最近あまり映画とか映像作品の仕事をしなくなったので放置していたけれど、ちと縁あって立て続けに2作品ほどご厄介になりました。その中で、ビジュアルイラストがどれだけ欧米でも受けるのかを調べようという話になりまして、アニメ制作会社さん主導で調査をかけたところ… 魅力的だ、cuteだと答えた米、英含む欧の成人男子20代から30代での好感度は、ほぼ誤差という結果に。

 ニッチってレベルじゃねーぞ。
 ゲームなんかだと、欧米で200万本以上売れたゲームでも「日本では売れない」という判断のもと発売すらされないケースも多いぐらいなので(DCユニバースとかアイアンマンとか、好きなやつはおると思うがなあ)、本質的なところでの彼我の表現好感の差というのは思った以上なんだなというのを改めて実感したのであります。

 これでグローバルスタンダードとかワールドワイドでのコンテンツ市場への挑戦とか言っちゃうんだもん困っちゃうよなあ。ただ、日本のソフトウェア開発の現場は非常に独特で、外人から言わせれば一品モノを作る体制としては理想的に見えるらしく、日本人である私から見て「これは売れないよなあ…」と思うものでも「面白いじゃないか」となって予算がついてみたり、逆に「これはいけるだろう」と言うのが「このビジュアルでは積極的になれないね」とかあっさり言われて業者涙目みたいなのがありました。

 俗に言うハリウッド方式みたいな開発手法は、チームに経験値が溜まらないという理由で、もう少しスタジオに専従して長期間働いてくれるようなスタッフ形態にシフトした会社さんが興行成績を伸ばしていたりするのを見ると、随分ゲーム界隈と状況が違ってきているんだなと思いました。ゲームだとメインとなるディレクターが親分というか専制君主となって、勤続が長くてお気に入りほどヒエラルキーの上のほうに鎮座まします形態が多くてうんざりしてるもんで。

 日本のポップカルチャーの質、という観点では、日本人の主観で「イケる」という思い込みをどう排除して、作品としてのクオリティをきちんと問うていくのかというのは主要な命題のひとつになったように思います。単純に、ジャパンクールだといって「どうだ、凄いだろう」といっても見事に響かず市場もイマイチ大きくなりきらなかった反省は、外人どもに帰すべきものではなく日本の各業者関係者がすべきものということで。

 今後は、ファンサブをやる奴は客ではなく海賊であると割り切って、見つけ次第縛り首にするという施策をどううまく取っていくのかということなんだろうと思うんですが、国内の客の質の問題というのもあるので(深夜アニメでパンチラがどうのとかやってる奴は実に見事に金を落とさない)、売り方も含めて考え直さなければならないのではないかと思うんですよね。

 これだけ迎合した質の低い作品が氾濫している現状であると、どうやって作品性や作家性から話題を捻り出して一般客に足を運んでもら、い適正な金が落ちる仕組みを作っていくのか、というのは非常に肝なんだろうとも感じます、はい。