冒頭は、また官報ネタから。

読売新聞が報じた政治資金収支報告書不記載の時系列図
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20100113-OYT9I01545.htm
【東京アウトローズ一行情報】「陸山会」収支報告書に小沢氏から「4億円借入」の記載、擁護派の郷原信郎弁護士らは何故、これを持ち出したのか
http://outlaws.air-nifty.com/news/2010/01/post-6692.html
「4億円不記載」とは一体何なのか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100112/212110/

 小沢さんがさっさと事情聴取に応じて、収支報告書を修正してシャンシャンにするのかと思いきや、まさかの全ツッパリですでにガサされているところにまで名誉再ガサの状況なので、これは果たしてどういう力学なのか、と思うわけですけれども。これ単体はそんな重大犯罪というわけでもないし、突破口にされていいことひとつもないと感じていたんだけどね。

 郷原氏が「官報に記載されてるじゃん」と再度強弁している内容は、読売新聞が摘示した図の右側真ん中の矢印のところだけです。今回、事情聴取に応じている石川氏自身の政治団体の資金出納自体に不審な点は現段階ではないので、純粋に当時秘書であった石川氏を通じて小沢さんがどういう性質のカネを陸山会に流していたのかが問題になっているはずです。
 で、ことここに及んで池田信夫さんがまた面白エントリーを。いや、池田さんが悪いという話ではなく、やはりそういうレトリックで読み解かれる傾向が強いのだなあと。池田さんが指摘しているのは、政治思想上の保守主義ではなく、伝統的な保守的価値観を護持する政党としての自民党と捉えていると考えられます。

自民党の迷える保守主義 - 池田信夫
http://agora-web.jp/archives/886669.html

 他の著者が月刊誌などで論じている場合の多い「民主=革新」とか「自民=保守」という切り分けって、もう古びすぎていて解釈としては通用しないのだろうという話なんですけど。

 むしろ、普天間問題を含む鳩山政権の対米外交の内容や、天皇謁見問題や中国代訪問団、さらには外国人参政権問題に関する態度を見るに、鳩山政権は「日本の対米従属的な姿勢を是正する活動を重視している」と言えます。これが中国の影響下にあるからだ、と言い切ることは困難だけれども、ただ少なくとも福田政権よりもはるかに中国に対して格別の配慮をしている状況は読み解けます。

 日米シンポやその他分科会でも話題になったけれども、結局日本は外交上どちらを向くつもりなのか、アメリカと中国&韓国中心のアジア主義と、どちらを重視するつもりなのか、という図案は必ず出る。

 だからもうシンプルに

○ 民主党 アジア主義=中国&韓国に好意的=西洋合理主義的な商習慣は制限すべき=経世会and社会主義者が主体

○ 自民党 親米主義=親民主国的な外交姿勢=自由主義の経済アプローチ=清和会の流れand反経世会組が主体

という基本的な対抗軸になってくるんじゃないでしょうか。まあ、ジョセフ・ナイ氏が論文でそれの触りのようなことは書いておられましたけれども。小沢さんの首を取るの取られるのとやっているレジーム関連の議題は、この対抗軸を念頭に置くだけで随分楽に読み解けるんじゃないかと思うんですけどね。

 とはいえ、検察が格別な親米的な態度であるかどうかというのは疑問ですけれども。