いやまあ日銀がアレである限りは、それを牽制するためにも「政府紙幣」関連の議論はやるべきだろうし(実際にするかどうかは別として)、世論は喚起しておいていいと思っているんですけど、森永さんまで「政府紙幣どうよ」とか言い出していて微妙な感じがします。

第171回:政府紙幣を財源として強力な景気対策を実行せよ
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/171/index.html

 誰か対策費でも出したんでしょうかね… どういう経緯で社会主義者を標榜する森永さんがこの政策を是とする論評を掲げているのか、首を捻るばかりであります。
 奇妙なのは、概ね与党案というかそういう方面で私的に行った検討会で撒かれた文書に事実上沿った形のまんまなので、論旨も含めて森永さんの従来の主張とは180度(とまでは言わないが)違うことになっている気がするんですよ。森永さんが間違っているとか、趣旨変えじゃないかとかそういう話じゃなしに、いわゆる世論の地ならしをするにしては非常に雑な感じがします。

 というのは、彼の役割としては「話のわかる左側の経済論者」としての機能なわけです。さんざん政府方針を批判して、ガス抜きが終わったあたりでよきところで妥結して、右も左も政府も野党もまあこの辺かなというところで収めるためのツールとして有用だったのかと。でも、これだとまだ議論も出始めておらず、左右から充分な論考も揃わないうちに左派が「賛成」とか言っちゃうとどっちらけでありまして。

 彼が政府紙幣発行に関する是非について、あまり詳しくなさそうだというのはこの記事を読んでも何となく分かりますし、まあ私だってそんな分かってるわけじゃありません。なんちゃってリフレ派として、何となく実現可能そうな政策は全部試すべきという意味では去年の9月にとっくに記事書いてます。

さて、そろそろ「政府紙幣」発行の是非について話そうか
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2008/09/post-aaaa.html

 しばらく選挙もないのに、ここで森永さんに近寄られると皆困るんじゃないですかね。世論は盛り上がらないし、そもそもプロレスにならない。別に政府紙幣を発行したい、という話でもない、単に日銀の政策がやはり間抜けに見え、緩和もしないようであるし、それに対する政府側の牽制としての政府紙幣の発行是非と、それでまとまるようならそのまま進めるけど日銀にはもう少し景気維持に協力してもらえないもんだろうか、ということなんじゃないかと思います。