最近の楽天とか、急成長中のアマゾン、あるいはヤフーなんぞを見ていると、特定の企業にリソースが集中して、健全な競争がネットでは阻害されているよね、とかいう論法で、中小ストアの存続が多様なネットカルチャーの護持となり社会秩序の安定に繋がるという精神を建前にネット版大店法を作ろう! というのはアイデアとしてあると思います。

 誰だ、そんなことを言っているのは、と言われると「私がそう言っています」というだけなんですけど、収穫逓減とか逓増とか経済議論を聞いたことも考えたこともない人たちが、ネットのこちら側とあちら側とかいう煙に巻く議論を見て腹に落ちたと勘違いしたまま五年も経過しているうちに、アマゾンはでかくなるわ楽天はアレだわで、日本社会の一部であるはずのネットが制御不能という素晴らしい事態に陥っているわけです。
 ブックオフみたいに、荒らすだけ荒らして、良く分からないうちに経営者が変なことしてて会社が倒れそうになってて大日本いんちきが救済するとか微笑ましいのですけど、言っちゃ何ですがいまからアマゾンや楽天に比肩するような時価総額の企業をこれから作ろうと上を向いて坂を登ったところでGREEとかDeNAとか犯罪気味企業になるのがオチであります。全然応援する気になれないんですよねえ。

 とか何とか言っている間に、ケータイも儲からなくなってきました。つーか、ソフトバンクははよ潰れろとか思っているうちに、ウィルコムどころかKDDIが怪しくなってきました。まあ、しばらくは大丈夫なんでしょうけど。でも、地面より下が、NTTグループとそれ以外という状況はヤバい気はします。

 新聞社も数社なくなりそうで、雑誌社も大変なことでありまして、このまま逝くと淘汰合併が進んで寡占市場がてんこ盛りになってしまう恐れはあるわけですねえ。ネット界隈も然りで、まあもうどうしようもないんですが、ネットにはどうやら通常の競争が既にできないくらいのスーパーパワーができてきたようなので、そろそろネットそのものにどう規制を入れれば国民全員がいい湯加減のネットライフが送れるのか、考えなければならない時期に来たんじゃないかと思うわけです。

 狙いは対グーグル、とか偉そうに言ったところで、中国みたいにネット自体からパージするよとか脅しをかけられるようななんちゃって市場経済ではない我が国は、どういう状況が国民にとって相応しいネットなのかということを議論積み上げて考えなければいけないフェーズに来ていたようだ、ということですね。本気で、グーグルに情報を全部吸い上げられかねない状況で個人情報保護とかお題目で言われても困ります。だって、ある程度納得づくで国民がグーグルほか企業に情報を自分の意志で預けているわけですから。彼らが騙し取ったわけではない、というのが重要な部分でしてね。

 そういうわけなので、やはり何らかスケープゴートと言うか、そこそこの規模の企業が業火に叩き込まれるが如き、「ひとつの時代、ムーブメントの終わりの挨拶」が必要な時期に差し掛かっていると思います。いま、目茶目茶いろんなものが鬩ぎ合っている時期なんだと感じるんですよね。

 北朝鮮に限らず、郵政の西川さん去就問題やら、総選挙やら、いろんなもんが混乱して揺らいでて、正直悩ましいところでございますね。