京浜東北線が動かないのでうんざりしながらフォーサイト読んでたら、ちょうど「景気後退で激しさを増す国際"税"摩擦」なる面白い記事が。

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 グローバル経済とかダボス会議とかやって、経済合理性と優遇税制の名の下に海外進出をした企業が軒並み狙い打ちされているねえそうだねえという話で。まあいままでさんざん儲けたんだからいいだろ的な恣意的税務ルールでトラブル頻発の様相というのは、貿易立国から脱却したら金融収支立国になっちゃったニッポンのあり方にも影響を及ぼすようには思いますね、はい。
 記事では移転価格税制をメインに、税収の確保に必死な各国(企業を優遇税制で誘致したかった新興国に限らない)が税体制を見直した結果、二重課税の嵐となって大変なことに。製造業や多国籍企業のネタで説明してあるけれども、金融という観点から言いますとオフショアの箱が租税協定で開けられ、国内は匿名性の高かった民法組合方式が閉じられて、結構前から悩ましい情勢であることには変わりなく。米当局とUBSの協定も成立したので、また別の方法を探さなけりゃならない、みたいな。

 徴税権というのは国家権力そのもの、という記事中の指摘もあるけれども、もともとグローバル企業は各国間の税金に対する考え方のアービトラージを縫って最適解を作ってきたのだが、世界的に景気が悪くなって税収が落ち込み始めると企業にだけ都合の良い形で所得を考えてはくれなくなり、無限ループになるのは仕方がないと思うんですよね。

 世界基準を作れ、といっても正直無理筋でしょう。ソフトウェアやノウハウなど無形資産の価値算定なんて、両側で見ている人と幾ら協議したところでまとまるわけがない。経団連や大手会計事務所に泣きついて、多額の工作費を払っても追徴課税の額以上のコストであるならやらんほうがいいのでね。金融においてはもっと深刻で、そもそもコンサルフィーやロイヤリティを定常的にオフショアに貯めることが租税回避の基本的な方法だから、租税協定が組まれて「それはうちの国でやって出た利益ですよね!!」とか言われたら、いったん払ってから対応せざるを得ないですしねえ。前やられたアマゾンみたいな。

 完璧に対応するなら、資本も経営も完全に国ごとに分かれて、税務側が文句のつけようのない商業契約に基づいたビジネスを一個一個取り扱うほかないですからねえ。OECD租税委員会が2010年に決める基準策定もどうなることやら。