連載二回目が面白くなかったので、話としてはもはや終わりかと思いきや、実は三回目の記述が本論であったことが判明しました。

良いタイミングで「一抜け」した梅田氏
「ネット敗北宣言」の本当の意味【3】
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20090628/163402/

 中川氏の立ち位置がはっきりしたので良かったですね。dankogaiも何か言ってますし。

梅田望夫と中川淳一郎の共通点 - 書評 - ウェブはバカと暇人のもの
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51230000.html
 前回までのあらすじは、一連の梅田望夫「残念」発言問題で「ウェブはバカと暇人のもの」著者中川氏が登場するも、中川氏の担当するというその現場では馬鹿と暇人向けにチューンされた荒涼としたニュースサイトが存在しており、お前がそれを言う資格があるのかという疑念が渦巻いているというお話です。詳細については以下私のエントリーをご参照ください。

「ウェブはバカと暇人のもの」中川淳一郎氏の迎合発言を糾弾する
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/06/post-f70b.html
おい中川淳一郎。ちょっと待て。何だそのクソサイトは
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/06/post-fe2e.html

 で、今回論述されている中川氏の話の趣旨は、「ネットを含む社会全般の著名人の実態と虚像の問題」から「梅田望夫氏のネットでの虚像が彼の不用意な発言で崩壊し、支持を失った話」へ敷衍し、ついで「梅田氏はネット界隈からの”卒業”をするのだから暖かく見守ってやれ」という結びで終わっています。論旨的には50字程度で要約できる内容であり、金をもらっているんだからもう少しちゃんと書いたらどうだろうかというような運びではあるが、本論としては筋の通ったお話であります。

 前半の岡田有花記者の話は完全に蛇足であり、ネットユーザー向けのツカミ以上の内容になっていないのは残念でした。インタビュアーとしての岡田女史の立ち位置とか内容の読みこなしとか、その本論に繋げるのであれば岡田女史について書くべきことは他にあるだろうに(笑)。

 結局、中川氏のドグマというか論述の拠って立つ話は、「ウェブに時間を費やしてサイトとか見ている人は馬鹿で暇人である」という大前提以外なくて、どうしても硬直した内容になってしまっています。そういう文章を読まされたネットユーザーの感情的にどうであるかより、それは中川氏がそういう商売しかしていないからウェブのしょうもない側面から梅田氏や岡田女史の論評をするほか、方法がなくなっているように読めめるわけですね。

 だから、梅田氏は地位的にハイエンドであり、本音を漏らして無知蒙昧な信者が神父に突き放されて右往左往しているという構図しか読み取れないのではないかと思います。で、阿呆なネットで梅田氏がバッシングされている、と。では、中川氏というのは梅田氏の個別具体的な業務内容、外形的に分かる内容でもいいからそういったものをフォローして、彼がシリコンバレーやその界隈でどういう立ち位置でどんな評価を受け、クライアントがどんなところなのか理解して書いているのだろうか、と。ああ、別に調べろっていうわけじゃないですよ、念のため。

 ただ、ベイエリアの状況を考えたら、とてもじゃないけど「一抜け」とか表現できる状況には、梅田氏はいないんじゃないですかね。ニュアンスは黒坂氏の記事にもあるから、そっち参照。

から騒ぎ
http://japan.cnet.com/blog/kurosaka/2009/06/04/entry_27022804/

 要は、ウェブはいま、ハイエンドがやばいんですよね…。それこそ、梅田氏のいる。だから、ぼつぼつマイクロソフトやグーグルのリストラの話があったり、大手通信で巨額増資の話がまとまらなくなったり、キャッシュ吐き出してしまったベンチャーが身売りもできずにひっそり潰れていたり、不採算サービスが突然休止したり、そういう事例が続出しているのが現状です。それは、ネットユーザーが馬鹿で暇人で残念だから敗北宣言、という文脈とはまったく逆の話でね。

 川下の水が汚れている! と中川氏は言うけれども、川上では水が干上がっているわけ。ああ、もちろん干上がるというのはないけど、でもかつてより相当水位は下がってしまいました。汚れていても川である限りは、支流にあるアメーバニュースも存続できるかも知れんけど、水が流れづらくなったら支流は大変だろうと思います。

 もちろん、現象面としての梅田望夫「残念」発言問題は中川氏の議論はとても有効だけれども。まあ、中川氏に関してはここまで、ですかね。面白かったです。これまでお疲れ様でした。