最後の望みを託しつつ、というところで、今日の敗戦。小川監督の続投、というか監督代行から監督へという道筋も明らかになったところで、来年の飛躍を祈念しながらの終戦となった感じです。まだ可能性は残されているんでしょうが、さすがにこれでは。お疲れ様でした。

 最後は打たれた松岡が涙ぐんでおりましたが、松岡の安定した好投がなければ小川監督代行の手による借金返済などあり得なかったわけですし、スワローズのブルペンは松岡あってのものだと思うので、胸を張って契約更改に望んでほしいと思います。
● 小川監督代行、来年は小川監督に、荒木には二軍監督就任打診

 ファンがどうとか以前に、二軍監督としてキャリアを積み、必要なチーム改革を推し進めて体制を建て直し、高田監督がこしらえた借金を完済した、という点で、小川監督代行の功績を軽んずることはできないと思います。監督代行という一時的なポジションから、来季正式に監督打診するというのはチームの躍進を考えれば当然の施策ですね。

 荒木さんが良いとか悪いとかではなく、チームの方針としてやはり「しっかり二軍監督としての経験を積んでから一軍を率いる」というのが望ましいフロント&現場人事だろうと考えますし、良い例でいえば現オリックス監督の岡田さんなんかもおります。逆に、監督代行から監督への昇任についてはいろいろありまして、やはりオリックスでシーズン途中で指揮を引き継いだ大石大二郎さんは外人の好調を背景に監督代行としてリーグを盛り上げAクラスにチームを導き翌年監督に就任したものの、結局翌年は外人が不発に終わって下位に沈んだという経緯もあります。

 難しいところではあるのですが、二軍監督を経験していることについては、チームの編成に対する知識の豊富さと選手のモチベーション管理にプラスがあるように思うので、誰もが納得する人事だと考えます。

 まあ、華のある監督を据えたい、という営業上の都合もあるのかもしれませんが、いまどき監督に人気があるからって客足が伸びるとかあり得ますかねえ。ノムさんみたいな際物なら話は別ですけれども。

 そう考えると、古田さんをいきなり監督に据えたのは間違いでした。もうそういうキャリアパスは無理かもしれないけど、どっかのチームで二軍監督をするなど下積みの方策とかできないものなんでしょうかね。

● 高田さんの遺産

 小川さんの戦い方を見ていて思うのはなんだかんだで高田さんの編成力の高いところでありまして、監督としては采配がうんこだったけれども押本やらヘチョンやらまずまずの戦力を整えてグラウンドに立たせるところまではやはり非凡だったのだなあと感じるのであります。ここにきて、ああここで川島慶三でもいればなあと思うケースもあったし(いくら右打者だからって荒木使うなバカタレ)、外れた補強は阪神から来た藤本ぐらいじゃないかなあ。

 シーズン当初はなんとなく中澤とバーネットが使えるめどが立っていたので、石川が鬼のように負けてても気にもならなかったわけですが。まあ、その後は中澤もバーネットも高木も赤川も加藤もいまひとつ流れに乗り切れず、あれよあれよという間に石川の10勝10敗力がフル回転して、かえってチームを救うんですけれども。

 確かに高田さんは欲しがりだったけれど、作戦面でしっかりとしたコーチが横にいれば、もう少しどうにかなったであろうし、比較的若手が中心のチーム構成なのにコンディショニングがもう少しよろしくないところさえ解決すれば、高田さんでもちゃんと戦えたのかなと思います。

● 面白投手陣

 何より今年のヤクルトは、結果だけ見ればまずまずの先発陣、上位のブルペン陣に、得点力がいびつな打撃陣という特徴がありました。先発にあっては、当初計算していた館山、石川がほぼ予想通りイニングを消化(館山は一度離脱したけど)、残る先発4枠でイニングを喰えるのは誰かというところで由規と村中が成長、残る中澤・バーネットでそれなりの先発イニング消化率になったという点でしょうか。本当なら、今年引退するユウキや高木、高市あたりが穴を埋めるのかなあというところだったのが、先発の駒がそこそこ揃ってうまくイニングを埋めたので、ブルペンの負担も大きすぎることなく夏場を乗り越えられたというのが大きいかと。

 去年も松岡が途中調子を落として大変だったのが、今年はちょっとした不調ぐらいで収まったというのと、増渕がふてぶてしく成長したり、敗戦処理で松井光介がまあまあ頑張って五十嵐や萩原の穴を埋めてて良かったね、と。中盤からヘチョンが良くなったり。

 ただ、来年は下手をすると林さんがいないんですよね… 不安です。まさか由規を抑えに回すとか余計なことを考えないといいんですが。そのまま、順送りで松岡抑えか、外人で穴埋めの方向で是非。

● そろそろ宮本さんはどうにかならないか問題

 2,000本は控えているし、チームの取りまとめ役として大事だというのはあるんですけど、あまりにも低いOPSや有効打、勝利貢献度ではレギュラー下位の状況で、かつ肝心の守備も衰えが… 最低でも左右併用や守備固めとしての起用で負担を減らしながら、一年でも長くプレイしてもらえるような扱いにならざるを得ないんでしょうねえ。

 とはいえ、三塁手は基本的に打撃職で、横浜村田や阪神新井の例を取るまでもなくまずは高いOPSを求めたいポジションのひとつであることを考えると、スタメンの中で役割のかぶる田中浩康と二人もいらんだろ(特に、浩康は今年かなり出塁率が改善した)という気がしてなりません。

 ホワイトセルさんとガイエルさんが残留なので、面白キャラが惜しいデントナが切られた場合はやはり右の長距離砲を三塁手か外野手で探してくるか、畠山、川端を三塁で併用していくかしかないんでしょうねえ。うまく見つかればいいんですが、といいつつ、チームの中で比較的得点力の低いヤクルトについていえば(セリーグ3位ではあるが、横浜とかマジ論外)、やはり宮本にはもう少し頑張ってもらわないと、と思ってしまいます。

 どうするんでしょうね、小川監督代行。マジで。

● そろそろ畠山はどうにか痩せないか問題

 明らかに夏からこっち腹回りが太くなった感じがするんですが、キャリアハイの二桁本塁打に気を良くしたのか振り回すスイングが増えて、なんとなくシーズンを通して使ってもいい選手になってきた感じがしてきたような雰囲気はしないでもありません。

 三塁に置いといてスワローズにおける初芝の地位を確立してもいいんでしょうが、青木がメジャー行っちゃう問題もあるので外野との併用になるんでしょうかね。相変わらず一歩目はまあまあ、肩もまあまあ、球際の処理もまあまあで、ただライナー性の打球判断が悪そうなのと、何より太っているのでどうしても動きがもっさりに見えるという摩訶不思議な外野手になってます。

 まあ、打撃のシュアさはここ三年見てて良く分かったので、まずは膝を壊す前にもう少し痩せろというところでしょうか。むしろ、打撃性向やSTATSからすると二番レフト畠山とかそういう感じなんですよねえ。四死球30、三振31は大変立派です。見極めるデブ、畠山。

● デラクルスとバーネット

 ファームの試合とか観ていると、何でこの二人は上でも下でも炎上しているんだろうというのがあって、フォームがバラバラだとかチェンジアップの落ち具合が神任せだみたいな技術的な弱点があるのかもしれないけど、意外に中継ぎ適性がありそうな感じはするんですがねえ。

 バーネットはシーズン前半、デラクルスは夏前後、上で好投した時期があるんですが、年齢もまだ若いし、みっちり鍛えれば来年かなりやれるんじゃないかと思うんですよねー。保険として、是非残していただきたく。

● 来年は…

 林や青木といった主力が今後どうなるか… と毎年思うわけですが、五十嵐がいなくなってもどうにかな… ったかどうか。編成って難しいもんなんですねえ。

 高田時代は若手への世代交代が進んで新戦力も充実してきたところではあるので、来年はみっちりCS争いに絡んで欲しいですし、可能であれば常時Aクラスで横浜を見下した野球をして欲しいと切に思います。