「クワイ河に虹をかけた男」の取材の中から登場人物やエピソードのうち印象的な場面を紹介します。その4回目です。惜しくも編集から漏れたシーンもあります。 


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トレバー・デイキンさんの言葉です。 


 「捕虜を死ぬまで働かせるのが、日本の意図だったのではないでしょうか。私はそう確信していますし、仲間たちもみんなそう信じています。なぜなら、誰かが捕虜が亡くなると名誉なことだと祝福されたのですから。天皇陛下のために命を捧げることができたのは名誉なことだと。とても信じがたいことです。」 


 「我々は、個人的な屈辱感といった心理的な面のみならず、あからさまな暴力にも苛まれていました。我々の基準からすれば、脱走を試みるのは義務です。ところが、逃亡を試みれば処罰されました。それどころか、収容所の外にいるだけで処罰されました。ただもうす少し食べ物が欲しくて探していただけだ” “今、キャンプに戻っているところだと主張しても無駄でした。容赦なく処罰が待っていました。」 


 「一日一日を生きるのに精一杯でした。自由になるという希望を失っていました。そう、ケンペイタイの拷問のことを話し忘れていました。恐ろしい人たちです。日本は我々が無防備な時、絶望の淵にいる時にも敵となったのです。つまりそれは二重の敵でした。」 


 「心にしみついて離れないモットーがあるのです。決して忘れないし、決して許しません。それは今なお、我々捕虜にあって、死ぬまで変わらないでしょう。」 


 デイキンさんは「決して」というくだりを「NEVER」を4回繰り返して使った。それはあまりにも激しい言葉だった。


(つづく)