名著『ウェブはバカと暇人のもの』に感動し、その著者中川淳一郎氏が経済紙傘下なのに倒産まっしぐらという絶妙なポジションで映える日経BPのサイトでモノを書いたというので見物に逝ったのであるが、なかなかいいことを書いてるのに感銘を覚え、先にエントリーを書いたのが以下です。

「ウェブはバカと暇人のもの」中川淳一郎氏の迎合発言を糾弾する
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/06/post-f70b.html

梅田望夫氏の「残念発言」はもっともだ
「ネット敗北宣言」の本当の意味【1】
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20090624/162684/

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書) (新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4334035027
 あらすじはともかく、著書はネットの現実がいかにうんこであるかを力説した良書であって、実感するものではあるけれども、中川氏が責任編集をしているというアメーバニュースというのは訪れない日々が続いておりまして。

 で、某誌編集者から「どうですか」という照会があってアメーバニュースを観に逝ったんですが… 何ですかこれ。酷い有様です。ニュースサイトというには凄まじい脳筋ぶりで、ニュースの一本一本が知力ゼロの脱力感溢れるどうでもいい記事の列挙じゃないですか。そりゃ馬鹿と暇人が集まる仕組みになっているわけですよ。

 読者にそれなりの社会経験と読解力を要するジャンルのひとつである、「経済」でどんな記事がラインアップされているかを見てみると一目瞭然です。これは凄い。

日刊アメーバニュース 経済
http://news.ameba.jp/cat/economy/

ぺ・ヨンジュンの2500円弁当 第3弾発売
http://news.ameba.jp/economy/2009/06/40771.html

<寸評> 経済ニュースのヘッドラインがこれ。しかもデジタルアドベンチャー。国枝さんがおったところやがな。どうみてもフロントです。大丈夫なのか。記事の中身もハシラも。アメーバ読者の経済記事のトップがペヨンジュン弁当。絶望的。お前ら皆喰うの、これ。つか、芸能記事じゃないの。え、経済。どうなの。ねえ。ちょっと。

読売巨人軍創立75周年記念 AKB48が応援隊結成
http://news.ameba.jp/economy/2009/06/40831.html

<寸評> くたばれ読売の東京音頭で有名な、栄光ある読売巨人軍と、ヲタの聖地を勘違いした伸び悩みの代名詞であるAKB48がコラボというニュース。これが経済二本目であります。力強い。どこがどう経済。経世済民の語義はどこに逝ったのか捜索願を出したい気分になれる絶品ニュース。これも芸能では。

モバゲー ルイ・ヴィトンのゲームを期間限定配信
http://news.ameba.jp/economy/2009/06/40779.html

<寸評> ゲーム配信のニュースが堂々「経済」カテゴリーで掲載。モバゲーとルイヴィトンという、かけ離れた2つのキーワードの醸し出すこの凄まじいインチキ臭さが化学反応をしてサイト全体の品位を微妙なもんに仕立て上げております。これはエンタメだよね。違うの? 経済? 何で。どうして。誰がこんな酷いことを。

「大仏もっこり」の発売に東大寺が抗議 販売終了
http://news.ameba.jp/economy/2009/06/40754.html

<寸評> 神社仏閣相手に不謹慎グッズという悪ノリが新聞沙汰に昇華するという面白ニュースですが、これも経済なんですか。どっちかっていうと経済からもっとも遠いタイプのニュースだと思います。どう考えても大仏もっこりの宣伝になってしまうという東大寺に対するセカンドレイプなんじゃ。

カップ麺「すぬーどる」発売 かやくには隠された秘密
http://news.ameba.jp/economy/2009/06/40540.html

<寸評> 「他に経済ニュースとして報じるべきものがあるだろう」という抗議の心さえ挫く驚愕のカップ麺の具に関する記事。隠された秘密じゃねーよ。小市民的ミニマムとは概念的にも別な、絶妙な脱力感を味わうには最適なニュース。これはもはや報道ではない。

「ご飯の友」一番人気は海苔、納豆は2位
http://news.ameba.jp/economy/2009/06/40109.html

<寸評> 知るかそんなもの。それでも経済カテゴリーの記事です。ダイナミック! そして、記事中に引用されているニュースソースは、なんと「痛いニュース(ノ∀`)」。おかしいだろ。いみじくも「アメーバニュース」を名乗っていながら、どんだけクソ記事作れば気が済むんだと発狂も辞さない読者続出が予想され、危険が危ない。

 このように、トップページから経済関連記事を一覧しただけでどれだけ馬鹿や暇人を釣るために日夜精励しているのかが手に取るように分かる内容であり、ニフティが誇るデイリーポータルZよりも壊滅的な状況に陥っているアメーバニュースはいろんな意味で予後不良と思います。デイリーポータルZの脱力系記事の代表作と読み比べると分かるかと思うんですが、デイリーポータルZはそれ相応に記事として成立し、己の内にある馬鹿があることを書き手が前に出すことがコンセプトになっている。これに対し、アメーバニュースは相手が馬鹿である前提で「馬鹿なんだから、このぐらいの記事を読ませておけば文句でねーだろ(藁」という態度がはっきり見て取れるところが偉大なのであります。

例) デイリーポータルZ 毛とモはどっちが楽天か
http://portal.nifty.com/2009/04/16/a/

 いやー、中川淳一郎氏が凄いかっちょいいこと書くから、きっと凄いニュースサイトを運営してるけどアメーバは馬鹿ばっかりだからどうしようもないねハハッという状態かと思いきや、読者と共に馬鹿になり、やがて己の中で馬鹿度がすくすくと育ち、読者を上回り、読者の半歩どころか跳躍した馬鹿を会得して先陣を切る馬鹿ニュースサイトとしてアメーバに君臨していたとは知らなかった。

 サイバーエージェントごと潰れちゃえよ馬鹿。