ちょうど、428名誉都知事(友情出演)が講演をしておられまして。

浜村弘一氏セミナー“ゲーム産業の現状と展望 2009年春季”が“景気後退に直面するゲーム産業”と題して開催
http://www.famitsu.com/game/news/1223443_1124.html

 お話としては大変オーソドックスでよろしゅうございます。
 ただ、業界的、というか投資的に気になる部分というのは、アクティビジョンとか大手の作り方が伸縮可能な組織形態へ進化して以降、パイプラインから逆算して売上を予測することがむつかしくなってきたという現状でありまして。

 平たく言えば、いまある10億円を次のタイトルに投入しても回収は二年半先であるから、浜村通信がいまのゲーム業界をデータ基準に語ったところで天体観測における推定誤差風のジレンマを及ぼす。これは製薬業界であれ大型の設備投資が必要な製造業であれ等しく抱える問題でもある。

 これは、任天堂が偉くて他が駄目という話でもない。むしろ、次にどこがヒット作を出すのか分からないのだから、予測してもしょうがないよねという部類の話。でも、資本の都合だけで市場が動いているはずもなく、IGFとか見てると「あー、こういうエネルギー値の高いクリエイターの世界を見ていると、ひょっとして俺達もう駄目なんじゃないか」と思うような事例にたくさんぶち当たる。例えて言うなら、部数が減って困窮している少年漫画雑誌のデスクがコミケに逝って、才能豊かな人気同人サークルの活況ぶりを見て嘆く風味の話でもある。

 でもまあ、少年誌もビジネスでやっている以上、作風で売るためにも大御所を切るというようなことを判断としてパッパとできるわけじゃないんだよなあ。とりわけ、日本のゲーム業界は職人気質でやっている人が多いから、海外事情とか見てるともどかしい思いをすることもある。明らかに終わったクリエイターがパブリッシャー騙して売れないゲームを企画して案の定コケましたという場合に、スコアが悪かったから次はもう仕事を出さないとそのパブリッシャーが判断したとしても、何かゲーム会社の経営者とか幹部と繋がっててほとぼりが冷めたところでまた大型発注請けてたり、似たような規模のゲーム会社に営業したのか同じような予算のタイトルを出していたりする。

 困ったことに、大御所がしっかり監修したり制作に協力しているような作品は、ゲーム単体として見るならば出来が良かったりする。ファミ通レビューで40点取ってたりするわけだよ。実際、私もプレイしてみて「ああ。確かに面白いな」という作品も多い。

 で、私はてっきり売れてると思ってた。でもなかなか微妙なところらしい。いや、あれだけのビッグネームが関わっていたのなら、もっと数字を取ってなければいけないのではないか。現実は、まったく駄目なわけだ。面白いのに。

 結果、プロモーションが悪かったから売れなかったんじゃないかとか、他にビッグタイトルが重なったから顧客が流れてしまったんじゃないかとか、そういう作品以外のところに理由を探そうとする。でもねえ。口コミでも売れていかないんだよ。ネットの評価サイトでも非常に高い評点を貰っておきながら。

 大御所が関わっていながら、クソゲーになってるケースもままある。うちも何個かタイトル引き受けさせられたこともあるけど、最近の事例では大手パブリッシャーのプロデューサーとの人的交流をテコに、もうどうしようもないぐらいの駄目なゲームが続編決まったりマルチプラットフォーム化されたりする。ちょっと海外のメーカーの仕事を見ていると考えられないような手続きでタイトルが決まっている。

 それだと駄目だと思うんだ。それで、資金がなくなって増資をしたいという話になる。増資をしたら、今度はまたクリエイターが大御所に営業を頼んで、あまり良くなりそうもない企画を通してしまったり、古い関係で培った広報関係だけでタイトルを売ろうとする。だから国内でしか売れない。国内もコアな日本人受けだけ考えているからリクープしない。

 これは、凄まじい閉塞感だぞ。景気が悪いとかいう話じゃない。昔だったら、シンプルシリーズで席巻したD3なり、韓国や中国から安かろう悪かろうでタイトル引いてきてちょっとした利益でも喜んでくれるオンラインゲーム会社なり、ゴミみたいなアプリでも出会い系もどきで顧客が稼げる世界なり、いろいろ逃げ道はあったけど、いま企画している界隈で2年後の結果を想像するに、これは怖い。

 いやほんと大変だと思うよ。経験則で、この実績のあるあの大御所に頼めばこの程度の売り上げは計算できる、という青写真がまるでなくなるわけだから。理詰めで考えても、いろいろ整理していかなければならないし、結論が数年先になる仮説もたくさん講じなければならない。これで某続編でもコケようもんなら、相当終わってしまうことになる。心配だ。大変心配だ。