テレワークが一気に拡大して、我が家の周辺でも別荘に移住してそこで仕事をしている若い世代が増えてきた。我が家の子どもたちもテレワークのお陰で出勤する日程が減っているようだ。

僕たちはそれでも社会が回ると言うことをコロナ渦で知ってしまった。

なのに未だに東京名古屋一日4往復で仕事の効率化が図れるみたいな言説が撒かれているリニア新幹線。そんな社会が人に幸せをもたらすか。

南アルプスの自然をこよなく愛する山屋の端くれとして初めからリニア新幹線の建設に反対してきたが今度の問題も看過出来ない。

静岡県内のトンネル工事で排出される土砂の量は360万立米だが、これ高さ10㍍、幅100㍍で積み上げるとその長さ3600㍍必要になる。そんな巨大な万里の長城を、赤石岳下の大井川上流部にどのように作るのか。豪雨が来れば一気に崩壊しかねない。

様々に指摘されている不安が判明しているが、今度は岐阜県内で井戸水が出なくなった。

もっともリニア実験戦が既に運行している山梨県内では水涸れ被害は早くから報告されていた。静岡工区で工事が始まれば、大井川水系の水枯渇が問題化するのは間違いないだろう。

 

地下にトンネルを掘ると言うことは水脈の分断が起こりうるのであり、そんなことは東海道線の丹那トンネル工事の例を持ち出すまでもなく自明なことだ。トンネル工事で水が出なくなった伊豆半島田方平野の農民たちはムシロ旗掲げて熱海の工事事務所に押しかけている。

また大深度地下での掘削工事が地上部分の陥没を招くリスクなんて素人でも想像できる。

川勝前知事の失言からの辞職により静岡知事選挙が行われているが、川勝一人を悪者にしてきたJR東海の不都合な真実が次々と明らかになっている。

静岡がストップかけてるから工事が遅れているなどという虚言はJR東海とそれに追随している首長や御用マスコミの意図的な対応だ。

 

リニア新幹線、川勝平太静岡県知事の辞任でどうなる?
| リニア完成はかなり難しい-理由は環境破壊、財源不足、他
└──── 川村晃生(「ストップ・リニア!訴訟」訴訟団長)

◎ 静岡県知事川勝平太氏が、失言を理由に辞職したことで、リニアが
進むのではないかと期待するむきが多いようだ。
たしかに川勝氏が頑として着工を認めなかったことは、リニア工事の
進捗に一定の影響があったであろう。
しかし、私たちはそこで、二つの前提を考慮に入れておかなければな
らない。

◎ 一つは、リニアの工事の遅れは、静岡のみならず1都6県の全地域
に及んでいるという事実である。
大都市では、大深度トンネルの掘削が大幅に遅れているし、明かり区
間(地上部でトンネルでない区間)の橋脚もほとんど進んでいない。
各地域のトンネル残土の捨て場も、不足状態の所が多い。見るところ
リニア工事は1~2割の進捗という程度であろう。
したがって、リニアの2027年の営業開始などということは、静岡着工
を抜きにしても無理であった。JR東海はそれを静岡のせいにすること
で繕ったのである。

◎ そしてもう一つは、JR東海にとって静岡未着工は、リニア中止の
イメージを与えてしまう点で、どうしても早い決着が望まれた。
それは実はリニア工事の財務問題にも関わってくる。

そのことを説明しよう。

◎ JR東海が当初予算の5.5兆円では無理と思った頃、3兆円の財政
投融資という予想外の福の神が飛び込んできた。
しかし、今後の工事の困難さを考えれば、それでも財政は底を衝く。
その時、JR東海が不足費用を補いうるとすれば、政府に頼るしかな
い。民間金融はこんな危ない事業に融資するはずがないからだ。

そうなったとき静岡が未着工であったら、政府にも頼みにくい。その
ことを考えると、その時までにともかくすべての地域で工事を進め、一
定の成果を挙げておかなければならない。

◎ そのためにJR東海は、静岡を悪者に仕立てあげた。多くの不見識
な人々が、川勝バッシングに乗りネットは炎上した。そう考えると、J
R東海の策は成功したと言えよう。
いずれにしてもマスコミがJR東海の広報部であるかのような報道に
終始した。非難されて然るべきである。マスコミは遅延状況の事実に基
づいた上で、報道を深めねばならない。

◎ 今後静岡県がどう動くかは分からない。
ただ一つ言えることは、大井川の水問題に象徴されるように、リニア
は政治問題としてではなく、科学の問題として論じられるべきだという
ことである。
なお、リニアの工事の遅延状況については、「ストップ・リニア!訴
訟」原告団のHP< https://linearstop.wixsite.com/mysite >に掲げて
いる。