さっき試したわけだけど。
 よく「自宅の便器でないとうんこできない」とか通ぶる人がいるじゃないか。私のようなうんこ雑食性の人間からすると、渋谷のシンナー臭い公衆便所だろうが屋外イベント特設移動式うんこ場とかでも晴れやかに放出する技量が備わっていて、およそ外出や旅行で便秘することなどない。極寒のモスクワで暖房供給の途絶えたドミトリーにて寒風のなか便座のない便器に直接座ってうんこ垂れ放題の時期を送った私にとってはわけないことだ。皮膚に棲む常在菌がきっと便器の雑菌に打ち勝ち、完膚なきまでに打ちのめす勝利の光景が目に浮かぶ。

 しかし、シンガポールやマカオの便所はちょっとヤバい。アメーバ赤痢とか感染する奴がたくさんいる。ホテルやオフィス棟の便所だからといってまったく信用できない。いやむしろそういうところのほうが危ない。日本にいるような感覚でどこでもうんこというのは非常に危険であることは言うまでもないし、そういう意味では日本で安全にうんこを放つ自由があるというのは何と素晴らしいことなのだと実感するわけである。

 不潔だから嫌いだというわけではなく、潔癖とは到底言えない私でさえ何かしらないけど警戒するに足る何かが熱帯の便所には存在する。若いころは、デリーの屋台で変な辛いの喰って腹壊してもホテルでうんうん唸って寝てれば治った。いまは違う。うっかり大容量うんこが着水して汚水が跳ね返り被弾したらと思うとなかなか心落ち着かないものがある。確率的には当然低いだろう、だが低いからこそ注意を怠らずリスク管理を徹底し、うんこ前のコンプライアンスを遵守すべきなんじゃないかと思うようになってきた。

 そんなわけで、除菌クリーナを買ってきて使ってみたんだけど、便座拭くのめんどくせ。