サラリーマン生活半年で挫折して独立した私が語るべき内容ではないような気もするが、そんな私に就職相談をしてくる右も左も分かってない学生が多くて、そろそろ働くキャリアについて考えるべき時期に来ているんじゃないかと思うんだ。
 どうしても新卒採用というとブラック企業をどう避けるか、みたいな演題になりがちであるけど、これは症状だと思う。症状と言い切るのも良くないかもしれないが、一般的に言えば「大学を新卒してブランク期間なく就職しなければ、企業の上のほうに昇進する人生が歩めない」というある種の固定観念のようなものがあるから、無理にでも新卒でどこぞ就職しようとするのではないかと考えるわけだ。

 だから、採用されればまずはどこでも良いということで、離職率が異様に高い微妙な企業で採用をしていたらそこに応募してしまう、そこが何故このご時勢にそんな大規模な新卒採用をやっているのかというと、何らか事情があるからであって、以下略、というのは社会人になれば分かることだけれど、学生の就職活動をしている程度の社会知識ではなかなか分からないことであろうと。

 加えて、大学のランクによっては就職氷河期といえども優劣がかなりあって、どんなに優秀な人でもFランク大学では社員として光通信にも入れないみたいなことがある。逆に、そういう大卒君に関して言えば、在学中にも自分のしたい仕事を見極めて、アルバイトのような形で事前に研鑽したり実務経験を積んで、正規の採用ルートではない方法で業界に入ろうとするのもとても有効な方法だ。

 さすがに金融やメーカーに飛び込むのは無理かもしれないけど、理系や専門性のある学科から採用の入り口のところまで通常の採用窓口とは違う方法で辿り着くことはできるかもしれない。

 そういう採用の抜け道というか、やりたいことが早期から分かっている大学生の特権のようなものは実際にあるのは事実だけれども、いわゆるインターン的な方法ではなくて、もっと大規模に、産業実地指導の枠組みを広げて就学中の大学生を即戦力にしうる方法とか考えられんもんかな、と思う。

 逆に、日本企業のプロパー志向というのは、このご時勢維持できる会社さんなんてそんなにないと思うんだ。大卒でプロパーに入って純粋培養して帝王学学ばせて、みたいなの、やってる会社、あります? 中途採用当たり前の状況だよなあ。

 問題は、そういう中途採用をされるためのスキルや能力をどう実地で学んでいくか、履歴書に売りとなるような職歴なり経歴なり資格なりをどう埋め込んでいけるか、というのは、新卒をどうすべえという問題とは違った課題ともなる。大卒したけど就職先がなくて、数年バイトしながらブラブラしてました、というのが確実にマイナスになるのはしょうがないとしても、そういう人達が採用活動してると山ほど来るのもまた現実。「頑張ります」以外の売りがない、とても普遍的な若手社会人にも、何とかレールの上に戻す( or 失望しないで済む)方法はないものなんだろうか。