資料読んでて思うのだが… メソッドとしてフレームワークやマインドマップが使いやすいのは認める。問題の整理をするのに役立つのも分かる。でも4象限や8象限で分析できることなんて多寡が知れている、それを分かっていて割り切って使っているならともかく、成功や失敗、商品企画やマーケティングのあり方を説明するのにフレームワーク「だけ」を使って説明し説得しようというのはよろしくないと思う。
 タスク分析とかで、重要度と緊急度で分類するのは一般的だし、その重要度を使いながらPDCサイクルを回そうというのは分かるんだけれども、毎回要素に還元して、事柄を分解してから整理するやり方になるから、問題解決(とか、成功分析、失敗分析とか)のアプローチとしては逆に遠回りになるわけで。

 取り組むべき事柄が大量生産だったり、ミッションが明確であるならば、効率を目指してQC的に組織が改善を繰り返すのは効果あると思います。でもさあ、仕事上の創造力が不要で重要度の低いミッションだけど、それがなければクリティカルに仕事が止まってしまうという職掌だってあるわけじゃん。大きい会社だと海外出張の手配だったり、システムの足回りだったり、地味だし誰もやりたがらないしスキルも身につかないから敬遠されて、パートのおばちゃんとかで回しているようなさ。うちら界隈でいうと多言語翻訳だったり海外外注の進捗管理だったり日々の市況ウォッチなど定点観測やルーチン系の。

 でもそういう仕事が一日でも滞ったら、より付加価値の高い仕事をするはずの人の仕事が文字通り止まってしまうんだ。社内のシステムがダウンしました、となれば、暗号化されたメールひとつ読めなくなる。

 だから、コアプロセスをいじると優先順位が変わり、5個6個のタスクで解決していたものが、1個2個などより少ないアイデアの実現で一気に解決したりするんだ。金科玉条のように毎週回しているPDCサイクルの項目の大多数が不要になったり、無闇矢鱈に広がったマインドマップやディシジョンツリーが面積で文字通り4分の1になったりする。

 たぶん、業務分析や戦略立案で「これがフレームワークだから、それに沿って考察を組織で進めよう」みたいなマンネリを引き起こして、考察手段そのもののマネジメントができていないから効果的な改善策を見つけるのに苦労しているんだと思う。売上は増えているのに何故減益なのか、コストは何故増えたか、今後売上をさらに伸ばす一方でコストを下げるにはどうすればいいのか、といった原因を解析するのに、必ず内的要因(組織)と外的要因(環境)とを分けてしまう。それが仕事のコンサルが言うなら分かるが、株主の資産を預かる経営者がそれを理由に業績説明をしちゃいけない。

 ブルーオーシャンだかレッドオーシャンだか好きに言うのは良いんだけど、ブレークスルーがきちんと起こらないと、ベンチャーをはじめ新興中小企業から中堅企業ぐらいまでが五年十年一つの市場で成長し続けるなんてことは無理です。コアになる技術だけでなく、その技術を送り出すための仕組みも含めて、考えなければならんと思う。プロジェクト管理以外でガントチャート使うのもやめよう。そんなの、雇われがやることだ。

 まあ、何を言いたいかというと、現場で頑張る人、現場を仕切る管理職、組織を率いる経営者と、立場によって知っておくべき枠組みや、価値観・優先順位は違うんだよ、ということ。4象限程度のフレームワークで仕事していいのは、現場や物理を相手にする物づくりの人たちだけ。重要度に限らず、「要素の関係性」や「アイデアによる飛躍的な問題解決」といったブレークスルーを企図できない経営者は早く死んでね。