このエントリーは反論や批判ではないです。興味を持ったのは、ほぼ同じ(っていうかまったく同じ?)ことを仰るMBA持ちの金融屋さんやコンサルさんが周辺に複数いるので…。

何か大きなことを成し遂げるときに、最初にやること
http://blog.goo.ne.jp/mit_sloan/e/a1d0d692eb3f8b2759829b6f04a14232
[引用]でも、ゴールにたどり着いた自分から見れば、道は自分が通ってきた一本だけだ。

ゴールにいる自分をよく想像する。
そこから今の自分を振り返ると、一本の通るべき道が見える。
その道をよく見ると、今の自分には大きく欠けている部分(Missing part)がいくつか見えるだろう。
そのMissing Partsこそが、最初に取り組むべきことだ。


 「目標を決めましょう」「それを達成したときのイメージを作りましょう」というのは、良く言われます。でも、何が足りないかなんて、分からねえんだよなあ。海外企業が日本法人を作るとかってときに、だいたい創業者の友達とか近しいMBA持ちがアドバイスとして「日本に事業進出するとき、何を持って成功とするか」というような目標設定のプレゼンをしに来る。日本側は、たいてい協業する(彼らから見た)現地法人として、彼らが何を目指して日本に来るのか、どう事業展開しようと思っているのかを知りたいから、そういうプレゼンは大事に思って良く聞くようにするわけです。

 数値的な目標は、まあ売上だったり業界シェアだったり利益率だったり、それこそいろいろあるのでいいんだけれども、その売上なりシェアなり利益率を上げるためにどうするか、と考えると、必然的に大きく欠けている部分(Missing part)が見えてくる、と彼らは言います。これを明確化し、解決するには一つの道があるのだ、と。

 こっちからすると、困っちゃうことも多いんですよねえ…。そんなこと、イメージして解決策が分かりました! 道はこっちです! とか霊能者じゃないんだから。それは机の上での話です。たいてい。日本の独占的な商流を突き動かすために必要な手続きを取る、それができれば日本でシェアトップが取れる、と豪語したMBAさんがいました。いや、その手続きってのはそれなりに合理的な手続きを経て商慣行が成立しているからそうなっているのであって、あんたがたが都合悪いからってそう簡単に変えられるものじゃないんだよ。

 目標をしっかりイメージして、組織として共有してブレずに進んでいくというのは良いことだと思います。その一方で、イメージされた成功した目標から現在の自己を振り返って、足りないところを補いつつ進んでいけば成功できるんだ、というのはどうも宗教のレベルになってる気がします。アメリカ帰りの人って無茶ばっかり言うんだもの… 会社の金でアメリカ行かせてもらったのにすぐ辞めちゃって独立したりするし。

[引用]このMissing Partは「今の自分に出来ること」をベースに積上げたのでは、絶対に見えない。
だから平凡な人は、いつまでもゴールにたどり着かないのだ。


 これも事実だと思います。ただねえ… できないことを「できる」と宣言して、高い目標を掲げても全然達成できなくて、結局組織をかき回してしまう人もやっぱりいます。「こういう目標で、こんな戦略を立てています」というのは非常に大事なことだけれども、それ以前のところ、「いまの手持ちの資源(カード)でできること、できないこと」を見分ける力というのも、重要なんじゃないかと思いますね。

 一番困るのは、自信満々で帰ってきて、一度何かで失敗して、卑屈になったMBAさんです。あー、どうにかならんもんかなあ。凄い人は、ほんと凄いんだけどね…。