】ノルウェー・ノーベル賞委員会は8日、2010年のノーベル平和賞を中国の民主活動家、劉暁波氏に授与すると発表した。賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億2300万円)で、授賞式は12月10日にオスロで行われる。(2010/10/08-18:04)

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ノーベル平和賞:劉氏に授与なら悪影響 中国が警告
http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20100929k0000m030154000c.html

 服役中の中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与の可能性が取りざたされていることをめぐり、ノーベル研究所のルンデスタッド所長(ノルウェー・オスロ)は、中国の傅瑩外務次官から授賞は「中国とノルウェーの関係に否定的影響を及ぼす」と関係悪化を警告されたと明らかにした。28日のAP通信などが報じた。

 受賞者選考はノルウェー議会が任命する同国ノーベル賞委員会が行い、同研究所はノーベル平和賞選考の事務局を務めるため、中国政府は外交的圧力をかけ、授賞阻止を狙った形だ。中国側は圧力を否定している。

 所長によると、傅次官が6月、オスロを訪問した際、同所長に中国大使館での面会を要請。傅次官は反体制派への授賞は「非友好的行為」とも述べた。中国高官と同研究所幹部の面会は初めて。

 一方、中国外務省の姜瑜副報道局長は28日の定例記者会見で「(劉氏は)中国の法律を犯し刑罰を科された人物。その行為はノーベル平和賞の趣旨に反するものだ」と不快感を示した。

 傅次官も同日の記者会見で「毎年この時期は大量の報道があり、中国への圧力になっている。昨年も同様の報道があったが、違うリーダーが受賞した」と皮肉った。

 劉氏は共産党独裁の廃止を呼び掛け、今年2月に懲役11年が確定し、服役している。(ロンドン、北京・共同)