前編がぶっ飛んでた分、後編は何となくそんなもんかなとすんなり読めたんだが。もちろんタイトルは煽りな。

Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) (1/3)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/02/news062.html
ヤフー将棋
http://games.yahoo.co.jp/games/login.html?page=shg
 人間、30歳超えたら「だいたい俺の人生こんなもんかな」って諦めがつき始めるじゃん。超一流なんて遠いよなと彼我を比べて分を知るというか弁えるようになるしな。webだろうが将棋だろうが限界の見えたヘボは一生ヘボなんだから、無理に超一流に絡もうとしないで実力に見合った将棋指せばいいじゃないか。

 将棋だって日本で愛される娯楽なんだから、まずは日本できっちり将棋が面白がられる環境を作ってから輸出したほうが責任ある立場なんじゃないの。日本で売れなくなったピンクレディがアメリカ挑戦するようなもんだろ。だいたい、はてなのアメリカ逝きだって、日本ですら中途半端なのにアメリカで成功するわけないことぐらい分かっていたから止めようとしたんだろ。成功の可能性が見えないのは現地にいた梅田さんが一番分かっていたはずだ。それを止めなかった梅田さんは人間としては偉いけど取締役としては株主の利益を毀損する行動を見逃したに過ぎない。仕方ないだろ、英語圏から見てはてなというサービスやjkondoという経営者自身が超一流ではないんだから。

 だけど超一流というのは、ただ単独で一流なんじゃない。様式とルールがあって、それを支えるプレイ人口がいて、初めてモノの良し悪しが周知され、そこで競争が行われて勝ち上がった限られた人間が超一流とピラミッドの下から思われるんだよ。羽生さんを崇めるのはいいが、C3リーグで最高齢でも頑張る加藤一二三さんをはじめ、多くのピラミッドの底辺を忘れている。才能はただ属人的で独立した存在じゃないんだ。才能のない人間も引き寄せる懐の広さがなければいけない。梅田さんがはてブのコメントを馬鹿呼ばわりしたのと同様にね。多くのユーザーが集まり、質の低い人も裾野で参加しているからピラミッドの頂点は高くなり、超一流のはてなーとしてotsuneが賛美される。聖なるかなotsune。

 将棋? いや将棋は確かに面白いけど。私の父は五段だし、私自身はなんちゃって二段だ。羽生さんに限らず、たまに興味が持てば棋譜も読む。最近はあまりやらないけど、お布施だと思って年間幾らか払ってる。私も、塾生時代から将棋を打ってきたし、強い棋士は好きだ。そういう強い棋士たちの生計と権威を支えているのは、将棋協会への会費や将棋世界の購読料を払ってる広い底辺の将棋ファンだ。誰でも才能のなさゆえの下手糞な将棋も指すよ。自分で将棋指しても泣くような手を打つさ。

 ネット? 確かにネットは広いよ。日本語圏も英語圏も、そりゃブログやったりwikipediaがあったり、産業として多くの企業が収益を上げてそこにある。私もwebは生活の一部になっている。でもそういう存在を支えているのは、webで時間を使って買い物をしたりweb向けの設備投資をしている広い底辺のユーザーやネットワーカーだ。誰もが誤解に基づいた下手糞なぶくまコメントも残してるよ。私だってキチガイに粘着されて炎上したさ。

 たぶん、梅田さんは会社を大きくするのが嫌だとかそういうことじゃなくて、企業経営者として利益を出すかどうかで判断され、能力を分別され、果てしない競争の世界に身を置く勇気がいままで持てなかったから、第三者であろうとするのさ。評論家やベンチャーキャピタリストとして出てきたはずなのに、評論家じゃなくなって、経営コンサルタントと言う。物書き評論家の世界は競争が激しいからな。

[引用]Webというのは、僕自身がこれからも、最先端の「炭坑のカナリア」的な人体実験を繰り返す上で素晴らしい道具なので、相変わらずWebをモチーフにしたものを書くとは思うけれど、それが評論と言えるものになるかどうかは、よく分からないですね。

 将棋をシリコンバレーで見るのが最先端なんでしょうかね。将棋を指している現場が最先端でしょう。梅田さんは最先端であり続けるための競争を放棄して、「現代将棋を誰も構造化していない」とか言い始める。現代将棋を構造化するのは将棋を実際に指す人がやるべきことだよ。ゲームも然り。コンテンツも然り。webもそうじゃないかな。

 それよか、はてなにはユーザーがこれだけしっかりいるんだし、取締役としてしっかり経営に参画し、サービスの向上と収益の拡大を図るよう努力して欲しいと思います。将棋とシリコンバレーなんてどうでもいいだろ、正直なところ。好きにやってろ。でもそっちの話ばかり濃いんじゃ、はてなの経営は「片手間」と思われても仕方がない。はてなのサービスや経営に関する評論を受けてもきちんと回答できる状態になってから、ハイソな活動に精を出したら皆が幸せになるんだと思うけど、otsuneはどう思うでしょうか。

(追記 6月3日 2:43)

 文中、加藤一二三九段と有吉道夫九段のC2を取り間違えておりました。どこで記憶違いしていたんだろう… 訂正いたします。

梅田望夫は「残念」なただ一つの理由
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51219908.html

[引用]余談だけど、30過ぎて脱童貞・脱独身した人が「あきらめがつき始める」言っても説得力ゼロだね、残念!

 それを言われると弱いが、愛情を初めて知ったんだから仕方がなかろう…。貴兄とは違うのだよ(笑)。

[引用]梅田望夫が残念なただ一つの理由、それは梅田望夫が梅田望夫自身を裏切っていることだ。

 梅田さんが言行不一致ってことだけかい? それこそ、前から分かっていたことじゃないのかな? 梅田さんは別に最初から「あちら側」の人ではなかったろ。だけども、概念はきちんと持ってくることができた。それが梅田さんの最大の功績であり、「ウェブ進化論」が売れて、web内で梅田さんを権威たらしめている理由になっている。

 梅田さんが一流ではなく一流を目指さないと言っているのが正だとして、「梅田望夫の今の自己評価は低すぎる」というのは、dankogaiは彼にどうして欲しいと考えているのだろう。自己評価を高く持て、ということか? dankogai的には、日本には他に褒めるべきものが沢山ある(とdankogaiは思う)のに、梅田さんが「好きを貫け、人を褒めろ」と説いた精神と合致しないという一点で、21世紀最大の残念インタビューだと論じるのだろうか。

[引用]しかし、梅田望夫の言動に耳を傾ける「こちらがわの人々」は、そういう彼らを貶めることが出来る。採用を通して、人事を通して、選挙を通して。

 この論述も良く分からん… 採用や人事や選挙がどうして出てくるの? まあ、おぼろげながら、dankogaiの意図は分かる気もするが…。

 でも、梅田さんが論じた「ウェブ進化論」の骨子となった、こちら側とあちら側の論理は、現在のwebのあり方では対立する概念同士ではなく、共存/並存するものだと理解するのが一般的だと思うよ。単純に、梅田さんの周囲半径3メートルと、dankogaiの周囲半径3メートルがびっくりするほど重なっていないから、dankogai的に見て梅田さんの議論に一貫性がなく言動不一致に感じられ、結果として「梅田望夫が梅田望夫自身を裏切っている」という論旨に繋がっていくという話に過ぎないのではないかな。

 しかし… どんどん梅田さんに救いがない方向に議論が広がっていくな…。

(追記 3:32)

 あー。上の文章、dankogaiに「梅田さんは一流ではない」と誤読されたからそういう議論になったのか…。私は「梅田さんは実践者ではない」から、保持する権威や影響力をきちんと行使する方向で努力しようぜという論旨に過ぎなかったのだが。納得いった。