個人的には、小沢問題よりも予算の方が大事で、少し騒ぎすぎている部分もあるのかなとは思うけれども、権力者のスキャンダルで腰巾着が右往左往して泣き喚いている姿を遠巻きに眺めるというのもある種の風情なわけです。もともと検察に対して反感を持つ言論人のグループが中心となって、あれこれ議論を喚起しようとしている状況でしょうか。

 一通り読むに、どうやら一連の反検察系言論人の作戦は「小沢一郎氏は疑惑に答えるべき。しかし、確たる証拠もなしに強硬捜査しリーク情報を流す検察は許されない」という主張を横断的に掲げるという内容のようです。
 有田芳生氏は自身のツイッターでこんなことを。言っていることはともかく、サムネイルに使われているイラストが実に魚類顔で、キモカワイイ左翼として売り出したいようでもあります。もう少し親しみやすい似顔絵はないんでしょうか。

aritayoshifu
http://twitter.com/aritayoshifu/status/7894428380

 前に読んでた「直言」の増刊も、目を通す限り今回も同じような主張でありまして、何と言うか、一貫していて素晴らしい感じはします。宮崎学、安田好弘、魚住昭の三氏であり、いつもの面子です。もうちょっと売れれば続いたんでしょうけどねえ、この企画。

『直言』
http://moura.jp/scoop-e/chokugen/special/060607/

 ついでに、前回の事案でシンポジウムもやっているんですよね。今回の反検察言論の中でも、とても濃い顔ぶれなのが楽しいです。平野貞夫氏まで入ってます。

「青年将校化する東京地検特捜部~小沢第一秘書逮捕にみる検察の暴走~」
http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/03/_315_1930.html

 毎度おなじみの鳥越俊太郎氏も 「今回、私たち世論は操作されている!」と微妙に根拠のない話をされたりしておりますが、勝谷誠彦氏は「やるんだったら国会に対して逮捕許諾権を請求して堂々とやればいい」程度にトーンダウンしており、なんだろうなと思います。従来からの民主党寄りな微妙ヤメ検の郷原信郎氏は、日経BPで不思議な論説をしておりました。全体的に、検察の強引さに対する批判がメインに入っているという点で、トーンが似通っているのが非常に興味深いところですね。

 一方、肝心の捜査は鹿島へのガサで出た物証の確認と関係者証言からあわせて、前回の大久保氏の逮捕とやっぱりリンクさせた感じで胆沢ダム受注に関する金銭の授受という方向へ流れていってます。捜査の進展にしたがって、陸山会の4億円授受についての反検察的言論の潮が退いていったのは特徴的でございますね…。

胆沢ダム下請けゼネコンなど捜索 陸山会事件で東京地検
http://www.asahi.com/national/update/0119/TKY201001190103.html
<陸山会土地購入>胆沢ダム受注「小沢氏側が謝礼要求」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100119-00000008-mai-soci

 「小沢擁護で世論が盛り上がれば、検察は黙る」という思惑でジャーナリストや犯罪者が騒いでいる部分もあるかとは思うのですが、実際に鳩山政権の支持率が急落している状況を見るに、一朝一夕には状況は変わらんだろうし、小沢さん本丸の事案で小沢逮捕、なんてのも実際に視野に入りつつあるのかもしれません。

 最終的にしょぼい罪状であっても、逮捕起訴という流れができてしまえば政治的には死んでしまうので、このあたりがまさに正念場なんだろうなあという感じはしますね。いっそ、慶應義塾病院にご入院されるという形の脱出口も、今回は何ヶ月でも待てるので議員辞職とセットでの手打ちという話になるのかもしれませんねえ。

 しかし、検察批判を繰り返している人が、例えば資本主義者だとか無政府主義者だとかいうのならまだ分かるんですけど、権力者批判をするべきメディアやジャーナリストが、権力対権力の構造のなかで、あからさまに小沢さんの側について言論活動を展開しているというのは実に不思議なポジショニングだなあと思うわけですけれども。このあたりはまた後日。

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<陸山会土地購入>胆沢ダム受注「小沢氏側が謝礼要求」

1月19日2時31分配信 毎日新聞
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件に絡み、国発注の胆沢(いさわ)ダム(岩手県)工事を受注したゼネコン関係者が毎日新聞の取材に、謝礼として小沢氏のパーティー券を毎年数千万円、3年間購入したと証言した。小沢氏の事務所の要求だったという。胆沢ダムを巡っては、中堅ゼネコン「水谷建設」が下請け受注の謝礼として小沢氏側に渡したとされる5000万円が土地購入に充てられた疑いがあるとして捜査の焦点となっており、受注と資金提供が連動したシステムの一端が浮かんだ。

 胆沢ダムは岩石や土砂を積み上げて建設するロックフィルダムとしては日本最大級で、13年度の完成を目指して工事中。

 このうち大手ゼネコン「鹿島」など3社の共同企業体が04年に落札した同ダムの「堤体盛立工事」(約273億円)を請け負ったゼネコン関係者によると、受注成功後に談合の「仕切り役」とされる鹿島の幹部(当時)にあいさつに行ったところ、小沢事務所の要求に従うよう指示された。小沢事務所側からは「年間数千万円のパーティー券を3年以上買ってほしい」と伝えられたという。

 「要求に従わないと次の公共工事で鹿島を頂点とする談合から外されるシステム。仕方なく従った」と関係者は振り返る。ただし政治資金規正法上、1回のパーティーで寄付できる上限は1社150万円と定められ、小沢氏のパーティーは年4回なので600万円までしか購入できない。このため、このゼネコン関係者は下請け業者にパーティー券を割り振り、要求通り3年間、毎年数千万円を購入したという。

 水谷建設元幹部らは東京地検特捜部の調べに、小沢氏の元私設秘書で民主党衆院議員の石川知裕容疑者(36)=政治資金規正法違反容疑で逮捕=に04年10月、5000万円を渡し、05年4月にも公設第1秘書、大久保隆規容疑者(48)=同=に同額を渡したと説明。特捜部が石川議員らを追及している。また西松建設違法献金事件の公判で検察側は「『胆沢ダムは小沢ダムだ』と大久保秘書に言われた」とする西松建設関係者の調書を朗読している。

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胆沢ダム下請けゼネコンなど捜索 陸山会事件で東京地検

2010年1月19日10時7分

 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる事件で、東京地検特捜部は19日午前、「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)を下請け受注した中堅ゼネコンについて、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で家宅捜索を始めた。

 捜索を受けているのは、「山崎建設」(東京都中央区)、「宮本組」(兵庫県姫路市)など。

 特捜部は、胆沢ダム工事の本体工事を元請け受注した大手ゼネコン「鹿島」を既に捜索。土地の購入原資に同ダムをめぐるゼネコン側からの裏金が含まれているとみており、下請け企業にまで捜索を広げた。