ケータイの方 ごめんなさい 適正化していません

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2011年10月25日~10月31日開催
[特別公開] [特別拝観] (通常 拝観謝絶

本堂(方丈 重文)と書院 茶室[忘筌(ぼうせん)]からなる孤篷庵は
広い大徳寺境内の西北 数多くの塔頭群とは離れた西端に位置
庵号の「孤篷」は孤舟(こしゅう)のことで
小堀遠州が 師事した春屋宗園から授かった号
方丈庭園(史跡名勝) 他を特別公開

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photo on October 31 2011
建物内写真撮影一切不可
本ブログの写真は??????


()  (ほう)  (あん) 

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創建:小堀遠州 開山:江月宗玩(こうげつそうがん)
慶長17年(1612) 小堀遠州が 大徳寺塔頭の龍光院内に
江月宗玩を開祖として小庵・孤篷庵を建立
当初の規模は不明だが 龍光院内に建てられていたことから
小規模なものであったと思われる
寛永20年(1643)現在地に移る
寛政5年(1793)火災により焼失
遠州を崇敬した大名茶人 松江藩主 松平治郷(不昧公)
古図に基づき再建   現在は小堀卓厳和尚が勤める

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方 丈 ( 本堂 とも称する)入母屋造 瓦葺き
寛政5年焼失後 寛政9年(1797)雲林院客殿を移築

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南 庭 (国の史跡・名勝 指定)
方丈南庭は 直線的な刈り込みを配した幾何学的な庭
赤土と 二段の生け垣が特徴
孤篷庵命名を象徴する 枯山水庭園
海を赤土で 波を二段の生け垣で表現
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西 庭
近江の国の景色を表現したと言われ 奥行きがある
八景の庭(近江八景)と呼ばれ こちらも赤土で覆われ
船の欄干を連想させる手すり越しに庭を眺めると
まさに 海に浮かぶ一隻の船に乗っているかのよう・・・

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最も有名なシーン : 坐した状態で忘筌より望む八景の庭
中敷居より 上部の明かり障子より差し込む柔らかい光を受けながら
最も色っぽいとされる庭の足元を眺める贅沢
低い西日が床板に反射し 天井を照らす様子は趣きがある
地味ながらも奥深い趣 日本独特の繊細さを 感じられる

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本堂から西奥の書院に向かう途中に位置する[忘筌]は
手前座の一畳を含め九畳の広間に 三畳の相伴席を備えた茶室
床は幅一間 奥行き半間の空間

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書院造りの構えだけで茶室を完成させたと言われる
草庵茶室(天井を低く抑え 中柱や落ち天井など)の要素を用いることなく構成
北側の三畳間は相伴席に見立てられる造り
座敷の外には広縁 落縁があり
縁先に 中敷居を入れて上方には障子を立て
生け垣で 客殿の庭園[八景の庭]の景色を切り取り
軒下の飛び石 沓脱ぎ石や手水鉢により 忘筌の露地空間を演出

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中敷居を入れ その上部に 明り障子(4枚の引き違い)
下方は開放 西陽を遮りながらやわらかい間接光を茶室内まで導く
茶室の障子を開いた時は 視線を自然に下方に導く
そこには 手水鉢や石灯籠などからなる蹲(つくばい)の風景を切り取って
室内と一連のものとしている
中敷居の高さは 西陽を遮る高さでは無く茶室に入るための潜りの高さ
つまり ここが にじり口のような場所である
この構成は[舟入]あるいは[篷窓(ほうそう屋根で覆った舟の窓)]といわれる

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床脇の手前座の壁は 腰に明かり障子を嵌め込み
草庵風の意匠も取り入れている
天井は 高さは八尺五寸七分 板の木目が浮き出た「砂摺り天井
松平不昧による再建とは言え
焼失前の古図から忠実に再現された小堀遠州好みの茶室

忘 筌 (ぼうせん)
「筌者所以在魚 得魚而忘筌 得兎而忘蹄」 (荘子そうじ)
魚を得てしまえば(魚を獲る)籠のことは忘れてもよい
兎を得てしまえば罠のことを忘れてもかまわない--
「目的を達すれば 道具の存在を忘れる」という意味
禅の 悟りの境地 と結び付けられている

板縁を降りたところには[露結]の手水鉢(露結耳はのこと)
魚や兎を得て その道具を忘れるがごとく
理を悟って教を忘れた融通無碍の境地
(遠州の茶道に対する理想郷)

各地の名石を集めて作ったという[寄せ燈篭]

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小堀遠州 晩年の仕事で 最も円熟した作風と評される
遠州は つねづね草庵の形で確立された利休の茶室を
書院の形で試みたいと考えていたが
この [忘筌] においてそれを見事に成し遂げた

孤篷庵は正確には大徳寺のなかで 3回建設されている
初めは 慶長17年(1612) 大徳寺の龍光院に
2回目は 寛永20年(1643)現在地に建てられた
しかし 寛政5年(1793)焼失
その後 同9年(1799)本堂 同12年(1800)書院 建設

茶室 忘筌席は 金地院 八窓席・曼殊院 八窓席 と共に 京都三名席

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展示されていなかった重要文化財
● 井戸茶碗(国宝) 銘・[喜左衛門井戸]
李氏朝鮮時代(15~16世紀)の作
朝鮮半島で日用雑器として作られた茶碗を
日本の茶人が茶器に見たてたもの
井戸茶碗と称される一群の茶碗の中でも 古来名品と称されるもの
大名茶人として知られる松江藩主・松平不昧をはじめとして
この茶碗の所持者が 相次いで腫物を病んだために
不昧没後に ゆかりの寺 孤篷庵に 寄進され現在に至る

● 大燈国師(宗峰妙超)墨蹟
● 小堀遠州像 - 晩年の遠州の姿を想像して描かれたもの
上部に遠州の参禅の師である春屋宗園の賛
● 達磨図 - 雪舟と同じく周文に師事した墨谿筆の達磨図
衣服にみる力強く野太い筆線描写は墨谿画の特徴のひとつ

拝見できなかったもの
● 山雲床(さんうんじょう)
書院の北に接する四畳半台目の茶室
大徳寺龍光院の茶席「密庵(みったん)」の写し

● 書 院 直入軒(じきにゅうけん)と称する書院座敷
寛政11年(1799)の棟札がある

● 小堀家と茶で名高い松平不昧家の墓所


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