自由な通貨発行が制限されているギリシャと、曲がりなりにも日銀がしっかり運営している日本とでは比べるべくもない話なのに、官邸に出入りしている不思議な経済学者やジャーナリストが「我が国の経済はギリシャの後を追いかねません」と迂闊な諫言をして、泡を喰った偉い人が「万一のことはありうるのか。至急報告しろ!」とか言っちゃう困惑事態になっております。再来週あたりに上杉隆氏あたりが週刊文春で酷評しかねないので本当に怖い。何かあったら、先にエマージングマーケットが壊滅して、そこに信用を保証している経済がおかしくなるんだから、変に右往左往してないでゆっくりメーデーで野次られてろと思うわけです。

 とは言えども、ギリシャの問題というのはここ二十年積み上げてきたEUの試みを根本から覆す状況ではありまして、PIIGSとか言う「クソ経済しか持たぬゴミ国家」がパッシング労働者を大量に生み出してEU内の格差を大きく生み出すというどうしようもない話で、うっかりユーロが切り返さないということになると、ほとんどヒャッハーな状態であり、微妙を通り越して遊爆する国が出てきかねないわけでね…。

MINUTES OF THE MONETARY POLICY COMMITTEE MEETING 7 AND 8 APRIL 2010
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1004.pdf

[引用]5 The fiscal situation in Greece remained a key focus for market participants. During the month,
euro-area Heads of State had announced their readiness to offer contingent financial support to the
Greek Government, in conjunction with the IMF. But Greek government bond yields had remained
elevated, with yields of ten-year government debt rising to a level around 400 basis points above those
of comparable German government securities.


 当然、ライミー連中としてはユーロが大きく下方へオーバーシュートしてしまうと直撃でババンバンなのが嫌だねえという話でありまして、ポンド安で輸出増えてヒャッハーとかあり得ねえよバーカとはっきり言っており好感が持てます。いやほんとどうするんでしょうEU経済。バブル崩壊を控えた(あるいは大きな官製調整局面を仕掛ける前夜の)中国経済とか比じゃないぐらい、目先の状況がよろしくない。

 ギリシャに対しても、冷静っていうか、もうこうなっちゃってるんだからしょうがないだろとでも言いたげな雰囲気が「俺たち、EUとは実質関係ねえっす」というイギリスの態度を示していていいですね。でも、連鎖でポーランドやアイルランドで火の手でも上がったらどうするつもりなんでしょうかね。

 それもあって、我が国の財金に関する議論はどうなっておるのかねと4月13日の議事録とか読んだんですけど、これがまた… ナニなわけです。

044 174 参議院 財政金融委員会 9号 平成22年04月13日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=29589&SAVED_RID=2&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=14448&DPAGE=3&DTOTAL=430&DPOS=44&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=29719

 いきなり田村耕太郎先生が… 何してんすか田村先生。

田村「最近、ちょっとぎっくり腰になっちゃいまして、 …日本経済が脱却しなければならないこのデフレというものなんですけれども、デフレの定義というのは、白川総裁、何ですか。端的にお願いします」
白川「物価が持続的に下落する状態、これを念頭に置いております」
田村「じゃ物価の下落のことを指すということでよろしいんでしょうか」
白川「今御質問のデフレということについて、ある程度の共通の定義でもって議論していこうというときに、我々として現在、物価が持続的に下落する状態、これをデフレと呼んでおります」
田村「物価という話があって、これも神学論争みたいにならない範囲で端的に答えていただきたいんですけれども、物価の定義は何ですか」
白川「私どもの方は、これは政策当局者、中央銀行でありますから、物価の問題を議論していくときには、国民の実感に即した物価というものがやはり出発点になるというふうに思っています。 …ただ、繰り返しになりますけれども、一番重要視しているのは消費者物価指数でございます」
田村「そうなりますと、日本銀行がデフレ脱却のために行う貢献ということを今言われましたが、具体的には何を指すんでしょう」

 もうね、何が何だか… その後、我らが大門実紀史先生@共産党(通称ミキシー様)が殿軍で登場。ここが最高に面白い。

大門「白川総裁、久しぶりの国会でお疲れだと思いますので、山口副総裁だけにお聞きしたいと思います」
山口「お褒めの言葉をいただきまして、ありがとうございます」
大門「私、このこと自体ちょっと気を付けなきゃいけないなと思うのは、第一生命の今までのやり方でいきますと、よくこういうことやるんです。アリバイづくり的にチームをつくったりして、責任者を替えてトカゲのしっぽ切りみたいにやってですね」
亀井「現在鋭意もう全力を挙げて調査中でございます。私が怠けておるわけじゃございませんが、そういう具体的な問題についてまだ詳細に承知しておる状況ではございません」

 なんつーか、野党時代の長妻さんよりも、金融問題で質問に立つミキシー様のほうがよほどしっかりとした質問をしているなあという印象なんですけどね。

 まあ、通しで見ても分かるとおり、日本の財政破綻がギリシャより先だの後だのという話は、さほど出ません。騒いでるのは外野の馬鹿ばかりというのが興味深いです。