「 いまガザの「子ども虐殺」をやっているイスラエル軍を動かしているのは、「植民地主義としてのシオニズム」(岡真理『ガザとは何か』(大和書房、2023年)50頁以下)の勢力と、政権維持のためにその主張に沿って行動しているネタニヤフ首相であって、イスラエル国民のなかにはこれに批判的な人々もいることを忘れてはならないだろう。2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃は、ネタニヤフにとっては、まさに「奇禍」(1200人死亡+人質)に見えて、実は政権維持のための「奇貨」だったのではないか。

  選挙制度が拘束名簿式完全比例代表制で、かつ一院制のため、政権にこのような少数の極右シオニスト政党の主張がストレートに反映しやすくなったという面は否定できないだろう。連立が崩壊すれば、ネタニヤフ首相は汚職事件で訴追される可能性があり、政権維持は必須となる。そういう政治的(政局的)事情で、ガザの子どもたちが毎日のように死んでいる。「ならず者国家」のなかにいる「真正のならず者」が誰なのかをみなければならない。「一刻も早い停戦を! 」という主張は、子どもたちの命にかかわる、まさに「命題」なのである。」