はじめに書きますけど、私はMIAUとは無関係ですよ。賛助会員でもボランティアでもない。MIAUの関係者の何人かと顔見知りなだけで、何かを頼まれたことも、決定的なお願いをしたこともないです。

 で、そのMIAUが選挙前に児ポ法改正関連の動きを見せておりまして、これは実に興味深い話であります。

衆議院選挙に向けたMIAUの取り組み「MIAU総選挙プロジェクト2009」について
http://miau.jp/1248134401.phtml
「児童買春・児童ポルノ禁止法についての緊急声明」のご報告と今後の対応について
http://miau.jp/1248262200.phtml
 まず、何が興味深いって、「これって先進ネットユーザーが検討・主張すべき政策課題なの?」ということ。

 どこか、組織の内部で議論が行われ、議事録でも取られて団体として決定した正規の活動なんでしょうか?

 次に、興味深いのは「パソコンの前で座って作業するだけで完結するタイプの活動が多いよなあ」ということ。

 パブコメ募集しかり、議員への質問しかり、全体的にネットで完結する行動が軸になっているようで。

インターネットユーザーからの10の質問
http://miau.jp/1248134400.phtml

 個人的に思うのは、児童ポルノ禁止法の問題点はもちろん、それを取り巻く社会、国際環境について、あまり整理してネットで論じられることなく、感情的に「表現の自由が奪われる」的な反発がメインになっているように感じられます。児童買春の包括的な防止こそ、児童の人権を守るために社会が全力で取り組むべき課題であるにも関わらず、児童ポルノ禁止法となぜかセットで語られるわけでして…。

 平たく言えば、児童ポルノ禁止法なんてデジタル時代で最後に揺らぐ通信の秘匿という分野に切り込む尖兵なんだから、先進的ネットユーザーならばむしろ積極的に「児童ポルノとは何か」を規定し、高度な情報技術を悪用し、法や捜査を掻い潜る犯罪者を摘発するために効果的な法律の制定を政党や議員に働きかけるべきなんじゃないの?

 そうじゃなければ、児童ポルノは禁止すべき、というそのまんまの大義名分の元で、通信全体が監視の対象になりかねません。単純所持禁止で「うる星☆やつら」まで児童ポルノに該当させられるようなアホな事態になるわけですよ。

 一般のコンテンツ業者からすれば、そんなデジタル版言葉狩りの延長線上にあるような事態は避けてもらいたいけれども、せめて児童買春と児童ポルノは切り離して考えるよう運動してくれよと思います。児童買春の日本の実態が分からずして、法学の有識者だけであれこれ考えてもなかなか実効性のある話にはならんでしょう。

 で、本件要綱でMIAUの趣旨に賛同したのが活動開始から10日間で2千人余りというのは、幾ら何でも少なすぎます。ただ、積極的に活動を進めていく余地がたくさん残っているという点ではプラスですよね。

 個人的には、ちゃんとデモなり大会なりが開ける環境にまで持っていけないことには、次に何か動かなければならない大事のときに力不足を露呈しかねない気がします。何と言うか、呉越同舟の極みではありますけれどもMIAUには「目に見える活動」を引き続き頑張っていただきたいです。