寝る前にもうひとつ。

 最近不思議なことが多いもので、自分の書いたものが翻訳されて中国人がウェブで議論してたり、誰かが書いた冗談が回り回って国際的なゴシップになったりしています。

 今回は、日本でこのような言説になっているようだと官邸批判が英訳されてこっちに返ってきて、え、官邸が悪いことになってるの、と思って周辺を見回してみたら目と鼻の先の某ご近所の記事だった、と言う話で。

 そのまんま書くといろいろあるので、ちと迂回気味に。
● 鳩山政権の周辺にいたブレーンたちはどこに消えてしまったの?

 「打倒自民」で「非自民」へ「政権交代」を目指した鳩山さんと利害が一致するのは、「打倒自民」の部分で共鳴していた人たちばかりで、その後、鳩山政権になってから各閣僚が実際にはそれほど「非自民」というわけではないことが分かって離散した格好になってます。いま、かつていたブレーンが鳩山支持を明確にすると、本当に頭の足りない人と思われて失職失脚もありうると、そういう状況です。それでも突っ込む鳥越俊太郎氏は、主張が一貫しているという意味で稀有な存在だと思います。

● なぜ鳩山政権を支えようとしないの?

 支えるには「いま何が起きていて」「どう対応しようとしていて」「そのメリットがこれこれで」「リスクがこうである」と分かっている必要がありまして… メリットやリスクが明示されない未決定事項が続くと、支えるために必要な準備がまるでできません。
 支えたくないのではなくて、支えようがないのです。なので、個別政策や各省庁での奮戦を支援する機能のほうが充実してきており、とりあえず新重商主義や、今後来る(かもしれない)経済危機第二波のシミュレーションに集中しているわけですね。

● 問題が起きてもダメージコントロールできていないのでは?

 ダメージコントロールというのは、ある程度起きている問題の予測や重要度の高低というのが大事で、ここまでは語らせて良いが、それ以上は防ぐか無害化する、というような意志決定がないといけません。何故なら、ダメージコントロールの必要がある場合とは、なんらか既に良からぬ事態が発生していて進行中だからです。
 何かしようにも、仙石さんのところで止まったりします。

● 「機能不全」を起こしているのでは?

 本来の意味で、結構前から機能は不全だったと思います。今回は、それに加えて「文字通りには実現不能なマニフェスト」という存在がありました。記者会見ぐらいならまったく構わないんですが、実態とかけ離れた整合性のないマニフェストをどの優先順位でどの程度守るのか最後の最後までコンセンサスはなかったわけです。

● 鳩山さんの成長について

 一連のお話については、北沢さんと岡田さんは比較的まともだった、ということで実は救われた面がありまして。ただ、民主党内では反米というか、ろくに安全保障を知らずにいろんなことを言う議員が国内言論を焚きつけたり勇ましいことを言ったりして統制が取れてませんでした。むしろ、党内を取りまとめて指導力を発揮するためには、小沢さんが本来は道筋をつけてやらなければならなかったんだろうなあと結果論として思います。

● 5月政局って?

 それこそ本来のダメージコントロールの世界で、官邸に限らず是が非でも鳩山さんには政権を継続してもらわなければなりません。ダブルミーニングですが、鳩山さんが駄目なのはよく分かったとして、次の首相が鳩山さんよりマシである保証はいまの民主党を見るにどこにもないという点と、鳩山さんは決して良い宰相ではないが毎年我が国の首相が変わるというのは民主主義国として根本的に信頼されないという点とに分かれます。

 だから、頑張って5月政局にならないよう逆に日米で協力して鳩山さん維持に走ってる感はあります。アメリカだって、普天間問題の不始末が理由で鳩山さんの首を取っちゃったというような話になったら日米関係は俄然悪くなりますし。

● 対等な日米関係って?

 今後、微調整はいろいろあるとは思いますけれども、民主主義と資本主義という基本的な価値観を等しくするアジアの同盟国として、日米同盟の基盤を再確認する言説はいっぱい日米で出てくるでしょう。中国が駄目になったときのための保険、という見方とは別に、結構絶対的に日米は補完関係にあると再認識されるようにも思います。外交的には大失敗かもしれませんけど、毎年首相変わってるのにたいしたもんだと。

 いいのかな、こんなこと書いて。まあいいか。