別に磯崎せんせを暑苦しいと言ったわけじゃないんだけど、非常に良いエントリーを頂戴したので反応など。

暑苦しい初夏に暑苦しくがんばっております
http://www.tez.com/blog/archives/001652.html

 正論でございます。一般論として付け加えるならば、企業というものは社会をより良くするためのツールであり、ツールとしての使い方をどう規定するのか、株式市場へのアクセス・資格をどういうものにするべきなのかを考えるときに、開放的でストレスなくやっていけるほうが望ましいのは当然です。

 ましてや、証券業協会は非常に優秀な組織だと思いますけれども(他の業界団体の微妙さから比べると、はるかにまともな議論をする、という意味で)、ここしばらく未公開株詐欺などで爺婆の銭がオレオレ詐欺同然に毟り取られ続けていることに対する対処としては少し踏み込みすぎな感はあります。
 一方で、渡辺千賀女史が"Accredited Investors"ルールというけったいなお話をされていて、これはこれで重要なスタディなのですね。私なんかはTEXルールが大好きなので、登記はテキサスでやったりしますけれども。

アメリカで大手を振ってベンチャー投資できるのはお金持ちだけ(その2)
http://www.chikawatanabe.com/blog/2010/07/angel_investment_2.html

 で、今回日本で検討されている規制内容は有価証券報告書を個人対象を含む増資の際には提示せい、というお話でありまして、USで運用されているFormDとは結構かけ離れるぐらいしっかりした書類の作成・申請をベンチャー企業に求めるものです。ざっくりいうと、アメリカ当局(SEC)に提出するFormDは、経験さえあればネット上でちょいちょいとやれば済む程度の簡便な申請であるのに比べて、我が国の規制案はガチもんの有報を作れという話なので結構開きがあります。

 また、デラウェア法人の件もそうですが、個人的には上場する際やVCから大規模な出資を受けるときに、掃除の一環としてデラウェア州への法人登記移動を求められる「ことがある」類のものだと理解しています。同様に、"Accredited Investors"についていえば、メジャーリーグとはいえないPE専門ファンドではアホほど個人投資家がぶら下がっていたりするほど、あまり厳密な運用はされていないように思います。もちろん、貧乏人がPEやってもろくなことがない、というのは事実としても、ファンドやLLCなどビークルを立てて迂回することなど平々凡々に行われているのも実情ではあります。

 USの経験も視野に入れつつ日本でより良い投資環境を整備するにはどうするのが望ましいかを考える、と一般論でいえば楽なんでしょうけど、実際は結構大変なのよねえ(笑)。