ついさっき、経済関連の記事を一本脱稿… 字幅の問題で落とした部分があって、こっちを本論にすべきか悩んだ挙句に無難にまとめてしまった反省をブログにぶつける。

○ アメリカ編

ガイトナー「俺ちゃんは厳格なストレステスト実施要請をする!」

 先日、中国に逝って「中国の保有する米国債は安全」と言い放ち、聴衆の中国人学生に爆笑されたり、恩師の顔を忘れたんじゃないのぐらいの勢いで留学時代のことを揶揄されるなど、威信が下がりっぱなしのガイトナーさんが、この前こんなことを言っていまして。

 事前に言うなら別にいいんですけどね。大本営発表なので。でも、明らかに手心入ってるテストの事後に、それはないだろうという話で。だから「金融規制法案の規制改革の実施で、アメリカが世界の金融規制のリード役を担う」とか言っちゃうわけです。変なストレステストのお陰で、いきなり財務健全判定出された面白投資銀行が国からの借入金を全額返済しちゃうとか、自分から手綱を切っておいてなかなか愉快なパフォーマンスであります。

 そういう国の連中に「我々は日本のような失われた10年にはならない」とか言われてしまう日本は涙目ですね。その言葉を短冊に書いて、故・宮沢喜一元首相(というか元蔵相)の墓に蝶結びで括り付けたいです。

○ 中国編

 国内電力消費が減っているのに経済拡大を喧伝する面白大国中国も微妙な感じで。四半期数字をどう足しても経済減速なんですが、大本営発表になると7%近い経済成長をしちゃっていることになるので摩訶不思議です。

http://nna.jp/free/news/20090617cny023A_lead.html

 固定設備で振り回してる製鉄業界に、生産調整の名目でいきなり貸付金が制限されるとか言って、資金繰りどうするのか不思議でなりません。きっと中国のことだからどうにかなっちゃうんだろうと思うのですが。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090513-00000138-scn-cn


 とにかく、「生産に比べて需要が少ないから貸し出し制限して操業止めさせちゃおうぜ」「それ凄いね、ナイスアイデア」「さっそくやろう。すぐやろう」「じゃあ明日発表」みたいな会議の有様が想像できてしまうあたりが好印象です。さすが中国、日本には真似できない。

○ 欧州編

 最近は中欧から東欧にかけての経済問題が続発していて凄いんですが、G20に入れてもらえない残念なポーランドとG7の問題児イギリスとの深刻だけど笑える対立がセクシーなわけです。

英「国際協調で各国が金融緩和すれば問題を乗り切れるはずだ」
波「ごたくはいいから貿易代金とっとと払えよ。早く。ほら早く」
英「経済問題解決のために、アメリカとEUが対立している暇はない、猶予はないのだ」
波「そういう話じゃなくて、貿易保険で立て替えてる代金、早く決済しろよ。さあ」
英「IMFに拠出すべき金額は、世界経済に対する受益と責任の大きさに比例すべきだ」
波「お前が払ってくれないと、俺が北欧やアメリカに金払えないんだよ! 早く払えよ!」
英「世界経済混乱の原因を招いたと金融資本主義を一方的に悪者とすべきではない」
波「だーかーらー! お前のお陰で俺の財政が混乱してんだよ! 払えってばよ!」
英「むむ。そろそろ選挙が近づいてきたのでこの辺で失礼する。アデュー」
波「死ね! いますぐ死ね! 金を払ってから死ね!」

 いやほんと、スイスもそうですけどイギリスはどうするんでしょうね。失われた10年どころか、イギリスという国体が失われてしまいます。どうする、コーンウォールとかウェールズとか独立したら。

 EUは結構ヤバいです。自力再建の能力自体を疑うべき状況に差し掛かっていますね。米中が笑いの種なら、ヨーロッパは頭痛の種で、歴史どおりの結末となるのなら、問題の輸出先がアラブということになってしまうのでありましょうか。

○ ロシア編

 もうすっかり駄目な国に戻りつつあるので、これといって特別な何かはないんですが、資源貿易が一服したら国庫が干上がってしまいそうなので、ウクライナ宛の天然ガスパイプラインを止めてみました的な外交ができる随一の国家でありまして、かっこいいと思うわけです。こんな国と、私たちはサハリン開発をしようとしていたのですね。

http://www.afpbb.com/article/economy/2609511/4230118

 国庫が空になったので、財閥社長を脅かして銭を引き出す図が報じられましたが、これ、近代ロシア史では良く見る話ですよね。クリミア戦争とかその前とか。戦費がないので裕福な貴族にパンチを浴びせて一発で資金調達みたいな。たぶん、プーチンさんの頭の中には「国家の資源を売って財を築いた財閥の資金は国家のもの」というネオ・ジャイアニズムがあるのでしょう。

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200906220031.html

 イングーシも大変なことに。いや、世界の秩序が崩壊するとき、弱いところから政情不安が起きるんですよ。こりゃ本当にとんでもないことになりつつあります。バクー近いし。