前にも「官製不況」とかいう造語ができてたけど、どうなんだろうね。


 日本が小泉政権下で長期不況を脱して、曲がりなりにも経済成長路線に道筋をつけました、というのは、ちょっぴり事実としても、ちょっとまだ何とも。その実態はアメリカ経済の好調と、そこへの輸出を前提とした投資を大幅に呼び込み経済成長を遂げた中国経済、そこにくっついて部品だの何だのを売りつけた日本の輸出企業が好調で、そこの返りで日本の株式や不動産に資金が流入してきたからであって、日本国内の経済効率が小泉政権下で爆発的に改善しましたというわけではないだろ。



 政策不況といっても、具体的に日本の経済効率の低下に直結するような、具体的な法律がもう施行されて、実際に民間企業にそういう圧迫でも発生しているのかね? 安倍政権が放り出されて福田内閣になって、まずは各政策における敗戦処理みたいなものがひと段落し、さてどうしようかというあたりでまだ止まってるだけなんだろうけどね。


 例えば、いま猛烈に不動産業界がクランチして、つぶれそうな会社やつぶれた上場会社が出始めているけれど、これって別に政策関係ねえよな。日銀総裁が決まれば不動産市況の下落が緩和するかというとそんな話でもない。閣僚人事に手が加われば景気が回復するかというとそんな馬鹿な話は考えづらいし、ガソリン騒動を含めた自民と民主のつばぜり合いが落ち着いてしまえばどうにかなるかといわれても、そんな保証はどこにもない。


 アメリカの景気が危なくて、海外からの投資を呼び込めない中国の経済が厳しい状態で、日本だけが無傷で繁栄いたしますなどということが存在しないという意味で、いまこれから日本が被る不況そのものは、日本が日本国内のあらゆる場所で責任者を探したって出てくるはずもない内容のものだ。中国経済が成長し衰退することの責任を誰が取るのかといわれても知らんよ。勝手に隣国が経済政策を失敗してるんだから、その責任を日本の政治家や役人に負わせても仕方がないだろ。


 そう思いながらつらつらサイトみてたら、貸金業に対する規制とかが強化されたのでいかんという。そりゃあサラ金業者からするとツラいかもしれないけど、いままでが上げ底だったわけだろ。関係ないって。日本の経済運営や経済政策が無能だから景気が悪くなったといいたいらしいけど、じゃあ高度成長が終わって以降、日本の経済政策が優秀で我が国の経済が大きく進捗しました、なんていう事態が一回でも発生したと言うのかね?


 これから苦しくなるだろうし、それはみんな分かっているから、構造改革に賛成反対というベクトルを見てそれに抵抗する政治家や役人を悪者に仕立てておけば丸く収まるという話なのか? それなら分かる。なら、変な理屈立ててこねくり回してないで、誰の責任でもないけど誰も責任取らないのも問題だから適当にいま現職やってる上の奴を更迭して改善したふりをするけどいいですかって聞きなよ、と思う。


 ポスト福田の仕掛けって言ったって、どうせ中川秀直氏とか上げ潮だかごま塩だか言ってるグループがマスコミにネタ流して揺さぶりかけてるぐらいじゃないの? 知らないけど。だって、ポスト福田に与謝野さんが挙がってるんだぜ。与謝野さん咽頭がんだよ? 声が枯れて喋りづらい人をトップに据える案なんて誰が真面目に取り合うんだよ。下手したら所信表明演説は字幕付になるぞ。


 それでも、何かせっせと政争起こそうと頑張ってるように見えるから不思議だ。この異常事態だと言うのに。アメリカ人からすれば、大恐慌が来るかもしれないってビクついて、そーっと大手金融機関の再編とか手をつけようかというあたりで、日本なんて日銀総裁空席だぜ。海外にどう説明するんだよ、これ。で、ガソリンがリッター25円変わります、国民の生活に大きな影響が、とか言ってる。それどころじゃないんだよ。世界の流動性収縮のトレンドから考えると、下手したらいまのいまが、世界の資本主義が大クラッシュするかもしれない戸羽口なんだ。


 で、イギリス人に「JAPAiN」とかって煽られて騒いでる。いや、書かれている内容はまあそりゃそうなんだろうけど、日本単独の経済成長だとか、経済効率の向上だとかをのんびり議論してどうにかなるような安定海域でのお話でもないだろうと思うよ。だって現実大変なんだもの。土嚢積んでどうにかしましょうかと頑張ろうとする横で、今年の米の収穫の是非を話し合われても困る。水浸しになったら田植えどころじゃないだろ。


 流動性がたくさんあって、投資資金が潤沢なときの経済政策と、地域内経済でかつかつなぐらいしか資金が回らない状態で全体効率を引き上げていかなければならない経済政策とは違うだろうと思う。無論、いままでずっと前者でやってきて、それがグローバリゼーションだと認識してきた人たちが舵取りしているうちは大変だろうけど、逆に言えばそういう連中は日本の経済政策なんてハナからアテにしていない。時間かかるし効果も薄いもの。だけど、そういう流動性の権化のようなメジャー資本が、いよいよ厳しいかもしれないという話になってくると、もう別の事案になる。それに支えられてきたBRICSとかヤバい。ロシアとかほんとどうすんだと思う。さっさと逃げろという話になる。


 そういう状況で、日本の政策とやらが世界経済マクロ的に見てどれだけ好況や不況に左右しているの。ほとんど影響なんかありませんよ現実は。だから官製不況も政策不況もたいした話じゃござんせん。アメリカ経済がコケたら日本もしばらく失調する。そのままアメリカがダメになったら別の戦略を組み立てなきゃいけないし、支援するならどこまで肩入れするかを議論しなきゃいけないね。中国に乗り換えようとする人間も出るでしょうけど、原則はこれからまたアメリカ一極支配から多極支配へと緩やかに移ってくるので、日本としてどうしましょうかという話だろうと思うがなあ。


 話が長すぎますかそうですか。